SOMPOアセットマネジメント 流動性が高いコモディティを担保に頑健な安定感を追求するホライゾンキャピタル・トレードファイナンス戦略
金利・物価・地政学……。多様な不確実性が渦巻く中、安定運用を追求する機関投資家の新たな選択肢として注目されているのがトレードファイナンスへの投資だ。SOMPOアセットマネジメント(以降、SOMPOアセット)は、同分野で「専門性」と「安定感」に独自の強みを持つホライゾン・キャピタル・AGの運用力を土台に、安定的な投資リターンをもたらすトレードファイナンス戦略を提供する。SOMPOアセットの担当者に詳しく聞いた。

左から山本大貴氏、井上武宣氏、小宮山真澄氏、小川康作氏
銀行融資縮小後の需給不均衡が好機に

常務執行役員 CIO
尾山 元一氏
「現在、世界の輸出額は約23兆ドル。そのうち3分の1程度のマーケットサイズとなっている。ハイイールド債やバンクローンの市場規模と比較しても、非常に大きなマーケットだ」。SOMPOアセット常務執行役員でCIOの尾山元一氏がこう熱を込めて語るのは、トレードファイナンス市場のことだ。
足元では、投資家から資金を集めてトレードファイナンスを提供する運用戦略が、機関投資家の次なるオルタナティブ・クレジット投資の選択肢としてにわかに注目を集めている。背景には、マクロな環境変化がトレードファイナンスの追い風を加速させている現状がある。
そもそもトレードファイナンスとは、貿易に関連する商取引の様々な段階への資金供給の総称である(図表1)。
近年、経済や地政学上の不確実性の高まりを受け、銀行による同ファイナンスの新規供給はじわじわと細っていた。さらに追い打ちをかけるように、これまでトレードファイナンスの中心的な貸し手であったフランス・スイスの銀行が、資本規制の影響でトレードファイナンスの供給を縮小せざるを得ない状況となっている。
他方で需要サイドに目を転じると、貿易量は世界の経済成長と概ね一致して動く傾向があるため、グローバル経済の規模拡大と歩を合わせるように、トレードファイナンス需要は安定拡大が見込まれている。
足元で進む供給縮小と、対照的に伸びる貿易需要。このアンバランスな需給が、トレードファイナンスのビジネス機会を創出している。そこで台頭してきたのが、投資ファンドによるトレードファイナンスの提供だ。市場全体では、足元の供給比率は、銀行とファンドが半々だという。
「トレードファイナンスは本来、一般的なローンと比較して平均回収期間が短くデフォルト率が低い特徴がある。そこに足元の需給環境を鑑みれば、適切にファイナンス先の厳選ができるファンドには魅力的な投資機会が生まれていると言える」
機関投資家営業部長
井上 武宣氏
こう語るのはSOMPOアセット機関投資家営業部長の井上武宣氏。同氏は続けて、「さらに近年、先述の商業銀行による供給縮小という構造変化が、特に中小企業向けのトレードファイナンス市場に新たな投資妙味を加えている」と指摘する。
どういうことか。資本規制の影響を受ける金融機関は、定められたリスク量を守りながら最大限に効果的な投資を行うために、比較的大手の企業に対するトレードファイナンスに注力する傾向がある。その裏側で金融機関の融資が縮小している中小企業向けのトレードファイナンス市場では、供給不足の状況にあるのだ。実際、足元で中小企業に対するトレードファイナンスは、投資ファンドの注目の的となっている。
ここで「金融機関が避ける=リスクの高い案件に融資するから利回りが高くなるのでは」との疑問を持たれた読者も多いだろう。これに対して井上氏は、「投資ファンドがファイナンスした企業がビジネスを拡大し、一定の規模に達すると、銀行が引き継いで融資し始めるケースが多い」と回答する。
「銀行は、より規模の大きな案件を扱うほうが規制下で効率的であるため、中小企業向け信用枠を縮小している。投資ファンドのトレードファイナンスは、銀行がやりたくても規制上リーチしづらい、“成長の第1段階”の案件にファイナンスしているというイメージをもっていただきたい」(井上氏)。
組織力に裏付けられた人的ネットワークが強み

機関投資家営業部 営業課長
