UBSアセット・マネジメント 業界屈指のクレジット運用力を活用して不確実な市場に対処する債券ポートフォリオへ
第2次トランプ政権の誕生の余波を受け、金利環境の見通しに不確実性が漂う中、機関投資家はどのように債券投資を考えればよいか。UBSアセット・マネジメントの堂園義信氏は、2025年5月16日に東京都内で開催されたJ-MONEYカンファレンス(主催:J-MONEY)にて、同社が注目する2つのクレジット運用のアプローチとその有効性について語った。講演の概要を紹介する。
スプレッドに収益源の軸足を移す

運用本部 クレジット運用部長
堂園 義信氏
第2次トランプ政権による関税政策の影響で、金融市場関係者にとって気が休まらない状況が続いている。このような状況下で機関投資家はどのように債券投資・インカム投資を考えればいいだろうか。
本講演では有効な2つのアプローチとその考え方についてご紹介する。まず1つ目は、「金利リスクを極力抑えながら、スプレッドでリターンの獲得を目指す」債券資産に重心を移していく方法だ。その具体的なシフト先として当社が注目しているのが、バンクローンとCLO(ローン担保証券)である。
主に大手・中堅企業向けの貸付債権であるバンクローンはBB~B格が中心であり、その分、他の債券クラスと比較して高いスプレッドが期待される。その上で、基準金利部分が金利変動によって見直される変動金利型商品であるので、金利リスクが抑制できる点が特徴だ。
バンクローンは特に利上げ局面に強く、短期金利上昇時には基準金利が引き上げられる分クーポンも上昇し、割引率上昇の影響を相殺する形で金利リスクを抑制する。FRB(米連邦準備制度理事会)の過去5回の利上げ局面について、米バンクローンのパフォーマンスを振り返ってみると、実際に米国債、米投資適格(IG)社債、米ハイイールド(HY)債といったほかの債券資産を大きくアウトパフォームする局面が散見された。
ただし同資産は、利下げ局面ではほかの債券資産にパフォーマンスが見劣りする局面が多いのも事実だ。それでも、魅力的なスプレッドと良好なリスク対比リターン、国債やIG債など、他の債券資産と低相関であるといったメリットを複数有するバンクローンは、長期的に保有することで真価を発揮すると考える。金利上昇が予想されるタイミングで近視眼的に投資するのではなく、長期保有前提で組み入れることで、債券ポートフォリオの強化に貢献してくれるだろう。
一方CLOは、バンクローンを裏付け資産とする資産担保証券だ。CLOには投資家のリスク選好度に応じて複数のトランシェ(階層)が用意されているが、その中で、AAA~BB格のCLOトランシェへ投資する「CLOデット」戦略は、同等の格付けを持つほかの債券資産・証券化商品と比較して、スプレッド水準が相対的に高い特徴を持つ。
また、CLOには、バンクローン・ポートフォリオで得られた利息収入からCLOデットに支払われる金利を差し引いた、残りのキャッシュフローを分配金として受け取る「CLOエクイティ」戦略もある。
同戦略は、投資に必要な金額はバンクローン・ポートフォリオ全体の8~10分の1程度にもかかわらず、巨大な同ポートフォリオ全体の残余利益を収益源泉にできる点が特徴だ。デフォルトが発生した時に先に損失を被るリスクと引き換えに、少額の投資でレバレッジの効いたリターン獲得が期待される。過去のデータ(2023年9月末時点)を見ると、市場ボラティリティが高かった過去10年間、年率換算で10~20%程度の分配実績がある。こうした比較的高水準のインカム収益が見込める点から、CLOエクイティへの投資も、市場環境の先行き不透明な状況下では魅力的な投資先の一つだと言えるだろう。
注目のダイレクト・レンディングでボラティリティの回避
2つ目のアプローチとして当社が提案したいのは、「ダイレクト・レンディングへの投資を通じて、ボラティリティを回避する」方向性だ。
ダイレクト・レンディングは日本でも既に多くの機関投資家が関心を寄せているが、本日はその新たなトレンドについて紹介したい。それは「ダイレクト・レンディング市場とバンクローン市場の重なり」が広がっていることだ。
もともとダイレクト・レンディングは比較的小規模の企業を融資対象にしていたが、近年は市場の拡大に伴い、対象の企業規模が大きくなってきている。その過程で、借り手となる企業がそれぞれの資金調達方法のメリット・デメリットを勘案して、バンクローンによる借り入れをダイレクト・レンディングで借り換える、あるいは逆にダイレクト・レンディングによる借り入れをバンクローンで借り換えるといった動きを活発化させている。
こうしたトレンドの中、古くからバンクローン運用に取り組んできた運用会社が、その知見を活かしてダイレクト・レンディングの投資機会にアクセスできるようになってきている。当社のように長年バンクローン運用で知見を積んだチームを擁する運用会社にとっては好機となっている。
さて、ここまで①金利リスクを抑えてスプレッドでリターンを追求していく、②ダイレクト・レンディングへの投資でボラティリティを回避する、の2通りのアプローチについて、それぞれ有力な投資機会について話をしてきたが、①②を組み合わせてマルチ・アセット・クレジット戦略としてポートフォリオに組み込む手もあるだろう。
バンクローン、CLO、ダイレクト・レンディング、そしてマルチ・アセット・クレジットのそれぞれについて、当社では幅広く運用戦略を提供している(図表)。このうちマルチ・アセット・クレジットについてはこれまで米国投資家向けのみであったが、日本を含むグローバルの投資家からのニーズを踏まえ、新たなビークルの準備を進めている。

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業界屈指のクレジット運用力を享受
これらの戦略を提供する当社の運用チームはUBSクレジット・インベストメンツ・グループ(CIG)と呼ばれる。これは、市場関係者が一目置く存在であったクレディ・スイスのクレジット運用チームが、UBSとの統合で名前を変えたものだ。世界最大規模の米国CLOの運用残高を誇り、業界の各種運用アワードを受賞するなど、特にCLOの運用力に定評があり、その実力は健在だ。
不透明な環境を乗り切る債券ポートフォリオを検討される際は、業界屈指のプロフェッショナルチームの運用力を享受いただける、当社の各種クレジット運用戦略にぜひご注目いただきたい。
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