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伝統資産との低相関トレンド継続

J-MONEY2016年冬号 注目記事

運用最前線

「スマート」や「マルチ」な運用広がる
伝統資産との低相関トレンド継続

恵まれた運用環境をけん引してきた株式と債券の魅力が薄れている。市場のベータ(マーケットと同等の収益)にとらわれず、アルファ(超過収益)に着目した運用を志向するなど、機関投資家も運用戦略の見直しに動いている。米国利上げ後の機関投資家の運用トレンドを探る。

金利上昇より株式の下落に警戒

 2015年12月16日、FRB(米連邦準備理事会)がついに異例の金融政策に終止符を打ち、10年ぶりに政策金利を引き上げた。米国の金融政策の正常化から半月以上経ったが、いまのところ急激な金利上昇などは見られない。

 インベスコ・アセット・マネジメントの外国株式部長の岸本伸一氏は、イエレンFRB議長の発言を踏まえて、「米国の利上げは緩やかなペースとなる公算が高い。今後も債券のキャピタルロスを招く金利上昇を過度に恐れる必要はないだろう」と分析する。

 タワーズワトソン・インベストメント・サービス代表取締役社長 兼 コンサルティング部長の五藤智也氏は債券より株式の下落を警戒する。債券のキャピタルロスはインカムゲインで多少緩和できるが、株式はリーマン・ショックのような危機にひとたび見舞われると、短期間でも50%下落する場合があるからだ。

 株式市場の先行きも危ぶむ。タワーズワトソンは5年程度の市場見通しとして「低成長」「ダウンサイド・イベント」「高成長」の3つのシナリオを挙げる。このうち確率50%を見込む「低成長」では、株式、債券のリターンはともに期待できず、確率35%の「ダウンサイド・イベント」では株式が30~50%程度下落する可能性があると予測する。

 最後の「高成長」は良好な環境が続くという唯一のポジティブなシナリオだが、その確率はわずか15%程度と見る。「『低成長』をはじめ、ネガティブなシナリオになる確率が高いため、守りの運用を心がけるのが賢明だ。多くの年金基金は株式のリスクをとり過ぎている。株式のリスクを低減する策を検討する余地がある(図表1)」

 株式と低相関といわれる債券は、すでにポートフォリオの大きな比率を占めていることなどから、五藤氏は再保険のほか、流動性プレミアムのあるインフラや不動産、森林などを候補に挙げる。いずれも株式だけでなく、債券とも相関性が低い投資先である。

市場ベータだけでなくアルファにも着目

 ラッセル・インベストメントのコンサルティング部長の喜多幸之助氏は、伝統資産である株式や債券の投資魅力が薄れている状況をにらんで、両資産の市場ベータが生み出すリスクプレミアムだけでなく、「アルファにも目を向けた運用が広がっていく」と見る。

 すでに国内株式では、市場ベータに追随せず厳選した優良企業に投資する「集中投資」を採用する年金基金は多い。少子高齢化などの構造的背景から日本株市場の今後の成長は望みにくいものの、なかには見込みのある企業も存在するからだ。

 集中投資以外にもアルファという付加価値を得るため、「スマートベータやマルチアセット、金利上昇対策としてアンコンストレインド債券を採用する年金基金も増えている」と喜多氏は言う。

 比較的ポジティブな見通しが、野村證券フィデューシャリー・マネジメント部長の荻島誠治氏だ。世界経済の実質GDP(国内総生産)は3%強の成長を続け、
日本企業の増益基調などを原動力に日本株も緩やかに上昇していくと予想する。

 とはいえ、「中国・新興国の減速による世界経済の減速」「資源価格の下落」「中東情勢をはじめとした地政学リスク」などのリスク要因を踏まえると、「引き続き下振れのリスクを抑えた安定運用が望ましい」
と荻島氏は考える。

 ただし、安定運用の代名詞であった債券には、「利回りの低さ」や「金利上昇」といった金利問題がつきまとう。逆にボラティリティの大きい株式は、比率を引き下げ過ぎると分散効果が低減してしまう恐れがある。「そこで株式比率はそのままで、下振れのリスクを抑えられるスマートベータの『低ボラティリティ戦略』のほか、マルチアセット戦略や保険リンク戦略などの関心が高まっている」

