【インタビュー】ナウキャスト 創業者・取締役・研究顧問 東京大学経済学研究科 名誉教授 渡辺 努氏 政策金利は2026年末には1%超え。キーワードは「ノルム」と「機会主義」日本経済の現状と日銀の利上げ展望
日本経済の「賃金と物価の好循環」は本物か。その行方を左右する日銀の政策金利判断と実行のポイントは──。オルタナティブデータを活用した経済分析の第一人者で、ナウキャスト 創業者・取締役・研究顧問および東京大学経済学研究科 名誉教授の渡辺努氏に、日本経済の現状と2026年の利上げ展望を聞いた。(記事内容は2025年11月10日時点)
賃金と物価の好循環も根深い慢性デフレ思考

東京大学経済学研究科 名誉教授
渡辺 努氏
足元の日本経済をどう見る。
渡辺 日本ではモノの値段がほぼ動かないデフレ状態が30 年続いた。しかし2022年4月以降、CPI(消費者物価指数)は前年比2%超の上昇、いわゆるインフレ状態だ。2025年9月もCPIは変動の大きい生鮮食品を除く総合が111.4で、前年同月に比べて2.9%上昇した。伸び率は前回8月から0.2ポイント拡大と再び物価高が勢いを増した。岸田文雄政権時代の言葉を借りれば、日本経済は2022年春から「賃金と物価の好循環」にある。
岸田、石破茂の両政権を経て、高市早苗政権でも物価高対策が求められている。
渡辺 賃金と物価の「好循環」との表現には批判もある。厚生労働省が2025年10月に発表した8月分の毎月勤労統計調査によると、物価変動の影響を除く実質賃金は8カ月連続でマイナスだ。大企業を中心に賃金は上昇していると言っても物価ほど上がっていない。
しかし、企業関係者に話を聞いていると、デフレ状態のときは価格を動かせなかったが、ここ3年ほどは「ニーズに応える良いモノをつくり、値段を上げ、しっかり稼ぐ」というアクティブな取り組みが増えてきたと感じる。
幅広い業種で戦略的な価格転嫁が広がれば、企業の競争力が高まり、日本経済が活力を取り戻す第一歩となるだろう。2026年はこの流れが定着し、より多くの人が賃金上昇の恩恵を実感できるか注視している。
政府は依然として「デフレ脱却宣言」を行っていない。
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