アクサ・インベストメント・マネージャーズが提供する「アクサ・グローバル・アンコンストレインド債券戦略」は、流動性を確保しながら制限に縛られることなく安定リターンを目指すのが特徴だ。同社の溝河洋氏は2024年4月12日に東京都内で開催されたJ-MONEYカンファレンス(主催:J-MONEY)で、債券市場の見通しと同戦略の魅力について語った。そのサマリーを紹介する。

債券戦略全般に追い風が吹く

溝河 洋氏
アクサ・インベストメント・マネージャーズ
営業部 ディレクター
溝河 洋

最初に債券市場のテーマと見通しについて、簡単に整理しておきたい。米国労働省が先ごろ発表した2024年3月のCPI(消費者物価指数)では、米国のインフレが根強いことが示された。しかしながら、従来に比べるとインフレにはピークアウト感が見られる。欧米の急激な利上げによって市場金利、債券イールド、キャッシュ金利のいずれも高い水準に押し上げられてきたが、日本を除いて各国中銀は利下げ方向に舵を切ると思われるので、これらは低下していくことが予想される。

魅力的なキャリー水準と、金利低下を背景としたキャピタルゲインの可能性から、今後は金利とクレジットの双方に対して前向きに捉えることが可能と見ている。その意味では、債券戦略全般にとって追い風が吹くかもしれない。一方で、ロシアや中東情勢などの地政学リスクが残るほか、今年の後半には米国の大統領選挙なども控えており、政治的・社会的な先行き不透明感は否めない。流動性の確保については十分に留意しておく必要がある。

これまでの短期金利上昇に伴い、キャッシュ金利も上昇したため、MMFに6兆ドル(約900兆円)という巨額のキャッシュが積み上げられてきた。利上げ開始前は4.6兆ドル(約700兆円)ほどだったので、そこから200兆円が新たに積み上がったこととなる。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の2023年末の資産運用残高が220兆円程度なので、MMFへの資産流入がどれほど大きいか分かるだろう。

今後はキャッシュ金利についても緩やかな低下方向と考えており、MMFの巨額な資金が取り崩される可能性がある。資金の性質上、その何割かは債券に振り向けられる可能性があり、債券市場の需給に大きなプラスのインパクトをもたらすと予想される。

制限を受けない債券運用の重要性

債券戦略全般に追い風が吹くとしても、ポートフォリオの資金をすべて攻めのポジションへ回せばいいというわけではない。例えばポートフォリオ全体を「守り」と「攻め」の部分に分けるなら、守りの部分では先進国国債や国内債券などディフェンシブな資産で運用し、ポートフォリオの土台を固めることが前提となる。

対して攻めの部分では、α創出や資産拡大を意図した運用を行うことになるが、そこではこれまでの低金利環境を受けて流動性の低いインカム戦略を採用してきた投資家も多いと思われる。その資金の一部を、流動性を犠牲にすることなく好インカムを目指す債券戦略に振り向けてはどうか、というのが本日お伝えしたい話の趣旨である。先行き不透明感が強いなか、そうした戦略を検討する意義は高まっている。

当社の「アクサ・グローバル・アンコンストレインド債券戦略」を紹介する前に、まずはアンコンストレインド戦略の定義について確認しておきたい。コンストレインドは「制限」を意味するので、その反対の制限を受けない戦略を指すことになる。ここでいう制限とは、ベンチマークを構成する国別配分やセクター配分、デュレーションといった諸要素であり、アンコンストレインド戦略はいわゆるベンチマーク運用の対極に位置する。

ベンチマークの組入比率は、各債券銘柄の時価総額加重平均で決定される。そのためベンチマーク運用では債券発行量が多い、すなわち借金の多い発行体が多く組み入れられることとなる。一方のアンコンストレインド戦略は、ファンダメンタルズ分析に基づいて銘柄選択を行う。個々の発行体のファンダメンタルズが正しく反映される通常の市場環境や、現在のような景気サイクルの転換期においては、リスク・リターンの両面でアンコンストレインド戦略の方が好ましい運用を実現しやすいと考える。