 すでにスマートベータの低ボラティリティ戦略は機関投資家の間で一般的になっている。野村證券フィデューシャリー・サービス研究センターが実施したアンケートでも、65% 以上の機関投資家が低ボラティリティ戦略を採用、あるいは採用を検討しているという(図表2)。

債券やオルタナティブのスマートベータも存在

 着目している視点は各人各様だったものの、投資先候補はスマートベータやマルチアセット、保険戦略(キャットボンド)、インフラファンドが有力視されているようだ。このうち世界的にも人気が高まっているスマートベータは株式が主流だが、債券のほかにオルタナティブにもスマートベータが存在する。

 五藤氏は「運用コストの削減効果は株式や債券よりオルタナティブのスマートベータの方が大きい。そのため、
オルタナティブ、とくにヘッジファンドのスマートベータの活用を検討するのが望ましい」と説明する。

 荻島氏は低ボラティリティなどの単一のファクターを採用するのではなく、さまざまなファクターを組み合わせたスマートベータの時代が到来すると見る。「今後は『モメンタム』や『バリュー』といった複数ファクターを組み合わせ、ダイナミックにアロケーションを変えていくマルチファクター型のスマートベータが脚光を浴びるだろう」

 複数の資産を包括し、ダイナミックなアロケーションで運用するマルチアセットは、年金基金には難しい機動的な対応ができ、運用のアウトソーシングにつながる手法として注目度が高まっている。

 日本国内には現在、50前後のマルチアセットが存在するといわれるが、多様な資産を組み入れるため仕組みは複雑であり、高度な運用のスキルやノウハウが問われることから、「魅力的なプロダクトは世界でも一握りしかない」(五藤氏)のが実情だ。

 マルチアセットを評価する際は、「リターンだけで判断しないこと」と喜多氏は助言する。マルチアセットの収益源泉には「市場ベータ」「アルファ」「タクティカル・アセット・アロケーション」「リスクパリティ(均等配分)」の4つの要素があるが、「どの要素に期待し、その成果はどうだったのかが評価のポイントになる」と喜多氏は言う。

年金財政の改善で流動性のハードル下がる

 そのほか、最近注目度が高まっているキャットボンドは、株式や債券との相関性の低さが魅力だ。地震やハリケーンが発生したら損失が出るものの、比較的リターンは安定している。1カ月や6カ月に一回は設定・解約できるなど比較的流動性もある。

 ここ数年、大規模な災害が発生していないため、保険料は低下傾向にある。これまで以上に運用報酬水準を意識した方がよいだろう。「日本で主流の低リスク型の場合には、マーケットで取引されるキャットボンドだけでなく、保険会社や再保険会社との相対取引も活用し、運用報酬水準の低いものをなるべく選びたい」と五藤氏は答える。

 伝統資産との相関性の低さではインフラファンドも同じだ。流動性というハードルがあったが、「年金財政の改善もあって投資先として検討する年金基金が増えている」と東京海上アセットマネジメントのマルチマネージャー運用部部長の久村俊幸氏は打ち明ける。

 「オルタナティブ資産の比率が2割未満のところは、流動性を犠牲にして相対的に高いリターンが得られるインフラファンドなどに投資する手もある」と話すのは荻島氏だ。なかでもすでに稼働中のインフラを運用対象にする「ブラウンフィールド」は、キャッシュフローが把握しやすいので債券代替としても投資しやすいという。

 ここからは、伝統資産の魅力低下に伴って存在感を高めるスマートベータ、マルチアセット、インフラファンド、キャットボンドの具体的なプロダクトを紹介する。

スマートベータ

アムンディ・ジャパン

運用者のスキルを伴わずファクタープレミアムを捕捉

 さまざまなモデルが登場しているスマートベータだが、アムンディ・ジャパンは、3つの戦略を提案する。このうち『MSCIファクター・ミックス指数インデックス運用』は、「バリュー」「サイズ」「モメンタム」「ボラティリティ」「クオリティ」「配当利回り」の6つのファクターの指数に6分の1ずつ等金額で投資し、運用者のスキルを伴わずファクタープレミアムを獲得する戦略だ。

 「複数のファクターにエクスポージャー(リスクにさらされている資産の割合)を取るマルチスマートベータのため、超過収益の安定が期待できる」と運用戦略部長の茂知己(しげ・ともみ)氏は解説する。

