オルタナティブ運用のプライベートアセット投資の中で、今回は不動産とインフラストラクチャーを採り上げます。両者の特徴や、投資する上での留意点などについて、ラッセル・インベストメントの金武伸治さんに、分かりやすく説明していただきます。

鑑定や基準をもとに資産価値を評価

従来プライベートアセット投資を敬遠していた機関投資家が「ウチもそろそろ」といって、不動産やインフラストラクチャーへの投資を始めるケースが多いようですね。

金武 前回ご説明したプライベート・エクイティが、主に企業価値の向上に伴うキャピタル・ゲインを狙う戦略だったのに対して、不動産やインフラストラクチャー(以下、インフラ)は、相対的にインカムつまり一定期間ごとにある程度固定したリターンを受け取ることが期待される戦略が多いです。

インカムの享受は伝統的資産である債券にも期待できますが、近年、不動産やインフラへの投資が拡大しているのは

①相対的に価格変動リスク(ボラティリティ)が小さい
②インカムの源泉が伝統的資産とは異なる

ーーなどの理由が考えられます。

価格変動リスクが小さいのはプライベート・エクイティと同様に、日々の時価評価がないことが主な理由です。不動産やインフラの資産価値評価は、鑑定や基準に基づいた手法などで定期的・客観的に算定されています。このため、評価上の価格変動は小さく見えますが、本質的には価格変動を伴うリスク資産です。

また、不動産の場合は賃貸料、インフラの場合は使用料といったように、伝統的資産のインカムと源泉が異なります。このため収益源泉の拡張効果や分散効果も期待できます。加えて、主に海外では賃貸料や使用料がインフレに連動する契約になっているケースが多くあります。こうしたインフレ・ヘッジの性質を持つことも、インフレに弱い債券に対してリスクを分散するメリットです。

このように不動産やインフラは、キャピタル性が強いプライベート・エクイティと比較して着手しやすく、投資の第一歩となることが多いです。特に不動産は投資対象となる物件をイメージするのが容易なので、投資のハードルを下げていると考えます。

ただ、不動産やインフラでも戦略によってはインカム性が高いものから、キャピタル性を帯びるもの、キャピタル性が高いものまであります。戦略を選択する際には相応の注意が必要です。

キャピタル狙いはリスクも高い傾向

運用会社から提案のある不動産やインフラの戦略は、かなり種類が多いです。何をどう選んだらいいのか正直迷います。

金武 確かにそうですね。不動産やインフラ投資の戦略は、【図表1】のように分類できます。これらは収益源泉が異なることで、リスクの大きさも違ってきます。相対的にインカム収益を狙う戦略のリスクは低い傾向があり、キャピタル収益を狙う比率が高まるにつれてリスクも大きくなる傾向があります。

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