学校法人・金融法人の担当者必見!機関投資家ゼロからの資産運用 【もっと知りたい!債券】第10回 ヘッジコストはどう決まるのか〜内外の短期金利差+通貨の「需要」度
機関投資家の資産運用にとっての「主食」は債券で、なかでも為替ヘッジ付きの外国債券はいわば「主力打者」でした。ところが昨今はヘッジに伴うコストが上昇し、「飛距離」である利回りが大きく落ち込んでいます。【もっと知りたい!債券】シリーズ最終回の今回は、為替ヘッジの仕組みやヘッジコストの要因をラッセル・インベストメントの金武伸治さんに説明いただき、どういった点に注目すべきか考えていきます。
為替予約レートは「割高」
2024年6月に公開した【債券編・第3回】「なぜ米国債に多く投資するのか」の中でも少しご説明いただきましたが、改めて為替ヘッジとはどういう仕組みなのか。また、ヘッジコストはどのような要因から発生するのか。ここから整理していただけますか。
金武 為替ヘッジとは、あらかじめ一定期間先の為替レートを予約して固定する、つまり「為替予約」をすることで、為替変動リスクを抑制するというものです。ただし為替予約レートは、現在の為替レートよりもやや割高になります。その理由は後ほどご説明します。予約レートと、現在のレートとの差のことを「為替ヘッジコスト」(以下、ヘッジコスト)と呼びます。
現在の為替レートよりも為替予約レートが割高なので当然、一定の損失が発生します。例えば現在の為替レートが100円の時に、為替予約レートが98円だとします。そうすると100円に対して2円、つまり2%相当の損失が確定するわけです。このため、例えば利回りが3%の外国債券に2%のヘッジコストで為替ヘッジを行った場合、手取りの利回りは1%(=3%-2%)になるわけです。
ヘッジコストは主に2つの要因から発生します。1つは「内外短期金利差要因」、もう1つは「カレンシー(通貨)ベーシスコスト要因」です。
為替予約レートが現在の為替レートよりも割高になる要因が「内外短期金利差要因」です。ある意味で理論的な為替予約レートと言えます。そして、為替予約に対する需給バランスによって、最終的な為替予約レートが市場取引の中で決定される要因が「カレンシーベーシスコスト要因」です。為替予約レートに関する理論レートと実勢レートの差と言えます。
高金利の享受には為替リスクが付いてくる
内外の短期金利差要因について、もう少し詳しく説明してください。
この記事は会員限定です。
会員登録後、ログインすると続きをご覧いただけます。新規会員登録は画面下の登録フォームに必要事項をご記入のうえ、登録してください。