世界経済を揺さぶる多様な要因が複雑に交錯し、市場は再び構造転換の只中にある。投資家には、環境変化を見据えた戦略の再構築が求められている。2025年9月17日、ステート・ストリート エグゼクティブヴァイスプレジデントのヨルグ・アンブロシウス氏が来日した折に、同氏のマーケット観や日本の機関投資家へのアドバイスなどを伺った。

ヨルグ・アンブロシウス氏
ステート・ストリート
エグゼクティブヴァイスプレジデント
インベストメント・サービス部門責任者
ヨルグ・アンブロシウス

「金利のねじれ」と再び向き合う投資家

今後の金融市場をどう見通しているか。

アンブロシウス インフレと金融政策の動向は、今後も市場を動かす大きなテーマになる。

まず米国について。インフレは依然として底堅く推移しているものの、直近の予測を大きく上回る水準ではない。関税の影響を受けやすい製造業や耐久財といったセクターでは上昇圧力が見られるが、中国からの輸入物価は鈍化傾向にあり、関税のインパクトが全面的に波及する段階には至っていない。関税引き上げ=インフレ再燃という単線的なストーリーではなく、供給網の再編や人件費構造、為替レートの変化など、背景にある多様な要因を丁寧に見ていく必要があるだろう。

金融政策については、緩和方向への傾斜が見込まれるため、短期金利は低下が予想される。一方で、長期金利は国債増発懸念や需要の鈍化により上昇圧力を受けている。イールドカーブがスティープ化するなかで、投資家は再び「金利のねじれ」と向き合う局面にある。問われているのは、「金融刺激が財政リスクや増税懸念をどこまで相殺できるのか」という点である。特に、関税政策が物価動向にどのような影響を及ぼすかが、今後の政策運営の重要な分岐点になるだろう。

日本についてはどう見ているか。

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