知りたい!隣の企業年金・第36回 空調衛生企業年金基金——常務理事、単連から総合型へ転身〜超保守運用、金利上昇にらみ再構築進める
今回は、換気・冷暖房や給排水などの工事会社でつくる空調衛生企業年金基金を訪ねました。常務理事の森田洋二さんは、大手食品・医薬品メーカーの明治グループ企業年金基金で常務理事を退任後、現在の基金に移りました。単独・連合型(単連)から総合型に転身するのは極めて異例です。内側から見た単連と総合型の違いや、現在取り組んでいるテーマなどについて伺いました。

明治製菓で宣伝や海外事業を担当
森田さんとは、私が朝日新聞企業年金基金で常務理事を務めていた際に面識がありました。お互い企業年金連合会の中央部会(東京)で役員をしており、コロナ禍前は月に1回のペースでお会いしていました。明治グループ企業年金基金におられた頃でした。
森田 そうでしたね。明治製菓で宣伝などのマーケティングや海外事業を担当した後、2017年4月から明治グループ企業年金基金で常務理事を務めていました。この中央部会に、空調衛生企業年金基金の常務理事がおられました。親しくなり、色々お話しするうちに「近く退任する。ついては後継になってもらえないか」との打診があったのです。もちろん多少の不安はありました。しかし、声を掛けていただいたのは光栄でしたし、昔から新しいテーマにチャレンジするのが好きでした。それで、「やらせてください」と。
冷暖房や給排水工事35社が加盟
本当に「人の縁」というものを感じますね。では、空調衛生企業年金基金についてご説明いただけますか。
森田 当基金は、東京空調衛生工業会が設立母体となって1983年に東京空調衛生工事業構成年金基金として発足しました。代行返上して2016年7月、現在の空調衛生企業年金基金となりました。換気・冷暖房の空気調和と、給水・給油・排水の衛生設備を手がける工事会社が現在、35社加盟しています。
空調衛生企業年金基金の概要
- 所在地/東京都中央区新富2丁目
- 設立年月/2016年7月
- 資産総額/162億円
- 加入者/6813人 受給者/3112人
- 予定利率/0.5% 期待運用収益率/1.2%
(いずれも2025年3月末現在)
説明責任の大事さ痛感
単連から総合型へ移られて、戸惑ったり驚いたりしたことはありますか。
森田 戸惑うほどではありませんでしたが、「説明責任の大事さ」を日々感じています。理事会や代議員会、そして資産運用委員会などに出席される方たちは、さまざまな背景を持ち、規模も異なる会社の代表です。かつて在籍した明治グループでは「共通言語」みたいなものが土台にあり、よほど複雑な運用商品などでない限り、それほど説明に気を配ることはありませんでした。しかしこちらでは、年金制度の仕組みや運用商品の内容を相当丁寧に説明する必要があります。また、各社の担当者も異動などで変わります。そういった場合に、都度こちらから出向くなどして基金の概要や運用の中身などを噛み砕いてお話ししています。
予定利率「0.5%」に驚く
年金資産の運用に関しては、どんな感想でしたか。
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