企業間の商取引を資金面から支える「トレード・ファイナンス」への関心が高まっている。なかでも、堅実な運用実績で注目されるのが、アリアンツ・グローバル・インベスターズ(以下、アリアンツGI)が展開する「アリアンツ・ワーキング・キャピタル戦略(ALWOCA)」だ。同戦略が投資対象とする資産クラスの特徴と、そこから生まれる付加価値について、アリアンツ・グローバル・インベスターズの担当者に伺った。

短期クレジット戦略で信用・流動性リスクを抑制

アリアンツ阿久津卓真氏
アリアンツ・グローバル・インベスターズ
金融法人営業部 兼 年金営業部
クライアント・アカウント・マネージャー
阿久津 卓真

「トレード・ファイナンス(貿易金融)」とは、企業間における財やサービスの取引に際して、資金決済や資金調達の円滑化を図る金融取引の総称である。アリアンツGIが展開する戦略の一つであるALWOCAは、こうしたトレード・ファイナンスの中でも、買掛金ファイナンスとも呼ばれる売り手の資金繰りを加速させる「サプライチェーン・ファイナンス」を主な投資対象としている。

具体的には、売り手企業が保有する売掛金を、第三者である金融機関が割引価格で買い取る取引を指す。この仕組みにより、売り手企業は代金を早期に回収でき、金融機関は割引分を収益化できる。また、買い手企業にとっても、支払期日を延長しつつ売り手企業との取引関係を円滑に保てるという利点がある。

リスクは基本的に買い手企業の信用リスクに限定され、取引はシンプルかつ短期であるため、信用リスクや流動性リスクを一定程度抑制しながらリターンを確保できる点が特徴である。

豊富な情報網から厳選された案件のみに投資

ALWOCAが他のトレード・ファイナンス戦略と一線を画すのは、「安定性」を最優先に設計された運用哲学にある。

ポートフォリオの大部分は、先進国の大手企業を与信先としたサプライチェーン・ファイナンスで構成されており、平均残存期間は94日(2025年6月末時点)と極めて短期だ。

このアプローチを支えているのが、アリアンツGIのグローバルな信用分析力と、豊富な案件供給基盤である。30社を超えるソーシング・パートナーとの連携により、多数の投資案件の中から厳選された条件のものだけを採用している。

また、アリアンツGIは保険大手のアリアンツ・グループに属する総合型運用会社であり、2025年6月末時点で95兆円の運用資産を誇る。

クレジット分析においても、運用チームに加え、世界中に在籍する20名超のクレジットアナリスト、さらにグループ企業である世界最大級の取引信用保険会社「アリアンツ・トレード」が保有する8500万社以上の信用データを活用できる体制が整う。このような情報網と分析体制によって、与信精度を高めるだけでなく、市場ストレス時の高度なリスク管理も可能にしている。

平均残存期間3カ月。低デフォルト・高回収率を実現

2025年、米国トランプ政権による追加関税の発表をきっかけに、グローバル市場のボラティリティが一段と高まったが、ALWOCAはこうした不透明な状況下においても、毎月安定的にプラスのリターンを積み上げている(図表1)。

■図表1:主要クレジット資産対比のALWOCAの累積パフォーマンス
ALWOCAの累積パフォーマンス
(出所)ブルームバーグをもとにアリアンツGIが作成。データは2025年6月末現在。ALWOCAのリターンは、ユーロベース、配当分配金込み、手数料・経費控除後。戦略の開始は2019年4月。表示されているインデックスのリターンは、ユーロベース、手数料控除後です。過去のパフォーマンスは将来のリターンを示唆・保証するものではありません。
※クリックすると拡大します

背景には、売掛債権という投資対象の特性がある。平均残存期間が3カ月と極めて短いため、マクロイベントによる企業への中長期的な影響が想定されても、それが波及する前に資金回収が完了してしまう。

実際、関税措置の影響を受けた2025年上半期においても、国連貿易開発会議のデータによれば世界貿易は約3000億ドルの増加が観察できる。アジア開発銀行の推計では、トレード・ファイナンスの需要と供給のギャップは2.5兆ドルに上る。今後、関税引き上げの影響が本格的に表れ、貿易取引の伸びが減速したとしても、実需に裏打ちされた資金需要が堅調に続く見込みだ。

トレード・ファイナンス戦略は、安定性と収益性の両立を目指す投資家にとって、従来の債券投資の代替としても有望と言える。例えば、2024年来の金利上昇を受けて利回りが改善傾向にある日本国債への投資で、年率2.42%というALWOCAが2025年6月末までの1年間で記録した円ヘッジ後リターンを実現しようとすると、10年以上の金利リスクを取る必要がある。金利ボラティリティが高止まりする中、短期資産で同等の収益を安定的に確保できるALWOCAの相対的優位性は明確だ。

また、海外先進国のヘッジ付き社債市場においては、足元のクレジットスプレッド縮小により投資妙味が乏しい状況が続く一方、トレード・ファイナンスはプライベート資産であるがゆえに、非流動性プレミアムが乗った魅力的なスプレッドが維持されている。

