年金基金や機関投資家などの間で注目を集めつつある運用戦略がある。PGIMジャパンの『システマティック・アブソリュート・リターン(SAR)戦略』だ。注目度上昇の理由と、それを実現する運用哲学および実践について、PGIMジャパンの2人のキーマンに話を聞いた。
(記事中の数値は特に断りのない場合は2023年3月現在)

PGIMジャパン
年金ビジネス部
ヴァイス・プレジデント
樋口 圭介氏(写真左)
グローバル資産運用部
チーフ・プロダクト・スペシャリスト
大岡 正英氏(写真右)

特筆すべきは長年にわたるプラス、リターン確保とドローダウン抑制

年金基金や機関投資家などがPGIMジャパンの『システマティック・アブソリュート・リターン(SAR)戦略』に注目する理由は、見通しが不透明な市場環境でも堅調なリターンが期待できるこれまでの実績だ。図表1をご覧いただきたい。インフレ高進に伴う金融引き締めやロシアのウクライナ侵攻などで株式および債券市場が大きく下落した2022年に、SAR戦略は目標の短期金利プラス5%を大幅に上回る11.40%のリターンを獲得した。

「シャープレシオだけでなく、ドローダウンの抑制度合いを示す指標の『ソルティノレシオ』は、2015年7月の設定来で1.91%と、競合戦略と比べて突出して良好な水準であるとの統計が示されています。元本の保全に重点をおいた絶対収益追求型のSAR戦略をポートフォリオに加えることで、リターンを確保しつつ、ご投資家様の資産全体の下落リスク低減を目指すことができます」(PGIMジャパン 年金ビジネス部 ヴァイス・プレジデントの樋口圭介氏)

SAR戦略の投資対象資産は、24の株式先物、15の債券先物、4の金利先物、27の通貨先渡の計70にのぼる。モデルに組み込んだアルゴリズム(売買執行プログラム)に基づきこれらを機動的に組み合わせ、トレードを執行するシステマティックなマルチアセット戦略がSAR戦略だ。

一般的なモデル運用とは異なる先見的な「カイゼン」

ひと口に絶対収益追求型のモデル運用と言っても、運用会社によって投資手法は異なる。SAR戦略の特色は、「システマティック・マクロ」戦略ではなく、むしろ「マクロ・システマティック」戦略と呼ぶべき仕組みを備えていることだ。つまり、社会・経済・金融全体といったマクロ環境の綿密な考察・分析が上位にあり、そこから導き出した将来予測=フォワード・ルッキングに従ってモデル運用するイメージである。

「典型的なシステマティック・マクロ戦略は、構築したモデルをまず走らせ、収益が悪化したら手直しします。一方、SAR戦略は世界経済がどこに向かっているか、政策や統計はどう変化しているかを考察し、フォワード・ルッキングに見通しを立て、モデルを常に改良します。ロシアのウクライナ侵攻もフォワード・ルッキングに基づき、2022年1月の侵攻以前にその可能性をモデルに織り込んでいました。その結果、図表1で示した2022年の安定リターンを実現できたのです」(PGIMジャパン グローバル資産運用部 チーフ・プロダクト・スペシャリストの大岡正英氏)

図表1 過去5年間のリターン(報酬控除後、米ドルベース、年率換算)

この緻密なモデルを構築しているのが、PGIMワドワニの運用チームである。同社は2002年にスシル・ワドワニ氏が設立し、2019年にプルデンシャル・ファイナンシャルの資産運用部門であるPGIM(ピージム)傘下に入った。英国ロンドンに本拠を構え、リキッド・オルタナティブ戦略やカスタム・ソリューション戦略などを提供している。その提供プロダクトの一つがSAR戦略である。

同社のCIO(チーフ・インベストメント・オフィサー)のワドワニ氏は英国経済諮問委員会のメンバーで、イングランド銀行の金融政策員会メンバーや米系大手投資銀行で株式戦略ディレクターを務めるなど、マクロの考察および中央銀行の政策決定に精通している。運用チームの他のメンバーも学術的見地、公共政策の知見、金融市場での経験を併せ持つ専門家だ(図表2)。

図表2 PGIMワドワニの運用チームの主なメンバー
※クリックすると拡大表示されます

「彼らはマクロ環境の見通しについて日々ディスカッションを重ね、その方向性をフォワード・ルッキングな見方に落とし込み、SAR戦略のモデルに反映します。日本のメーカーが業務プロセスの効率性を継続的に改良する『カイゼン』のように、SAR戦略のモデルは最新の地政学リスクやインフレリスクなどをいち早く織り込むべく仕組まれています」(大岡氏)

伝統資産との高い分散効果と元本毀損リスクの抑制効果

SAR戦略のポートフォリオ構成は、株式先物と債券・金利先物がそれぞれ4割程度、残りは通貨先渡が基本だ。トレードの95%はアルゴリズムに基づき執行される。そのアルゴリズムは、日中は15~30分ごとに更新されるデータを反映し、ソルティノレシオの最大化と投資環境の変化への即時対応を追求し「カイゼン」し続けているものだ。同時に、明示的なストップ・ロスやレバレッジ削減ルールの徹底で過度なリスクテイクや元本毀損リスクの回避を図る。

「SAR戦略は、市場環境の変化に応じたダイナミック・アセット・アロケーションで、伝統資産との高い分散効果と元本毀損リスクの抑制が期待できる流動性の高いマルチアセット運用です。SAR戦略をお客様のポートフォリオに加えていただくことで、ポートフォリオの強靭化を目指していただきたいと思います」(樋口氏)

2023年中に英国と米国がリセッション(景気後退)に陥る可能性が議論される中、多くの投資家は安定したリターンを確保するにはどうすればよいか思案を巡らせている。人は時代を選ぶことはできないが、運用戦略は選べる。PGIMジャパンのSAR戦略は、不安定な市場環境における頼もしい選択肢と言えるだろう。

本稿は、情報提供を目的としており、特定の金融商品の勧誘や販売を目的としたものではありません。本戦略へのご投資にあたっては当社と投資一任契約を締結していただくことを前提としています。また、当戦略は投資対象に商品先物を一部含む場合があります。その場合、当該投資一任口座にて当戦略に基づく運用を行うビークルの持分を組入れることを前提としています。当該ビークルは、当社の関連会社である、PGIMワドワニ LLPが運用を行います。

【運用実績について】過去の実績は将来の成果を保証するものでも、将来の実績を示唆するものでもありません。投資資産の価値は常に変動し、さらに追加で為替レートの影響を受ける場合があります。

【リスクについて】主なリスクとして価格変動リスク、為替変動リスク、カントリーリスク、流動性リスクなどにより元本欠損が生じることがありますが、これらに限定されるものではありません。さらに、当戦略では、計量モデルを活用してデリバティブ商品を組み入れるため、デリバティブ取引固有のリスクがあります。また、モデルの完全性を保証するものではありません。

【費用について】投資顧問業務の対価として投資顧問報酬(資産残高に対し最大1.10%(税込)の逓減料率)が費用として発生します。当グループが運用を行う投資信託を組み入れる場合は、最大0.055%(税込)の費用が発生します。その他、運用において発生する費用やお客様との個別協議により決まる費用もあることから、事前に計算方法や上限等を示すことはできません。従って費用の合計額または上限額を表示することはできません。

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