フランクリン・テンプルトン・ジャパン 市況に合った機動的な運用で不透明相場を乗り切るHF戦略
フランクリン・テンプルトン・ジャパンが提供するヘッジファンド・ソリューションは、機動的な運用によってポートフォリオのリスクを低減することを目指している。同社の川村学氏と金サラ氏は、2024年6月21日に東京都内で開催されたJ-MONEYカンファレンス(主催:J-MONEY)で、ヘッジファンド戦略の有効性とポートフォリオの構築方法について語った。
リスクオフ局面から資産を守る
川村 フランクリン・テンプルトン・グループは2010年代より買収を加速している。2012年には30年超の歴史を持つヘッジファンド投資家である「K2アドバイザーズ」の買収を行い、マルチ・アセット運用やリサーチを手掛ける「フランクリン・テンプルトン・インベストメント・ソリューションズ(FTIS)」直下の組織として顧客それぞれに適したソリューションを提供している。
ある機関投資家のポートフォリオを見ると、株式や債券、オルタナティブとさまざまな資産に分散されているものの、リスクベースで見ると株式にリスクが集中しているケースがある。こういったケースでのリスク分散には、ポートフォリオと相関性の低いヘッジファンドの導入が有効だ。
リスク分散を目的とした当社のファンド・オブ・ヘッジファンズと株式市場(MSCIオール・カントリー・ワールド指数)と債券市場(ブルームバーグ・グローバル総合債券指数)は有意義な逆相関を有し、株式や債券市場が下落した局面で、当社のファンド・オブ・ヘッジファンズは保有資産をマイナスから守っていることがシミュレーション結果からわかる。
ポートフォリオ構築のフレームワーク
金 相場の局面は「①短期間での大幅なドローダウン」「②長引く弱気相場」「③強気相場とレンジ相場」の3つに分けられ、それぞれの市況に適したヘッジファンド戦略に取り組む必要がある。
例えば、①にあたる金融危機やコロナ禍のようなドローダウンでは、ボラティリティのロング戦略やデュレーションの長期化戦略が有効といえる。ボラティリティのロング戦略はオプションやデリバティブを用いることで、ボラティリティが大きくなる下落局面で資産を守ることができる可能性があるが、その一方でボラティリティが小さい局面では損失が発生しやすい点に注意が必要だ。ヘッジファンドの中には、上昇局面に追随しながら下落局面でも効果を発揮する戦略もあるため、そうしたものをしっかりと厳選していきたい。
②の長引く弱気相場では、CTAやグローバル・マクロの戦略が適している。CTAについてはマネージャーが採用しているシグナルの期間(短期、中長期)によって相場への対応が異なるため、それぞれの特性を理解しながらCTAの中でもマネージャーの分散を図ることが重要だ。
グローバル・マクロ戦略では市場の不透明感を投資機会としてリターンを創出するため、(特にマクロ要因がけん引する)弱気相場に有効性が高い戦略といえる。ただし、マネージャーの手腕に左右される戦略であることから、マネージャー選別の見極めが他の戦略以上にカギを握るポイントだ。
最後に③にあたる強気相場では、「ヘッジファンドは攻めには効かない」という声も多い。しかし、「オルタナティブ・リスク・プレミア」や「マーケット・ニュートラル」、「レラティブバリュー」など、当社が「補完階層」と呼ぶ戦略が有効と考える。この相場で採用すべき戦略は既存ポートフォリオの内容やリスク許容度によって選択肢が異なるが、ほかのヘッジファンドや伝統資産と相関性が低く、一方向に過剰にベットせずにリターンを抽出できるようなマネージャーを想定している。
モデル・ポートフォリオの運用成果
金 ①~③に有効な戦略を組み合わせたフレームワークに基づく弊社のモデル・ポートフォリオは、ポートフォリオ全般が成長資産に集中しているなかで、分散効果を果たす「保険」のような役割を提供することを目標としている。加えて、上昇相場においても一定のリターンを出すことを目指す。
モデル・ポートフォリオの戦略配分ではリスクが顕在化したときにリターンを出すことを目指しているため、ボラティリティ・ロング戦略がおよそ半分を占める構成となっている。次に多くを占めているのが、マクロおよびCTAだ。マクロについては裁量型とシステマティック型に分散、CTAも短期中長期の戦略に分散して組み入れている。
最後の補完階層としては「オルタナティブ・リスク・プレミア」を取り入れているが、場合によっては「レラティブバリュー」や「マーケット・ニュートラル」を組み入れるケースもある。
ヘッジファンドの運用成果については単純にシャープレシオだけを見るのではなく、ボラティリティが上昇相場から来ているのか下落相場から来ているのかに注目することが重要だ。このモデル・ポートフォリオでは上昇相場で大きなプラス・リターンを創出し、その結果としてボラティリティが大きくなる傾向があるため、ソルティノレシオで見ると3倍以上になっているなど、ボラティリティが全てを語っているわけではないことが分かる。各株式指数、債券指数、コモディティ指数との相関性についてもしっかりとマイナスとなっており、ポートフォリオの分散に寄与しているといえる。
