高い成長力を秘めた様々な業種の企業が集う米国株式市場に低コストでアクセスできるツールとして、ETF(上場投資信託)が注目を集めている。なかでもステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(以下SSGA)が運用する『SPDR® S&P 500® ETF(ティッカー:SPY)』は、圧倒的な取引規模と流動性で幅広い投資ニーズに応えている。SSGA ETFビジネスヘッドの杉原正記氏に、『SPY』が幅広い投資家の支持を集める理由を聞いた。

杉原正記氏
ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ
ETFビジネスヘッド
杉原 正記

分散やリスクを意識した米国株投資

2022年に入り市場は大きく動いているが、2021年を振り返ると株式、その中でも特に米国株式に対する投資家の一極集中が際立った1年であった。特に米国大型株のパフォーマンスが好調で、S&P500は3年で年率プラス26%、5年で同プラス18.5%と米国株式を保有していれば上昇の恩恵を受けられる相場が続いていた。

ETFの分野に目を移すと2021年は米国に上場しているETFへの資金流入は過去最大の9,080億ドルとなり、それまで過去最大だった前年2020年の5,050億ドルをあっさりと塗り替え、その中でも米国株式への資金流入は4,812億ドルと記録的な金額となった。

その米国株式を代表する指数がS&P500である。S&P500は米国の大型株500社で構成され、米国株式時価総額の約8割を網羅しており、組入れ上位5セクターで約4分の3(情報技術約3割、ヘルスケア、一般消費財・サービス、金融、コミュニケーション・サービスがそれぞれ約1割)を占めており、一定の分散が取れている(2021年末時点)。

【図表1】『SPY』組入れ銘柄のセクター比率(%)

『SPY』組入れ銘柄のセクター比率(%)
※2021年12月末現在
出所:ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ

また、S&P500が米国の指数にとどまらない理由がある。構成銘柄の多くは各産業を代表するグローバル企業であり、2020年の海外売上比率は28.7%にも達している。つまりS&P500によって一定の地域分散効果が得られるとも言えよう。2020年末時点、全世界でS&P500をベンチマークとして運用している運用資産は約13.5兆ドル、S&P500をインデックスとして連動している金融商品は約5.4兆ドルもあると推計され、まさに桁違いの規模となっている。

機関投資家はこうした強さを見せる米国株へのエクスポージャーを引き続き増やしている。「2022年は市場の不透明感が強まりボラティリティが高まると想定されます。S&P500に代表される米国株式をコア資産の一部にしながら、機動的にポジション変更を行うことでリスク管理をする機関投資家も増えていくでしょう」とSSGA ETFビジネスヘッドの杉原正記氏は語る。

有事においても機能する『SPY』

数あるS&P 500指数連動型商品の中でも際立っているのが、SSGAが運用する『SPDR® S&P 500® ETF(ティッカー:SPY)』だ。『SPY』は1993年に米国で初めて上場したETFで、29年という長いトラックレコードがあり、様々な投資家のニーズにも応えられるクオリティの高さから多くの支持を集め、約4,000億ドルと世界最大の残高を誇るETFである(2022年2月末時点。東証にもティッカー1557で上場)。では何故ここまで支持されるのか、今回大きく2点を取り上げたい。

1つ目は「流動性」である。機関投資家が機動的な運用を行うための必須条件とも言えるだろう。2021年12月~2022年2月末までの3か月間を見ても米国での『SPY』の1日あたりの取引平均金額は496億ドルと圧倒的な規模を誇る。

さらに際立っていたのは新型コロナウイルスのパンデミック下の2020年2月28日、米国市場での取引が過去最大の1日あたり1,137億ドルを記録した。このように市場が暴落し、取引ニーズが高まったときでも、『SPY』のビッドオファースプレッドは平均1bps(ベーシスポイント)以下で大量の金額の取引をマーケットに提供することができた。

杉原氏は「投資家に改めて取引の厚み、信頼性、確実性を担保したまま場を提供できたことを伝えられる機会となりました。また、平時では投資家もあまり気にならないかもしれませんが、有事の際に大量のポジションを動かさなければいけない場合にこそ、取引の場を提供できるかどうかが重要です」と指摘する。危機に直面してもなおこれだけの流動性を担保しつつ、コストも低位に安定している。よりリスク管理が求められる2022年を考える上では、『SPY』をコアの一部に据えた運用は多くのニーズを汲むことができるだろう。

投資ニーズに合わせた使い方が可能

2つ目は「多様な使い方ができる」点だろう。高い流動性があるゆえに幅広い利用目的の投資家のニーズを網羅することができている。伝統的なロングオンリー戦略やリスクヘッジを目的としたショートポジションの構築、先物の代替やレンディングといった様々な使われ方をしている。

またコロナショックを経験し、現金の株式化戦略も見直された。ポートフォリオの流動性維持のために現金を保有していたいが、マーケットを見ながらタクティカルに『SPY』を保有する手法は米国の年金基金などでも再注目された。マネージャー移行期間の際に運用を止めないためにも一時的に『SPY』を保有する手法や、マクロトレンド的なトレンドフォロー戦略、さらに高度な取引として、S&P500先物価格との差に注目をした大規模なアービトラージ戦略などにも使用されている。

【図表2】最近注目されている『SPY』を利用した投資アイデアの例

最近注目されている『SPY』を利用した投資アイデアの例
出所:ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ

単独投資商品でこれほどまでに多くの活用方法があるのは稀であり、『SPY』に圧倒的な取引規模と流動性があるからだ。流動性が残高をつくり、残高がまた流動性を生むという両輪のサイクルがうまく機能した商品と言えよう。『SPY』は多様な投資家のニーズを取り込むことができる単なるETFではなく、もはや資本市場のツールとして唯一無二の存在となっている。

リスクをいかにコントロールしながら機会収益を確保するか今後も工夫していく余地がある中で、『SPY』はこれからも多くの投資家のニーズを捉えていくことができるだろう。

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<SPDR® S&P 500® ETF(以下当ETF)の投資にかかるリスク>当ETFはS&P500®指数を連動対象とし、主に米国株式等の有価証券に投資を行います。当ETFへの投資には、市場リスク、為替リスク、信用リスク、カントリーリスク、流動性リスク等が伴います。これらのリスク要因により当ETFの価格が変動し、その結果、投資元本を損なう可能性があります。なお、ETFの投資にかかるリスクは上記に限定されるものではありません。
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<その他ETFの投資にかかる一般的なリスク>一般にETFは上場廃止リスクがあり、純資産規模が縮小するなど、運用が困難になった場合や、上場取引所の上場基準に合致しなくなった場合、上場廃止となることがあります。また市場価格とETFの一口あたりの純資産額が乖離する可能性があります。
※これらは主なリスクであり、ETFへの投資にかかるリスクはこれらに限定されるものではありません。

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4472036.1.1.APAC.RTL Exp Date 31/3/2023

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