小宮山 真澄氏
そんな魅力的なリスク・リターン特性が見込める中小企業向けトレードファイナンス市場の投資妙味を日本にも広めるべく、SOMPOアセットが注目したのが、ホライゾン・キャピタル・AG(以降、ホライゾン)という運用会社だ。
SOMPOアセットは、ホライゾンが運用を担うトレードファイナンス戦略『ホライゾンキャピタル・欧州トレードファイナンス戦略』を、地域金融機関など日本の機関投資家向けに提供していく構えだ。
SOMPOアセット 機関投資家営業部営業課長の小宮山真澄氏は、「ホライゾンのリソースをもってすれば、適切な金利で中小企業向けに迅速な与信判断が可能。トップダウンで良質な案件に機動的に融資できるチャンスが広がっていくだろう」と期待に胸を膨らませる。
ホライゾンは中小企業を対象とするトレードファイナンスに強みを持つ運用会社で、特にコモディティを取り扱う商社を対象とするトレードファイナンスのエキスパート集団として知られる。
中小企業向け融資は、ノウハウがあることは前提として、人的なネットワークの深さ・広さがモノを言う世界だ。欧州金融機関で長年トレードファイナンス市場に関わってきたメンバーが多く在籍するホライゾンは、業界きってのネットワーク力を構築していると言える。ただし、こうした分野では、あるメンバーの人的ネットワークにファンドの運用成績が深く依存してしまう「キーマンリスク」に注意が必要になる。
その点、ホライゾンはチームとして人的ネットワークを形成している。さらに案件のソーシングから融資先との関係構築など、トレードファイナンスに必要となる多様な業務にそれぞれ専門的人材が複層的に配置されている点がポイントだ。
「案件へのアプローチ力を左右する“個々”の専門性やネットワークと、継続的なトレードファイナンスとその管理に欠かせない“組織力”を持ち合わせるという点で、ホライゾンはトレードファイナンスのフィールドでユニークかつ強力な運用能力を擁していると言える」(小宮山氏)。
担保価値110%で契約。実損防ぐ幾重もの備え
では、『ホライゾンキャピタル・欧州トレードファイナンス戦略』(以降、HCT戦略)とはどのような内容なのか。同戦略は、いわばホライゾンのファイナンス力を結集したものだ。
同社が得意とするコモディティを担保とするファイナンスの提供を通じて、貿易金融から一貫した月次インカムを創出する短期デュレーションの絶対収益型戦略となっている。適切な担保管理や、案件の多様性を活かして分散を図りながら、最大限のリスク抑制を実現している点も特徴だ(図表2)。

※既存の旗艦ファンドのパフォーマンス。
注:2012年10月~2019年12月までは、ドルクラスの円ヘッジ(3ヶ月ヘッジ)月次リターン試算値を、2020年1月~2024年12月は、円クラスの月次実績リターンを用いて算出。始点を100として指数化。
そんなHCT戦略の魅力を理解するカギは、やはりホライゾンが注目するトレードファイナンスの内容にある。図表1で見たように、同ファイナンスにはいくつも種類があるが、同戦略でホライゾンは、「輸送資金融資」と「在庫品担保金融」にフォーカスしてファイナンスを提供している。
一般にトレードファイナンスと呼称される戦略においては、一番下流のステップである「売掛金担保金融」に特化する例が多い。投資家視点で見たそのメリットは、ポートフォリオ分散の容易さだ。一方で、売掛債権を担保にするため、最終オフテイカー(商品の受け取り手)の信用リスクをきちんと分析できていないと、思わぬ損失を抱えるリスクもある。
他方で、ホライゾンがフォーカスする「輸送資金融資」「在庫品担保金融」は、どちらも貿易対象となっている実物資産が担保となっている点が大きな特徴だ。実物資産を担保にしている場合は、貸付金の回収が困難になったときには、すぐに担保処分を行えるからだ。
「トレードファイナンスはデフォルト率が低いと言われるものの、中小企業向けをメインとするならば、デフォルトリスクへの警戒は怠れない。そのため、仮にデフォルトした場合でも、確実に回収する仕組みが重要になる」(尾山氏)