 続いて『株式アンチ・ベンチマーク運用戦略』は、株式市場のリスクプレミアムを得るため、分散度を最大化する。フランスの独立系運用会社であるTOBAM社が開発した「分散レシオ」をもとに、市場に内在する全てのリスクプレミアムの源泉に均等にエクスポージャーを取ることで、株式市場が提供するリスクプレミアムを余すことなく獲得していく。

 『アムンディ・リスク・パリティ株式戦略』は、時価総額上位銘柄へ過度にリスクが集中する時価総額加重インデックスのデメリットを是正する戦略だ。

 「特定の、あるいはリスクが増大している銘柄やセクターへの投資の集中を回避し、過度なリスクを負うことなく収益の確保が図れる。とくに、時価総額上位銘柄へのリスク集中度が高いTOPIX(東証株価指数)に投資する際に有効な手法である」と機関投資家ビジネス本部ディレクターの木村明美氏は強調する。

日興アセットマネジメント

行き過ぎた株価の戻りを狙うリスク効率性インデックス

 日興アセットマネジメントは、『FTSE EDHEC リスク効率性インデックス』を提案する。実績下方リスクの高い銘柄を厚めに保有し、行き過ぎた株価の戻りを狙う運用戦略だ。出遅れ銘柄が買われていくなどの「循環物色相場」において、時価加重ベンチマークを上回るパフォーマンスが期待できる。

 「株式市場では市場参加者の多様化が進み、株価のファンダメンタルズにもとづかない投資行動も少なくない。また、個人投資家による高頻度売買や先物・オプション取引を利用したブル・ベア型ファンドの規模拡大なども作用し、市場では売り過ぎや買い過ぎが起きやすい状況にある。当戦略は、株価が戻るリバーサル効果をリターンの源泉にしている」と機関投資家営業第一部長の吉田義幸氏は解説する。

 一方、今後ROE(自己資本利益率)が上昇すると考えられる銘柄に投資するスマートベータの開発も完了している。「配当利回りや時価総額といったファクターごとのリターンで過去25年間を見ると、日本市場だけ『高ROE』のリターンは劣後しており、単にROEの高い銘柄に投資するだけでは運用成果は得にくい。当戦略ではキーになる3つのファクターで銘柄を選択し、ROEの上昇に伴うリターン獲得を狙う」とソリューション開発部兼クライアント・サービス部の星貴博氏は説明した。

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ

日本株式の最小分散ポート戦略
運用の一貫性や透明性が強み

 ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズは、日本株式の「最小分散ポートフォリオ」をはじめ、「低ボラティリティ高クオリティ」など複数のファクタープレミアムにもとづいて作られるスマートベータ戦略を提供している。

 最小分散ポートフォリオ戦略は、2009年8月に投資信託として提供。運用会社のなかでも導入が早く、5年超のトラックレコードを有する。「時価総額加重平均に比べて市場の下落時に大きく下がらず、緩やかな上昇局面には同程度の上昇が期待できる」と取締役営業本部長の高橋尚氏は説明する。同社のベータ運用は世界中で30年以上の実績があり、平均の経験年数が10年以上のファンドマネージャー約60人が世界中の市場をカバー。さまざまなマーケットの状況に強い対応力を持つ。

 「当社では、スマートベータ戦略をパッシブの枠組みで運用している。運用の一貫性、透明性、客観性が本来のパッシブと同等に担保されており、戦略としてのわかりやすさが強み。アクティブより低い運用手数料を魅力と感じていただけるお客さまも少なくない」とスマートベータ戦略の運用を担当するGEBSグループ・ヘッドの遠藤信也氏は語った。

マルチアセット

マニュライフ・アセット・マネジメント

クオンツとジャッジメンタルの
2つのアプローチで運用

 マルチアセットには「クオンツ」と「ジャッジメンタル」のタイプがある。クオンツは過去のデータにもとづいて運用するため、規律性や再現性に秀でるが、不測の事態に弱い。一方のジャッジメンタルは数値化されにくい地政学的リスクなどの対応が可能だが、ファンドマネージャーのスキルに依存するなど、それぞれ一長一短がある。

 このクオンツとジャッジメンタルの両アプローチを組み合わせたマルチアセットが、マニュライフ・アセット・マネジメントが主に金融法人向けに提供している『リスクコントロール型バランス戦略』である。

