年明けの今、私たちを取り巻く不確実性を考えると、経済がどの程度安定しているかを確認してみる価値があります。2026年初めの世界経済は前年末と変わらぬ様相を呈しており、圧力下にあるものの全体としては安定しています。さまざまなデータから、成長率は今後数四半期で潜在成長率に向けて徐々に収束していくとみられます。国・地域レベルの350以上の指標を集約した弊社独自のマクロ指標も、この見方を裏付けています(「今週のチャート」参照)。とはいえ、経済の勢いには依然としてばらつきがあります。減速のペースは地域によって異なり、見通しは突発的なショックの影響を受けやすい状況が続いているため、方向性が急変する可能性があります。

現在の環境で特に際立っているのは、成長率と物価上昇の乖離が拡大していることです。総合インフレ率は多くの国で予想以上に落ち着いているものの、基調物価圧力は高止まりしています。この傾向は特に米国で顕著です。新たな関税に加え、既存の関税の遅行的な影響も相まって、経済活動の強さに関わらず、物価にさらなる上昇圧力がかかるリスクがあります。この動向は、物価安定という主たる責務を見失うことなく経済を支えなければならない中央銀行の任務を複雑にしています。

地域レベルでは、状況はまちまちです。前途多難なのは米国で、2026年の成長率は潜在成長率を下回る可能性が高い一方、インフレ率は金融政策の目標を上回ると予想されます。欧州の見通しはより均衡が取れており、インフレの緩和と財政支出拡大(特にドイツ)が追い風となっています。一方、中国は依然として慎重な綱渡りを強いられています。短期的には循環的な景気回復の可能性があるものの、構造的なトレンド成長率の低下から脱却できる可能性は低いでしょう。ただし、中国経済には多くの不確実要因が存在します。

今週のチャート

World Macro Breadth Index

World Macro Breadth Index
出所:Allianz Global Investors Global Economics & Strategy, Bloomberg, Refinitiv、2025年12月31日時点。
過去の実績や予測、予想、見込みは将来の実績を示すものではなく、また、将来のパフォーマンスを示唆するものではありません。

来週を考える

新しい週を迎えるにあたり、米国から新たな不確実性の源が浮上しつつあります。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長がFRB本部の改修工事に関する発言をめぐり刑事捜査の対象となっているのです。パウエル議長は疑惑を否定し、金融政策に影響を与えるためにFRBの独立性を狙った政治的な攻撃だと主張しています。また、トム・ティリス米上院議員は、法的問題が解決されるまで、上院銀行委員会でのFRB人事承認を阻止すると発表しました。その結果、FRBの後継人事と今後の政策の方向性が不透明な状況が長引く可能性があります。これを受け、インフレ懸念が再び高まりそうです。

同時に、通商政策も市場の不安材料となる可能性があります。米連邦最高裁判所は、トランプ政権が課した主要な関税の合法性と、経済的緊急事態と称して国際緊急経済権限法の下で関税を発動したことの正当性を審理しています。

さらに、イランにおける抗議活動も引き続きリスク要因となっており、情勢は極めて不透明なままです。

来週は、経済指標の発表が目白押しとなっています。週初めには中国で、成長と消費に関する2つの重要な指標が発表されます。鉱工業生産は、前回の4.8%増から5.0%増に上昇する見込みで、小売売上高は前回の1.3%増から1.2%増へとわずかに減速すると予想されています。

ドイツからは、2025年通年のGDP成長率(前回-0.5%)とZEW景況感指数(前回45.8)が発表される予定です。

続いてユーロ圏では、12月のインフレ率の確報値が発表されます。統一消費者物価指数(HICP)は2.0%で横ばいと予想されます。週後半には消費者信頼感指数の速報値も控えています(前回-13.1)。

米国では、FRBが重視するインフレ指標である個人消費支出(PCE)価格指数が注目されます。直近では、総合・コアともに2.8%でした。また、新規失業保険申請件数も発表されます。

週の終わりにかけては、幅広い先行指標が控えています。主なものとして、ドイツの購買担当者景気指数(PMI)(前回51.3)、ユーロ圏のPMI(同51.5)、米国のPMI、そして英国のGfK消費者信頼感指数(前回-17)などがあります。米国では、ミシガン大学消費者信頼感指数の確報値(前回54)も発表予定です。最後に、日本銀行の政策金利決定が発表されます(前回は0.75%に引き上げ)。

結論として、ファンダメンタルズと政治の両面で不確実性は依然として高いものの、すでにピークに達したと考えます。経済サイクルの後期段階にあるとはいえ、リスク資産(すなわち、株式)にとってはプラスに働く環境であるように見受けられます。

安定した1週間となりますように。

本記事は、アリアンツ・グローバル・インベスターズが配信するグローバル資本市場&テーマ別投資リサーチ「The Week Ahead」からの転載です。The Week Aheadは毎週金曜日に同社ウェブサイトに掲載されており、バックナンバーはこちらからご覧いただけます。

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