仮に担保資産が売掛債権であると、通常の企業融資と同様に、回収まで債務整理などの完了を待たねばならず、年単位で時間がかかることが当たり前だ。回収が実現するまでの間、資産管理やモニタリングなど、投資家にかかる手間が非常に大きい。これに対して担保資産が実物資産ならば、回収にかかる時間や負担は大幅に縮小される。
さらに、担保となるコモディティの内容にもこだわっている。ホライゾンが担保資産と認めるのは、“傷みにくい”天然資源のみだ(図表3)。例えば、小麦やトウモロコシといった農産物、ガソリン、産業用金属など、世界的に恒常的な需要があり、国際的な商品市場ですぐに売買することができるコモディティが該当する。反対に、生鮮品や不動産など、これに該当しないコモディティはファイナンスの対象外となる。
「さらにHCT戦略では、貸付金に対して110%以上の価値が認められる担保を要求する『オーバーコラテラル』でファイナンス契約を結ぶことをはじめ、幾重にもデフォルト対策を組み込んでいる」(尾山氏)
デフォルト率の抑制、投資適格ローンと同等
ホライゾンのこうした担保管理の仕組みと、運用メンバーの専門性を土台としたボトムアップの与信管理の相乗効果は、トラックレコードにも明確に刻まれている。
2012年から運用するホライゾンの旗艦戦略のパフォーマンスを振り返ると、年率にして4%程度(円ヘッジ後)の利回りをあげながら、設定来12年間で経験したデフォルトはわずか10件。しかも、デフォルト処理が既に完了した8社中7社は100%の債権回収を達成しているという。
井上氏は、「デフォルト率だけ見れば、最上位の投資適格ローンと比肩する。さらに驚くべきは、新型コロナウイルス禍のショック局面でもプラスの月次インカムを堅持し、ほとんどショックの影響がみられなかった」と強調。
加えて「ショック時に投資家の皆様が解約を申請した場合も、約60日という平均融資期間が強みとなり、自然体で対応できるところもポイントだろう。解約が集中しても無理に保有資産を現金化しなくて済む。実際に、コロナ禍でもホライゾンは解約需要にすべて応えられていた」と説明する。
流動性×利回り×安定。金融法人のニーズに対応
市場では金利ボラティリティの高まりへの警戒が続くが、短期デュレーションのHCT戦略は金利リスクが抑制されている。かつスプレッドはベース金利に上乗せされるため、金利上昇ならむしろリターンは高まる。
「為替ヘッジ付きで日本から投資する場合でも、ヘッジコストを払ってもトレードファイナンスの魅力的なクレジット・スプレッドを享受いただけるだろう」(小宮山氏)。
日本の機関投資家からの引き合いも強まっている。月次の流動性を特徴の一つに持つHCT戦略は、特に国内の金融法人から強い需要を受け、2025年内に適格機関投資家向けの私募ファンドの提供がスタートする予定だ。
「ある程度の流動性は確保しながらも、プライベート資産の魅力的なプレミアムは享受したい。しかも、投資対象はなるべく安定的なパフォーマンスであってほしい……。金融法人が運用先に望む多くの要素を併せ持つのが、HCT戦略だと考えている。流動性を重視する金融法人はもちろん、年金基金などプライベート資産の運用に関心があるすべての投資家に関心を持っていただければ幸いだ」(尾山氏)
本資料は、情報提供を目的として作成されたものであり、個別商品・戦略等の勧誘を行うものではありません。本資料に記載の意見・見解は本資料作成日時点におけるものであり、今後、予告なく変更されることがあります。また、本資料に掲載された過去の実績および今後の予測は、将来の運用成果等を保証または示唆するものではありません。本資料に記載した運用戦略では、値動きのある有価証券等に投資しますので、元本が保証されているものではなく投資元本を割り込むことがあります。主なリスクは以下の通りですが、これらに限定されるものではありません。
①信用リスク②流動性リスク③金利変動リスク④為替変動リスク⑤外国証券投資のリスク⑥カントリーリスク⑦コール・ローン等の相手先に関するリスク
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