3資産への配分比率を機動的に変更

「アクサ・グローバル・アンコンストレインド債券戦略」ではトータルリターンを重視しており、トップダウンとボトムアップの両アプローチを融合することで、インカムゲインとキャピタルゲインの最大化を目指している。ロング・ショートによる絶対リターンの設定は行わない。

債券のリスク要因ごとにポートフォリオを3つのカテゴリーに分類し、リスクを構造的に分散するのも大きな特徴だ。それら3資産への配分比率を景気サイクルに応じて能動的に変動させることで、リスク調整後リターンの最大化を目指す。デュレーションは金利見通しに基づいて0年から8年まで柔軟に管理する。一時的にデュレーションを0年に設定することはあっても、マイナス設定は行わない。いわゆるロングオンリーの戦略であり、ピュアな債券リターンの提供を意図している。

前述した3つの資産カテゴリーは、「ディフェンシブ」「中リスク」「アグレッシブ」で構成される。ディフェンシブは先進国国債やインフレ連動国債が組み入れの中心で、キャリー水準が低く金利感応度は高いという特性がある。中リスクは先進国の投資適格社債や周辺国国債をメインに組み入れ、キャリー水準は中程度、金利とクレジットの双方に感応度を持つ。アグレッシブでは新興国債券や欧米のハイイールド社債が組み入れの中心となり、キャリー水準が高くクレジット感応度も高いという特性がある。

■資産間配分とデュレーションの推移(運用開始来、代表口座)
資産間配分とデュレーションの推移(運用開始来、代表口座)
出所:アクサIMグループ、2024年2月末時点。上記データは運用担当者が使用するシステムから取得されたもので未監査ベースのものです。当戦略における「ディフェンシブ/中リスク/アグレッシブ」はアクサIMグループの定義に則り、債券投資ユニバースを概括的に分類するものです。絶対収益との観点からは、ディフェンシブに属する債券は、国債を中心とし、金利変動が主なパフォーマンス動因となります。中リスクに属する債券は、投資適格社債を典型例とするもので、金利変動とクレジット・スプレッドの双方が主なパフォーマンス動因となります。アグレッシブに属する債券は、クレジット・スプレッドが主なパフォーマンス動因となります。

当社では「ディフェンシブ40%、中リスク30%、アグレッシブ30%」を中立ポジションに設定している。バックテストを行った結果、この配分においてユニバース平均を上回るリターンを、より少ないリスクで達成できたからだ。とはいえ、中立ポジションをいかなる環境下でも維持するわけではない。景気サイクルのブーム期にはアグレッシブ資産の配分を増やし、景気減速期においては徐々にディフェンシブ資産の配分を増やしていく。

過去には、例えばコロナ禍初期の2020年前半においてディフェンシブ資産が多くなっていた。足元ではクレジットのバリュエーションが堅調なことを受けて、アグレッシブ資産を増やしている。経済環境に合わせて、資産配分をかなりダイナミックに変更する様子が見て取れる(チャートご参照)。

リターンの追求と並行して、ダウンサイドのリスクヘッジも機動的に行っている。ヘッジ目的のみにおいて金利先物とCDSのデリバティブを活用しており、金利上昇局面では金利先物の売り建てを通じてデュレーションを短期化する。クレジット・スプレッドの拡大局面では、CDSプロテクションの買いによりクレジットリスクの低減を図る。当戦略ではハイイールド社債なども組み入れるが、そうした相対的に流動性が低い債券については、流動性の高いCDSインデックスを活用することでポートフォリオ全体の流動性を担保している。

当資料は、アクサ・インベストメント・マネージャーズ株式会社が作成したものです。
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投資リスクおよび費用について
当社が提供する戦略は、主に有価証券への投資を行いますが、当該有価証券の価格の下落により、投資元本を割り込む恐れがあります。また、外貨建資産に投資する場合には、為替の変動によっては投資元本を割り込む恐れがあります。したがって、お客様の投資元本は保証されているものではなく、運用の結果生じた利益及び損失はすべてお客様に帰属します。また、当社の投資運用業務に係る報酬額およびその他費用は、お客様の運用資産の額や運用戦略(方針)等によって異なりますので、その合計額を表示することはできません。また、運用資産において行う有価証券等の取引に伴う売買手数料等はお客様の負担となります。

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