トップインタビュー オルタナティブ投資拡大の土台作りを通じ資産運用立国の実現に貢献するヌビーン・ジャパン 代表取締役社長 シニア・マネージング・ディレクター 鈴木 康之氏
政府が推進する「資産運用立国」構想の実現に向けて日本の資産運用業界・金融市場の変革が進む今、運用会社のトップは何を考えているのか。2018年に日本へ進出し、2025年には預かり資産残高4兆円を突破したヌビーン・ジャパンの代表取締役社長 鈴木康之氏に話を聞いた。(聞き手:松島海斗)

代表取締役社長
シニア・マネージング・ディレクター
鈴木 康之氏
オルタナティブ投資に係るコスト高の背景
日本政府が掲げる「資産運用立国」構想の実現に向けて、運用会社の貢献が期待されている。貴社の取り組みは。
鈴木 近年、当社の主要な顧客層である幅広い機関投資家の間で、資産運用立国の柱の1つである運用高度化に向けてオルタナティブ投資を拡大する意欲がますます高まっていると感じている。幅広いオルタナティブ投資チームを有する当社グループとしては、運用ソリューションの提供もさることながら、その普及と定着をさらに一歩先へ進めるべく日本の制度的・実務的な土台作りに貢献していきたい。特に制度的なインフラの再設計と、運用実務の実態に即した仕組みの実装が焦点になると考えている。
当社は資産運用立国構想を推進するための国内外の資産運用会社を中心とした取り組み「資産運用フォーラム」の会員であり、分科会の一つである「オルタナティブ分科会」の2025年リーダーシップグループの一員に選ばれた。この分科会にはアポロ社、カーライル社、ブラックストーン社など国外の世界的なオルタナティブ運用会社や、国内からは三井住友トラスト・アセットマネジメントも参画している。形式的な理念にとどまらないよう、実効性のある制度設計につなげたい。現在、いくつか具体的な課題の洗い出しを分科会の開催やミーティングを通じて実施しており、今後当社も積極的に提言を行っていく予定だ。
具体的にどのような提言を考えているか。
鈴木 例えば、ファンド選定の場面において、投資家がオルタナティブ投資に関するファンド評価や投資先の比較・検討が可能となるよう、業界としてRFP(運用提案依頼書)の質問項目を標準化する取り組みを提案している。標準化が進めば、選定プロセスの透明性が向上するだけでなく、運用プロセスを外部委託するコストの削減にも繋がる。特に地方金融機関や中小規模の年金基金など、リソースが限られる機関投資家にとっては、標準化によって選定にかかる手間とコストが軽減され、より主体的な判断がしやすくなると考えている。
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