コーポレート・クレジット投資の専門家として世界的に名高いミューズニッチ社が、日本ビジネスに力を入れている。Part②では、プライベート・デットの2つの注目プロダクトである「ローワー・ミドル戦略」と「パラレル・レンディング戦略」の特徴を紹介する。
林 晃裕氏
ミューズニッチ・アンド・カンパニー・ジャパン
在日代表
林 晃裕

1988年設立の米国の資産運用会社であるミューズニッチ社は、世界各地に15の拠点を構える「グローバル・コーポレート・クレジット投資の専門家」として、保険会社、年金基金、金融機関、富裕層などにパブリック市場およびプライベート市場の様々なプロダクトを提供している。「いずれの戦略も元本保全に重点を置いた長期的思考の下、徹底したリスク管理型投資アプローチで運用しています」(ミューズニッチ・アンド・カンパニー・ジャパン在日代表の林晃裕氏)

今回は、近年注目を集めている2つのプライベート・デット(PD)戦略を紹介する。

ローワー・ミドル戦略
市場は参入障壁が高く、競合が少ない

第1が、主として企業規模が相対的に小さい欧州の中堅企業に直接融資して長期安定的なインカム創出を目指す『ミューズニッチ汎欧州プライベート・デット戦略』だ。同プロダクトは、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)が500万ユーロ~2500万ユーロ(約8億4000万円~約42億円)の欧州企業群であるローワー・ミドル市場を主なエリアとしている(数値と為替レートは2024年5月31日時点。1ユーロ=168円で計算)。

図表1 ミューズニッチ汎欧州プライベート・デット運用プラットフォームの実績
ミューズニッチ汎欧州プライベート・
デット運用プラットフォームの実績
※全データは2024年4月30日時点
出所:ミューズニッチ社

ミューズニッチ社がPDでローワー・ミドル市場をターゲットにするのは、企業規模が相対的に大きいアッパー・ミドルやその上の大型と比べて、財務レバレッジが低く、一方でリターンが高いからだ。その理由の一つとして同社は、PD運用会社同士の競合が少ない点を挙げる。

「欧州のローワー・ミドル企業の事業は国内が中心のため、ファイナンスを行う場合は、各国・地域の言語やビジネスカルチャーを理解した専門家のリサーチが重要です。PDには深い知見や経験、それらを有するマンパワーが必要で、参入障壁は相当高いといえるでしょう。私たちは欧州だけで8カ所にオフィスがあり、運用チームの人間を配置しています。現地のローカル・チームがミューズニッチ社のグローバルな運用インフラのサポートを受けながら、融資候補企業の信用力や成長性、経営の特殊性などを詳細に調査しています」(林氏)

企業規模の小ささはリスクではない

ローワー・ミドル企業はビジネスのスケールが相対的に小規模ゆえに、リスクが高いのではないかとの質問を受けることがあるようだ。「2022年に実施されたムーディーズ・アナリティクス調査では、デフォルトを決定・けん引する要因として最も一般的なのはレバレッジ要因である一方、予測可能性が最も低いのは企業規模という結果が出ています。つまり、融資対象企業の企業規模の小ささではなく、借入比率が高くて経営の柔軟性の低い状態こそがリスクといえるでしょう」(林氏)。

『ミューズニッチ汎欧州プライベート・デット戦略』では、これまで65件以上の案件に約16億ユーロの投資を実施し、IRR(内部収益率)は10.5%(ユーロベース)となっている。林氏は「融資後も対象企業を徹底的にモニターすることで、業績悪化の際の迅速対応が可能になります。この規律あるポートフォリオ・マネジメント・プロセスにより、これまでの損失率(年率)は0%です」と語る(図表2)。

図表2 ミ図表2 ューズニッチ欧州パラレル・レンディング戦略の特徴と実績
ミ図表2 ューズニッチ欧州パラレル・レンディング戦略の特徴と実績
※全データは2024年3月31日時点。出所:ミューズニッチ社

パラレル・レンディング戦略
欧州では55のパートナー銀行と連携

そして、ミューズニッチ社のPDにおける第2の注目プロダクトが「パラレル・レンディング戦略」だ。パラレル・レンディングは、ミューズニッチ社と銀行がパートナーとなり、ミドルマーケット企業に資金を提供するスキームである。ミューズニッチ社と銀行がそれぞれ審査した融資案件なので、元本毀損および金利の支払い不履行のリスクが低いといえる。

2024年6月30日時点の同戦略の欧州におけるパートナー銀行数は55。毎年銀行から紹介を受ける投資案件数は300超にのぼる。ミューズニッチ社には、銀行業界でALM(資産と負債の総合管理)の責任者などを歴任した専門家が複数在籍している。このようなリソースが充実している組織だからこそ、世界規模のパラレル・レンディング戦略のプラットフォームを構築できたといえるだろう。

多様で多くの市場を並行して開拓

「各国・地域の銀行と提携することで、多様で多くの市場セグメントを並行して開拓することが可能です。当社にとっては投資案件の国・地域、業種、構造の多様性を向上できます。一方、銀行は私たちの戦略と提携し共同融資することにより、資本負担の少ない形で優良企業との取引関係を100%維持できるなど、資本規制対策上のメリットがあります」(林氏)

例えば、『ミューズニッチ欧州パラレル・レンディング戦略』は2018年の運用開始以来、これまで130件の投資案件に合計12億ユーロの資金を拠出し、IRRは6.90%(ユーロベース)、損失率(年率)は0%だ。この長期安定的なパフォーマンスには、欧州にオフィスを8カ所持つローカル・プレゼンスと、企業訪問などを中心とした丁寧なファンダメンタル・リサーチも大きく貢献しているといえるだろう(図表2)。

今回紹介した「ローワー・ミドル戦略」と「パラレル・レンディング戦略」のどちらも、安定かつ魅力的なリスク調整後リターンの提供を目指す戦略設計となっている。自社のポートフォリオの資産分散を図りたい、あるいは、金利動向など先行きの不透明感が増す市場環境においてレジリエンス(強靭性)を高めたい日本の機関投資家にとって、設立以来、常に投資家と向き合い続けてきたミューズニッチ社は心強いパートナーとなるはずだ。

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