実際にモデル・ポートフォリオの過去5年間の推移を見てみると、株式や債券が厳しいときに大きなリターンを出し、反対に株式や債券が好調のときもじわじわとそれに追随する結果となっている。過去の様々なリスクオフ局面におけるストレス・テストの結果を見ても、様々なリスクオフ局面でしっかりとリターンを出しながらポートフォリオを補完する役割を果たす可能性があることが確認できるだろう。また、株式指数や債券指数とのリターン比較についても同様で、指数が苦戦しているときに大きなリターンを上げるだけでなく、指数がパフォーマンスを上げているときも小幅にリターンを出しながら追随している成果となった。
お客様の要望を基にモデル・ポートフォリオを組成する際、流動性が低いヘッジファンドを活用する場合もあるが、弊社としては流動性が高いヘッジファンドを適宜組み入れることをおすすめしている。市況に合わせて戦略を変えることでポートフォリオ全体のリターンを最適化できるためだ。
流動性が高いヘッジファンドを組み入れるソリューションとして、弊社では「リキッド・オルタナティブ・プラットフォーム」を提供している。同プラットフォームは、弊社が厳選したヘッジファンド・マネージャーに運用を再委託しつつ、ビークルの組成と管理は弊社が行っている一連の戦略で構成される。流動性は原則日次または週次であり、ヘッジファンドは情報開示について消極的である点が指摘されることが多いが、弊社ではビークルの組成や管理まで自社で行っているため、投資家に必要な情報の全てを開示できることが大きなメリットだ。報酬についても基本的に成功報酬は廃止しており、従来から指摘されてきたヘッジファンドの課題解決に取り組んでいる。
もちろんポートフォリオの組成は既存のポートフォリオや投資家の状況によって異なってくるため、これまで示したモデル・ポートフォリオはあくまでひとつのサンプルに過ぎないが、弊社のヘッジファンドでは特定の市場環境に合わせた柔軟な運用をすることで、リターンのポテンシャル向上が期待できる。
●当資料は、フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社(以下「当社」)が当社および当社のグループ会社(フランクリン・リソーシズ・インクとその傘下の関連会社を含みます。)の説明資料として作成したものであり、特定の金融商品等の推奨や勧誘を目的とするものではありません。●当資料は、当社が信頼性が高いと判断した各種データ等に基づいて作成したものですが、その完全性、正確性を保証するものではありません。●当資料のデータ、運用実績等は過去のものであり、将来の運用成果を示唆・保証するものではありません。また、当資料に記載される内容・見解は作成時点のものであり、予告なく変更されることがあります。●当資料に指数・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権、その他一切の権利は、その発行者に帰属します。【手数料等】●投資一任契約に係る投資顧問料は、対象となる期間の運用資産の平均時価残高に、上限年率2.2%(税抜2.0%)の料率を乗じて算出した金額とします(一般的な場合)。契約によっては別途、成功報酬をいただく場合があります。成功報酬は運用状況等によって変動するものであり、あらかじめこれを見積もることが困難であるため、その上限額または計算方法を表示することはできません。また、投資信託等を組入れる場合、別途、当該投資信託に係る運用報酬等・その他諸費用がかかる場合があります。その他の費用として有価証券等の売買委託手数料等がかかります。売買手数料がない取引であっても取引価格に実質的に売買手数料相当額が加算されている場合があります。各種報酬・費用等は契約内容ごとに異なりますので、事前に詳細を示すことができません。【投資リスク】●投資リスクには、金融商品・デリバティブ取引等の価格変動、金利変動、為替変動、発行体の信用リスク、運用に関する取引相手方の決済不履行等、流動性リスク、経済・政治情勢等の影響等があり、また、デリバティブ取引に関する損失が委託証拠金等を上回る可能性があります。投資リスクはこれらに限定されるものではありません。したがって、投資元本は保証されているものではなく、投資元本を割り込み、損失を被る場合があります。●組入資産の換金は、通常時において、書面による通知により日次または週次の換金が可能ですが、相場の急変や取引規制等により十分な流動性のもとで取引を行えない、または取引が不可能となる場合があります。この場合、市場実勢から期待される価格で売買できない可能性があるため損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。●ご投資にあたっては契約締結前交付書面等の内容を十分にご確認ください。●当資料は当社の許可なく複製・転用することはできません。