 資産クラスごとの予測やリスク分析などは数値を使った定量判断、リスクオン・オフ時の機動的な対応やアロケーションの最終調整などは経験豊富なファンドマネージャーが定性判断することで、クオンツとジャッジメンタルの長所を生かし、短所を補う運用を実践する。他社では、リスクを固定させる戦略が多いなか、同社では0~ 6%
まで機動的にポートフォリオのリスクを調整する。

マニュライフ・アセット・マネジメントのシニア・マネージャーの筋野智氏は、「適切・迅速なリスク管理によるリターンの最大化を目指し、アロケーション変更は日次で行う。月次コメントや臨時レポートを発行するなど丁寧な情報発信もグローバルにお客様の評価をいただいている」と説明する。

大和住銀投信投資顧問

シンプルなポートフォリオ
リターンの源泉も明確

 大和住銀投信投資顧問のマルチアセット『インサイト・ブロード・オポチュニティーズ・ファンド』の特徴の1つは、英国大手運用会社インサイトが運用していることだ。同社は2004年よりジャッジメンタル型のマルチアセットを運用しており、2008年のリーマン・ショックを乗り越えた経験を持つ。「設定来の年率リターンは4.78%、年率リスクは6.21% と、株式よりはるかに小さいリスクで株式と同等のリターンを獲得している。ジャッジメンタル運用なので、リーマン・ショックのような危機時にも機動的な対応が可能」と大和住銀投信投資顧問の商品第一部再委託室長の石丸愼司氏は話す。

 もう1つの特徴は明確なリターンの源泉。株式や債券の市場ベータを中核としたアロケーション戦略と、主にオプション取引によるアルファと、リターンの源泉が分かりやすくなっている。

 また、現物の株式や債券は限定的な保有にとどめ 、流動性の高いETF、先物、オプションなどを選好する。
「シンプルなポートフォリオになっており、初めてマルチアセットに取り組む年金基金などに向いている。すでにマルチアセットに取り組んでいるところも分散として活用できる」(石丸氏)

三井住友アセットマネジメント

「追髄力」と「抵抗力」で上昇、下落の両局面に対応

 三井住友アセットマネジメントの『グローバル・ダイナミック・アセット・アロケーション戦略』は、米国の運用会社パインブリッジ・インベストメンツの旗艦戦略の一つ。株式や債券、PE(プライベートエクイティ)、不動産などに幅広く投資している。

 三井住友アセットマネジメント営業企画部評価推進課長 兼 DC・NISA推進課長の窪田剛久氏は「2002年から長期のトラックレコードを有しており、上昇局面での『追髄力』と下落局面での『抵抗力』が強みだ」と語る。

 今後5年間のリスク・リターンを予想する中長期見通しと、短期見通しをもとに中長期的な9~18カ月のハウスビューを策定。このハウスビューをもとにリスク許容度に応じたアロケーションを行うことで、「株式の上昇局面においては高い追髄力があり、下落時には高い抵抗力のある運用を実現している」(窪田氏)

インベスコ・アセット・マネジメント

3資産のリスクパリティで安定したリターンを創出

 インベスコ・アセット・マネジメントでは、クオンツとジャッジメンタルのマルチアセットを取り扱う。このうちクオンツは、『リスク・バランス・アロケーション』を基本に、ダウンサイドプロテクションの機能を付加した『グローバル・バランス・ソリューション』も用意している。

 『リスク・バランス・アロケーション』は、債券と同程度のリスク水準で株式並みのリターンをあげるというコンセプトで、年率8%のボラティリティで、キャッシュプラス6%のリターンを目指す。これまでのリターンは2008年の設定来で年率8.65%。リーマン・ショックに見舞われた運用初年度を除き、2009~ 2014年度にかけてプラスのリターンをあげてきた。

 ポートフォリオは株式と債券、コモディティの価格変動幅が等しくなるようにリスクパリティで構築。「相互に低相関な株式、債券、コモディティをリスクパリティで組み合わせることで、あらゆる経済環境においても安定したリターンを生み出すようにしている」とインベスコ・アセット・マネジメントの岸本氏は説明する。

 一方のジャッジメンタルの『グローバル・ターゲット・リターン』は、英国に拠点を持つインベスコ・パーぺチュアルが運用を担当。年率でキャッシュプラス5%の運用目標を掲げる。