加えて、当該資産クラスの歴史的なデフォルト率・回収率にも目を向けたい。国際商業会議所(ICC)などの調査によれば、トレード・ファイナンスは他のクレジット資産に比してデフォルト率が低く、回収率が高い。ALWOCAにおいても運用開始来のデフォルト率は年率0.25%と低位にとどまり、回収率は90%以上に達している(図表2)。

■図表2:ALWOCA戦略のデフォルト率と回収率
ALWOCA戦略のデフォルト率と回収率
(出所)Moody’s Global Annual default Study、国際商業会議所(ICC)Average Default Rates in Trade Finance Instruments 2008-2021
*ALWOCA戦略コアポートフォリオには、2021年9月に組み入れを終了した英国中小企業向け融資(融資件数ベースのデフォルト率約15%、デフォルト考慮後の実績IRR約16%)は含まれていません。過去の運用実績は、将来の運用成果を保証するものではありません。上記の統計データには、ALWOCA戦略に直接適用できない記述または仮定が含まれている場合があります。
※クリックすると拡大します

最後に、ALWOCAをオルタナティブ投資として見た場合には、ダイレクトレンディングとの比較も有益だろう。後者は相対的に高いリターンを狙える一方で、ミドルマーケット企業を主な投資対象とし、また一般に投資家の資金は長期間ロックアップされる。それに対しALWOCAは、グローバル展開する中堅・大企業を主な投資対象としているため相対的に信用力の高い企業が多い上、投資期間の短さから市場環境の変化に応じ投資先を柔軟に入替可能だ。

さらに、月次での解約が可能というのも大きな特徴である。過度なリスクを避けつつ、プライベートクレジットへの安定的なエクスポージャーを取りたい投資家にとって、ALWOCAは有力な選択肢となり得るだろう。

【ご留意事項】

  • 本資料は、アリアンツ・グローバル・インベスターズ又はグループ会社(以下、当社)が作成したものです。
  • 特定の金融商品等の推奨や勧誘を行うものではありません。
  • 内容には正確を期していますが、当社がその正確性・完全性を保証するものではありません。
  • 本資料に記載されている個別の有価証券、銘柄、企業名等については、あくまでも参考として申し述べたものであり、特定の金融商品等の売買を推奨するものではありません。
  • 過去の運用実績やシミュレーション結果は、将来の運用成果等を保証するものではありません。
  • 本資料には将来の見通し等に関する記述が含まれている場合がありますが、それらは資料作成時における当社の見解または信頼できると判断した情報に基づくものであり、将来の動向や運用成果等を保証するものではありません。
  • 本資料に記載されている内容・見解は、特に記載のない場合は本資料作成時点のものであり、既に変更されている場合があり、また、予告なく変更される場合があります。
  • 投資にはリスクが伴います。投資対象資産の価格変動等により投資元本を割り込む場合があります。
  • 最終的な投資の意思決定は、商品説明資料等をよくお読みの上、お客様ご自身の判断と責任において行ってください。
  • 本資料の一部または全部について、当社の事前の承諾なく、使用、複製、転用、配布および第三者に開示する等の行為はご遠慮ください。
  • 当社が提案する戦略および運用スキームは、グループ会社全体の運用機能を統合したものであるため、お客様の意向その他のお客様の情報をグループ会社と共有する場合があります。
  • 本資料に記載されている運用戦略の一部は、実際にお客様にご提供するにあたり相当程度の時間を要する場合があります。

投資顧問契約および投資一任契約のお客様は以下をお読みください。

対価とリスクについて

1. 対価の概要について

当社の提供する投資顧問契約および投資一任契約に係るサービスに対する報酬は、最終的にお客様との個別協議に基づき決定いたします。これらの報酬につきましては、契約締結前交付書面等でご確認ください。投資一任契約に係る報酬以外に有価証券等の売買委託手数料、信託事務の諸費用、投資対象資産が外国で保管される場合はその費用、その他の投資一任契約に伴う投資の実行・ポートフォリオの維持のため発生する費用はお客様の負担となりますが、これらはお客様が資産の保管をご契約されている機関(信託銀行等)を通じてご負担頂くことになり、当社にお支払い頂くものではありません。これらの報酬その他の対価の合計額については、お客様が資産の保管をご契約されている機関(信託銀行等)が決定するものであるため、また、契約資産額・保有期間・運用状況等により異なりますので、表示することはできません。

2. リスクの概要について

投資顧問契約に基づき助言する資産又は投資一任契約に基づき投資を行う資産の種類は、お客様と協議の上決定させて頂きますが、対象とする金融商品および金融派生商品(デリバティブ取引等)は、金利、通貨の価格、発行体の業績・財務状況等の変動、経済・政治情勢の影響を受けます。従って、投資顧問契約又は投資一任契約の対象とさせて頂くお客様の資産において、元本欠損を生じるおそれがあります。ご契約の際は、事前に必ず契約締結前交付書面等をご覧ください。

  • 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第424号
  • 加入協会 :
    一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人投資信託協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会
  • https://jp.allianzgi.com/ja-jp
  • 電話番号:
    (営業本部)03-6229-0260

DBJE4754285_20250820