明治安田アセットマネジメントは2026年1月26日、東京都内で「2026年新春年金運用セミナー」を開催した。株価や円金利の上昇という運用環境の変化を受けて、「今が資産運用の見直しを図る絶好のタイミング」と強調。そのうえで、海外の大手年金基金で採用が進むポートフォリオ管理の新たなアプローチなどを紹介した。

講演を行う五藤智也・法人本部クライアントソリューション担当部長

株価上昇・円金利上昇・積立比率改善
資産運用の検証と見直しのタイミング

「運用環境の新ステージに挑む年金ポートフォリオ」と題して、明治安田アセットマネジメントの五藤智也・法人本部クライアントソリューション担当部長(前マーサー・インベストメンツ社長)が講演した。五藤氏は冒頭、「企業年金を取り巻く運用環境は今、大きく変化している」と指摘した。ポイントとして、①円金利の上昇②株価の上昇③企業年金の積立比率の改善——の3点を挙げた。円金利上昇で国内債券の期待リターンが向上し、株価上昇と合わせて積立比率が大きく改善している。

国内債券の期待リターン上昇は、具体的にどのような効果をもたらすのか。単純化するため、国内債券と株式(期待リターン7%の前提)の2資産だけのポートフォリオを想定する。トータル2.5%のリターンを目指す場合、国内債券の期待リターンが1.0%とすると、株式比率は25%必要。ところが国内債券の期待リターンが2.0%に上昇すると、株式比率は10%で目標に到達する。

こうした変化が現在、目の前にある。政策アセットミックスは3年から5年の財政再計算時に見直すのが通例だが、五藤氏は「運用環境や積立比率の変化に合わせて適宜実施すべきではないか。今がまさに、そのタイミングに当たる」と強調した。

ポートフォリオ全体が「一つのまとまり」
全体最適目指してリスク・リターン管理

この政策アセットミックスの見直しに関して五藤氏は「新しい考え方」を提示した。アイデア自体は20年ほど前から存在するが、最近CalPERS(米カリフォルニア州退職年金基金)が採用を決めて話題になっている「トータル・ポートフォリオ・アプローチ」(TPA)だ。

従来の政策アセットミックスは【図表】の左のように、資産クラスごとに構成比率を決める。それに対してTPAは右のように、全体を株式と債券の2資産に仮に大別する。「レファレンス・ポートフォリオ」と呼び、株とプライベート資産など異なる投資対象も直接比較・衡量する。このことによって、リスクとリターンの全体最適を追求する仕組みだ。ある海外の調査によると、TPAを導入した基金は、従来型の政策アセットミックスを採用している基金に比べて、過去10年間で年率1.8%高いリターンを確保したという。五藤氏はTPAの主なメリットとして次の3点を示した。

①運用者が重要な事項に集中できる
②資産構成が柔軟で機動性がある
③分散が高度化できる

五藤氏は、資産配分の今後の方向性として①国内債券への回帰②オルタナティブ投資へのさらなるシフト――の2つがあると言う。ただ、国内債券に関しては、代表的なインデックスである野村BPI総合への準拠一辺倒でよいかどうか。またオルタナティブ投資の中で、プライベートアセットは「今後、商品間のリターン格差が大きくなることを想定すべき」とそれぞれ注意を喚起した。

【図表】従来の政策アセットミックスとTPAの違い
従来の政策アセットミックスとTPAの違い
出所:明治安田アセットマネジメント作成
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