 制約を持たない“アンコンストレインド・アプローチ” が運用の特徴で、特定のリスクやリターンに偏らないように、20以上のポジションに投資を分散している。

 2013年の設定来の年率リターンは6.88%、標準偏差は4.64%。「チャイナショックのあった2015年7~9月期はプラスのリターンをあげるなど、ドローダウンを抑制しながら安定したリターンを残している」(岸本氏)

アムンディ・ジャパン

ドローダウンコントロールを意識
危機時にも機動的なリスク管理

 アムンディ・ジャパンの『バランス&アロケーション戦略』はジャッジメンタルのマルチアセットである。「ジャッジメンタルのマルチアセットは危機時におけるパフォーマンスが選定のカギとなるため、ドローダウンコントロールを強く意識している」と木村氏が解説するように、2004年から2014年までの10年でリターン(手数料控除後リターン)がマイナスになった年はない。リーマン・ショックに揺れた2008年も8.60%のリターンを残している。「リスクアセットのエクスポージャーを臨機応変に動かしているから」(茂氏)というのがその理由だ。

 例えば2007年4月以降、運用チームのシナリオや市場環境、ファンドマネージャーの確信度を踏まえてリスクアセットの比率を引き下げている。

 「サブプライムローン問題がクローズアップされるきっかけとなった2007年8月の『パリバショック』が起きる前にはすでに動いていた。その結果、2008年のリーマン・ショックのときに優れたパフォーマンスを残すことができた。こうした危機時に機動的なリスク管理を行っているのが、この戦略の大きな特徴だ」(茂氏)

 同社ではマルチアセット戦略以外に、アンコンストレインド債券戦略『グローバル債券トータル・リターン戦略運用』も提案。柔軟かつダイナミックな配分変更でリーマン時にもプラスのリターンをあげている。

ニューバーガー・バーマン

柔軟なカスタマイズで
投資家ニーズに合わせた運用を

 ニューバーガー・バーマンのマルチアセット運用は、各機関投資家の目標リスク・リターン水準や投資方針などに合わせたカスタマイズができる点が最大の特長だ。アロケーション変更の度合いやそのプロセスなど、投資家の意向に沿った個別のアセットアロケーションを行う柔軟性と機動性がある。

 「当グループにはマルチアセットの専任チームがあり、伝統資産からオルタナティブまで手がけるグローバルなプラットフォームを活用した運用ができる」とニューバーガー・バーマンの取締役 機関投資家営業部長の浅場公明氏は述べる。

 ドローダウン管理を日次で行う独自のプラットフォームを有する点も同社の強みだ。マルチアセット運用体制のさらなる拡充も進めている。

 同社の西原優太郎氏は「優れたパフォーマンスの追求に加えて、市場やアセットアロケーションに関する投資見通し、投資アイデアなどさまざまな情報を共有するほか、トレーニング・プログラムなどによるリソースの提供もお客さまのニーズに応じて活発に実施している」ことも独自性の1つに挙げた。

インフラファンド

東京海上アセットマネジメント

インフラ投資に定量モデル
ポートフォリオを最適化

 東京海上アセットマネジメントは、オーストラリアのヘイスティングスが運用するThe Infrastructure
Fund(TIF)とUtility Trust of Australia(UTA)を取り扱う。同社は、1994年にオーストラリアで初めてインフラエクイティファンドを、1999年にデットファンドを設立した約20年の経験を有する老舗インフラ投資会社だ。

 へイスティングスのファンドには3つの特徴がある。1つ目は、オープンエンド型で10件以上のインフラ案件に分散投資が可能な点。2つ目は、豪ドルベースの年平均リターンで、TIFでは14.0%(2000年6月~2015年6月)、UTAでは11.5%(1995年6月~2015年6月)と2桁リターンとなっていること(注:米国不動産関連源泉税後、豪州源泉税前)。3つ目は、独自の定量モデルである「売上リスクモデル」を使いボラティリティを抑制したポートフォリオが組成できる点だ。

 「インフラファンドでポートフォリオ構築に定量モデルを活用している会社は少ない。過去に検討した案件のリターンデータや売上データから投資案件の資産を分析。これをもとに売上リスクと資産の成熟度に着目したマトリクスを作成することで、ポートフォリオの最適化が可能になる」(久村氏)

