日本の年金基金や金融機関の間で「欧州不動産」への関心が高まっている。このトレンドを追い風に注目を集めているのが、フィデリティ投信が提供するユーロ圏を投資対象とした不動産戦略だ。その代表戦略のポイントと運用プロセスにおける独自アプローチについて担当者に聞いた。

日本の機関投資家が注目する4つの理由

フィデリティ投信 機関投資家営業部長の戸田淳氏によると、日本の機関投資家が英国や北欧圏を除くユーロ圏の不動産に注目している理由は大きく分けて4つ挙げられるという。

①世界第2位の市場規模であり、価格透明性が高い
②物件保有者、テナント、行政の気候変動に関する意識が高く、不動産投資を通じて地球温暖化問題に対する貢献が期待できる
③欧州各国各都市で相関が低く分散投資効果が見込める
④テナントの大企業比率が低く、グローバル対比で株式市場との相関が低い

戸田淳氏
フィデリティ投信
機関投資家営業部長
戸田 淳

「①の理由から、世界の主要機関投資家の中ではユーロ圏の不動産は信頼性と流動性が高いと評価されています。新型コロナウイルスの感染拡大で都市のロックダウンが相次いだ2020年第2四半期でも、パリやベルリン、ミュンヘンなどの物件は国内投資家の旺盛な需要に支えられて流動性を維持。コロナ禍の収束が見通しにくい環境下でも、ユーロ圏の不動産は長期投資の対象資産の有力候補と位置付けられます」(戸田氏)

②も長期運用資産としての特徴を示す理由といえそうだ。「ESG(環境・社会・企業統治)を満たしていると考えられるユーロ圏の不動産は、足元では全体の2%未満に過ぎません。欧州は不動産関係者の気候変動に関する意識が高いため、ESG対策の改修はこれから急ピッチで進むでしょう。SDGs(持続可能な開発目標)投資を実践したい機関投資家にとっては、魅力的な物件がさらに増えていくと予想されます」(機関投資家営業部長の吉澤和也氏)。

ユーロ圏は景況感の違う地域が集まっているので、③の分散投資効果が見込める点は理解できる。そして、同エリアの不動産市場が米国や日本などと大きく異なるのが④の特徴だ。

「オフィスビルのテナントが上場企業中心の市場は、企業の業績不振→株価下落→オフィス需要低迷と、株価と不動産価格の相関性が高くなりがちです。ユーロ圏は一等地のオフィスビルでもテナントは非上場企業ばかりというケースが珍しくありません。同じ欧州でも株価と不動産の相関性は低いため、すでにグローバル・インデックス経由の投資などを通じて欧州株式を保有しているポートフォリオにも組み入れやすいといえるでしょう」(吉澤氏)

吉澤和也氏
フィデリティ投信
機関投資家営業部長
吉澤 和也

実は、この④の特徴こそ、ユーロ圏の不動産市場でフィデリティ投信が強みを発揮できる背景となっている。テナントの大企業比率が高い市場なら、公開財務情報をチェックすることでマーケットの方向性をある程度つかむことも可能だろう。しかし、情報が相対的に少ない非上場やニッチ分野の企業が中心の市場では、より精緻なテナント企業分析が欠かせない。フィデリティ投信が得意とするボトムアップ・アプローチが効果的な市場構造といえる。

「私たちのユーロ圏の不動産戦略のキーワードは『KYT』です。ノウ・ユア・テナント、つまり安定的な賃料収入を確保するためにテナントの分析に注力しています。ブティック系運用会社と違い、当社の不動産運用チームはボトムアップ分析を得意とする独立系運用会社の不動産運用部門であるため、株式や債券の運用チームからの情報も合わせて物件ならびにテナントを総合的に分析しています」(シニア・プロダクト・ストラテジストの永井基志氏)

徹底したテナント・インカム・リスク分析がインカム確保のカギ
出所:フィデリティ・インターナショナル。2021年1月
1ダン・アンド・ブラッドストリートのレーティングおよび該当する債券格付けをレビュー

経験豊富な不動産チームが株式や債券のチームと連携

永井基志氏
フィデリティ投信
シニア・プロダクト・ストラテジスト
永井 基志

テナントを深く知る「KYT」をベースにした同社の欧州不動産戦略の代表戦略が、ドイツ、フランス、ベネルクスの大陸欧州のコア/コアプラス不動産に投資する戦略だ。「物件購入では、40名ほどの経験豊富な不動産運用チームが、定性分析に加えて、将来キャッシュフロー予測モデルとテナント信用リスクを用いた定量分析を実施。ポートフォリオのセクター配分といった戦略レベルの意思決定においても、株式や債券のチームと緊密に連携することで将来の変化を先取りした投資判断を可能にしています」(永井氏)。

2020年末時点のユーロベースのトータル・リターンは、2011年6月末の設定来で年率プラス8.0%。過去3年で年率プラス6.6%、過去5年で年率プラス7.3%、2020年通年ではプラス3.7%だった。「2020年はコロナ禍で不動産マネジャーの明暗が分かれましたが、当社の賃料回収率は独自アプローチのKYTが貢献して98%と高い水準を達成。2020年のリターン3.7%のうち、KYTが奏功しインカムが3.4%を占めています」(吉澤氏)。

代表戦略の2020年の年間パフォーマンス
出所:フィデリティ・インターナショナル。2020年12月31日
*サステナビリティはGlobal Real Estate Sustainability Benchmarkを参照

代表戦略には、欧州の機関投資家のほか、日本でも銀行と保険会社の2社が投資している。戸田氏は、「当代表戦略は、ユーロベースで5~7%のトータル・リターンを目指します。特に円投資の日本の機関投資家様は、昨今の金利環境下ではユーロ円ヘッジのプレミアムも享受できるのではないでしょうか。安定的なインカム収入が期待できるツールとしてご活用ください」と提案する。

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