異次元の金融ショックや「ブラックスワン」現象が頻発するなか、ダウンサイドのボラティリティを軽減するための分散投資の重要性がこれまで以上に増している。英国で最もトラックが長い150年超の運用実績を持つ不動産運用会社のM&Gは、アジア太平洋地域に特化したコアのオープンエンド不動産投資戦略としても最大規模を誇る。M&Gリアルエステート M&Gアジア・コア不動産戦略 ファンドマネージャーのリチャード・ファン・デン・ベルグ氏に、アジア太平洋地域の不動産市場の動向や有望セクターなどを聞いた。

ソウルやシンガポールは数年間インフレレベルを上回る見込み

リチャード・ファン・デン・ベルグ氏
M&Gリアルエステート
M&Gアジア・コア不動産戦略
ファンドマネージャー
リチャード・ファン・
デン・ベルグ

日本の年金基金や機関投資家の多くは欧米で不動産投資を行っているが、アジア太平洋地域への不動産投資には、欧米と異なるユニークなセクターやその国ならではの投資機会を活用できる。例えばオーストラリアは、堅調な人口増加に支えられ、透明性の高い不動産市場を作り上げている。日本は、長期低金利と国内人口の多さが特徴だ。韓国は、ゲームやソーシャルメディア、EC(電子商取引)など新しい産業の力強い成長から恩恵を受け、不動産市場の整備が急速に進んでいる。このように、アジア太平洋先進国市場はそれぞれ独自のバリューポジションを持っている。

長期的な経済成長率の上昇という構造的なトレンド下にあるアジア太平洋地域は、昨今求められるインフレヘッジに適した市場であると言える(図表1)。この地域の中産階級の増加は、東アジアが世界経済の成長の中心地となることを予感させる。マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査では、2040年までにアジアが世界のGDP(国内総生産)の50%を、世界の消費の40%を占めると見込む。こうした経済成長は不動産需要を支え、不動産評価の維持にもつながる。また、一等地にある不動産の地価が高いことも、不動産価格の下落を抑制すると考えられる。

アジア太平洋地域の賃貸不動産の賃料はインフレに連動して上昇している
※1999年を100として指数化
出所:M&G

アジア太平洋先進国では、都市化の進展が不動産市場をけん引し続けている。世界の他の地域と比較して、オフィスで働くワークスタイルが続いていることもポイントだ。グーグルのモビリティ・データによると、韓国ではパンデミック期間中でもオフィス利用率が75%を下回ることはなく、その後もパンデミック前のレベルを上回っていた。

足元では、リモートワークとオフィスワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」がオフィス市場を形成している。企業は従業員のウェルビーイング(心身の健康や幸福)を促進する高品質なオフィスを重視する傾向があり、こうした物件は人材を惹きつけたり、企業文化を浸透させたりするのに役立つという。なかでも、テクノロジー企業が増加している地域では、規模の経済の恩恵を受けられる立地にある優良物件のニーズが高まっている。

物価の上昇に伴って、アジア太平洋地域のオフィス市場は歴史的な供給不足にあるため、比較的短いリース期間による潜在的な賃料の成長力を捉えることができる。例えば、ソウルやシンガポールでは、土地資源が限られていることと多様なセクターからの旺盛な需要が相まって、今後数年間は賃料の伸びがインフレレベルを上回ると期待される。

デジタル経済への移行を重視する各国政府は、デジタルおよびグリーン産業への官民投資を拡大し、アジア太平洋先進国市場全体ではイノベーションの波に拍車がかかっている。インターネットとスマートフォンの普及率が高く、EC市場が大きく成長して新興企業やテクノロジー企業の割合が増加していることから、不動産ニーズやセクターが多様化している。

オンラインショッピングは今やアジア太平洋地域でも確固とした地位を築き、2025年に同地域のオンライン売上総額が全世界のEC市場成長の45%以上を占めると予想されている。オンライン小売業者が配送スピードを競うなか、国内人口の多い先進国市場では、より効率的な在庫検索や仕分けをサポートするハイスペックな物流施設へのニーズが増大している。

輸送コストの上昇やサプライチェーン分断への備えとして在庫を増やそうと考えるテナントの間では、有事想定型の「ジャスト・イン・ケース物流」の機運が高まっている。しかし、最新の物流施設の供給がニーズに追い付いていないため、中長期的な賃料の伸びが期待できる。実際、アジア太平洋先進国の物流施設では空室率が5%を下回る一方で、建設コストの上昇により新規供給が抑制される可能性があると言われている。

住宅も機関投資家にとって魅力的なリスク調整後リターンが見込めるセクターだ。東京やシドニー、メルボルンなどの主要都市では、人口動態や移住トレンドに加え、ライフスタイルの変化や経済的な制約から、不動産運営会社が管理する賃貸住宅が人気を集めている。

日本の成熟した集合住宅セクターは、様々な経済的ショックを受けながらも一定の入居率と賃料水準を維持しており、安定したインカム収入を求める投資家にとって引き続き重要な投資対象となるだろう。オーストラリアは若年層の人口が増加し、世界で最も物価の低い都市もあるため、新興の賃貸住宅セクターは大きなチャンスと言える。シドニーやメルボルンなどの都市部では自らが管理するタイプの賃貸物件が多いため、プロが管理する充実した設備が魅力の賃貸住宅への需要が伸びている(図表2)。

住宅価格指数の推移
※2015年第1四半期を100として指数化
※住宅価格指数は、香港の住宅価格総合指数、オーストラリアの首都圏8都市の加重平均価格指数、東京圏のマンション価格指数を基に算出(2022年6月時点)。
出所:香港Centadata社、オーストラリア統計局、日本国土交通省のデータよりM&G作成

GRESB評価では、2年連続で地域セクターリーダーを受賞

『M&G アジア・コア不動産戦略(MAP)』は、アジア太平洋地域に特化した機関投資家向けのオープンエンド不動産投資戦略で、長年にわたり確立されたコア戦略を持つ。

2022年3月末時点の運用総資産額は65億米ドル(約7913億円)。オーストラリア、香港、日本、シンガポール、韓国などの主要セクターとゲートウェイ市場に分散された質の高い不動産資産でポートフォリオを構成している。スケールメリットを活かすことで、ゲートウェイ都市にある魅力的な環境基準や利用者向けサービスを備えたビルなど、大規模案件の組み入れも可能だ。また、市場との良好な関係を通じて、オフマーケット(市場に出てこない相対取引の物件)へのアクセス力も備えている。

MAPのグローバルESG(環境・社会・企業統治)ベンチマークの成績に反映されているように、ESGはM&Gの重要なテーマだ。MAPの運用資産の71%はグリーンビルディング認証を取得しており、2025年までに90%まで引き上げることが目標だ。2021年のGRESB*リアルエステイト評価では5つ星を獲得し、同業他社で1位となった。また、2年連続で首位の「地域セクターリーダー」を受賞している。

*グローバル不動産サステナビリティ・ベンチマーク

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