イーストスプリング・インベストメンツ

徹底したデューデリジェンスと
綿密な契約で収益安定狙う

 魅力的なリターンが期待できるインフラ投資だが、比較的新しい投資対象であり、投資に際した注意点が少なくない。イーストスプリング・インベストメンツの機関投資家営業部長、藤田明成氏は、「とくに運用戦略と運用者のスキル、サスティナビリティに着目すべき」と語る。

 インフラ戦略を検討するうえで、投資期間やリスク・リターンなどが運用目的に合致していることが何より重要だ。運用者のスキルは、案件のリードマネージャーのスキルや経験はもちろん、インフラ投資のスキームに係わるゼネラルパートナーやサービスプロバイダーの実力にも目を配る必要がある。「先進国と新興国で運用のノウハウも異なる。運用者のスキルとプロファイルがマッチしているか見極めなければならない」と藤田氏は強調する。

 また、インフラ投資は長期間におよぶ傾向があるため、法制度や許認可に対する精通度や出口戦略、条件付けのアイデアが豊富であるか否かもパフォーマンスを左右する。

 「例えば欧米のBBB格社債とインフラデットを比較すると、過去5年間におけるデフォルト時の損失率は、前者が60%に対して後者は20%という統計がある。インフラデットでは、マネージャーのスキルによって、さらに損失率を低減できる可能性がある」(藤田氏)

 同社グループのインフラデットの投資事例であるフィリピン・ミンダナオ島の石炭発電プロジェクトでは、徹底したデューデリジェンス(精査)の実施や綿密な契約でディール条件を担保することでオフショア・シニア債に投資し、7%程度の想定リターンを見込む。環境や社会へ配慮された持続可能な案件であることもリターンの安定化につながっている。

キャットボンド

三井住友アセットマネジメント

国内完結型の運用体制
地域やペリル、銘柄を分散

 三井住友アセットマネジメントのキャットボンドは、国内完結型の運用体制という特徴を持つ。キャットボンド投資はもとより、保険や再保険実務に豊富な実績、経験を持つ三井住友海上火災保険から投資助言を受け、三井住友アセットマネジメントが最終的な投資判断や運用指図を行っている。

 「国内完結のスキームという利点を活かし、災害発生情報などをタイムリーに提供することができる」と三井住友アセットマネジメントの窪田氏は語る。ポートフォリオ構築では、地域やペリル(損失を引き起こす可能性のあるイベント)、銘柄の分散を心がけている。災害発生時のファンドへの損失を抑制するよう、期待損失率が市場平均よりも低いポートフォリオの構築も図っている。

 「流動性に関しては1カ月ごとに設定、解約を行っている。キャットボンドのみに投資しているので、保険戦略のなかでも中身がわかりやすいのもアドバンテージといえるだろう」(窪田氏)

東京海上アセットマネジメント

国内機関投資家向けの商品性追求
グループ力を運用に活かす

 東京海上アセットマネジメントが運用するキャットボンドファンドは、「日本関連リスクを極力排除する」「固定報酬制」「原則として月に一度、設定解約可能」という3つの特長を持つ。地震や台風といった日本関連リスクを極力排除するのは、日本で災害が発生した場合でも伝統資産との低い相関関係を維持するためだ。

 また、キャットボンドのリターンには将来発生しうる損失コストが含まれていることから、単年度のパフォーマンスによる成功報酬は取らずに、固定報酬制としている。そして、主な投資対象をキャットボンドに限定することで、「原則として月に一度、設定解約可能」という一定の流動性も確保している。このような特長が年金基金から支持を得ているようだ。

 キャットボンドファンドのポートフォリオ構築に際し、キャットボンドの売買は東京海上アセットマネジメントのニューヨーク拠点であるTokioMarine Asset Management(USA),Ltd.で行い、キャットボンドに内包される災害リスクなどの分析情報については東京海上グループである東京海上日動リスクコンサルティング社からの情報を活用している。

その他

アーク東短オルタナティブ

東南アジアのメザニンファンドで
流動性プレミアムを享受

 流動性の高い資産から価値が上昇する「流動性相場」が続き、リスクプレミアムが減少するなか、低流動性資産への注目が集まっている。アーク東短オルタナティブは、シニアローンとエクイティの中間に位置するメザニンファイナンスへの投資妙味が高まると見立てる。

 「メザニンファンドは、流動性プレミアムが享受でき、低流動性資産のなかでも金利や配当といった安定的なインカムが得られる。Jカーブが生じにくいのも魅力だ。市場動向や投資家のニーズにマッチしている」と同社取締役の鈴木英典氏は分析する。

 また、メザニンは、元本が減るにつれ回収リスクも低減する。通常、早期償還に対するプット・オプションが組み込まれており、期前完済の場合のIRR(内部利益率)も確保される仕組みを持つ。

 同社が提案する『ユナイテッド・オリエント・キャピタル・ファンド(UOC)』は、シンガポールの大手銀行であるユナイテッド・オーバーシーズ・バンク・リミテッド(UOB)とオリックスが組成したメザニンファンドだ。UOBは、アジア太平洋地域や北米など19の国と地域に500カ所を超える事業所網を持ち、とくにアジア地域でのプレゼンスが高い。

 同社取締役の古屋武人氏は、メザニンファンドに投資する際に地域特性も留意すべきと語ったうえで、「UOCの主な投資先である東南アジアは同族企業が多く、買収や成長資金の調達において経営権に影響をおよぼすPEは敬遠される。多少高い条件でもデットを選好する傾向があり、メザニンファイナンスへのニーズも高い」と指摘する。

マニュライフ・アセット・マネジメント

「農地」「森林」「再生エネ」で
低金利下の収益上乗せ狙う

 マニュライフ・アセット・マネジメントは、プライベートアセットである「森林投資」と「農地投資」、「再生可能エネルギー投資」を低金利下での収益の上乗せ手段に挙げる。森林投資は、競合の少ない大規模な森林を割安に取得・育成する。

 「木材価格の市場動向に応じて出荷を調整することで長期的に安定したインカムゲインが期待できる。また、森林管理における品質評価の第三者認証を取ることなどで、償還時に森林の付加価値向上に伴うキャピタルゲインも狙える」とマニュライフ・アセット・マネジメント代表取締役社長 チーフ・インベストメント・オフィサーの石田成氏は語る。

 農地投資は、大豆やとうもろこしなどの穀物、リンゴやナッツ類などの果樹が投資対象となる。農地は、新興国の生活水準向上による食料需要からニーズも高い。収益サイクルが異なる穀物と果樹の2つを組み合わせた運用だけでなく、特定地域へ集中投資するといったカスタマイズも魅力だ。

 再生可能エネルギー投資では、植物や生物などの有機性資源(バイオマス)から生成されるバイオ・エネルギーの生産インフラに投資を行う。温室効果ガスの削減や環境への配慮が政治的、社会的に高まっており、バイオ・エネルギー分野の成長が期待されている。

 「2014年よりバイオマス・プラント等への投資を始めた。再生可能エネルギー投資の最大のメリットは、金融市場のベータにさらされないことだ」(石田氏)

トムソン・ロイター

増えるESGでの投資選定
国内コンテンツも強化

 トムソン・ロイターでは、ESG(環境・社会・企業統治)情報のグローバルスタンダードであるASSET4ブランドを含め、世界約4000企業を500項目以上のデータポイントで、約120名のアナリストがフォローしている。今後、ESG情報の投資スクリーニング組み入れが増加するとの見立てから、国内コンテンツについても強化したい意向だ。

 当初、ESGは投資戦略としてとらえられていたが、パフォーマンスにつながらなかったことで一部の運用会社を除き注目度は下降した。しかし、2006年に国連が「責任投資原則」を提唱したことで環境が大きく変化。ESGスクリーニングがさまざまな投資戦略のなかのフィルタリングに組み込まれていくことになる。

 「SRI(社会的責任投資)の規範を取り入れた運用は、グローバルで30兆米ドルと、総運用資産額の30%超を占め、ここ数年は、前年度比約50%の伸びを見せている。一方、日本は、社会的責任フォーラムの統計によると、2015年9月末時点で8094億円となり、資産運用会社の委託金額400兆円の1%にも満たない。ESGのバランスが取れている企業が、超長期で存続する可能性が高いことは明らかだ。データベースリサーチのニーズが日本でも高まることは間違いない」と、同社日本法人執行役員の渡邊竜士氏は強調する。