多くの機関投資家がESG(環境・社会・企業統治)への配慮を優先事項の最上位に置く今、資産運用会社にはサステナビリティの実績と、顧客ポートフォリオのパフォーマンスに貢献する商品が求められる。この2つの要素を備えたサステナブル投資のフロントランナーが、アリアンツ・グローバル・インベスターズだ。同社のサステナビリティへの取り組みと注目のファンド『アリアンツグローバル・サステナビリティ戦略』の特徴を聞いた。

サステナビリティの実績

Part1 社会に好影響を与えるアクティブ資産運用会社

世界24拠点・約700名の運用担当者が利用可能なデジタル・プラットフォーム

投資先との密接なエンゲージメント

アリアンツ・グローバル・インベスターズは、サステナブル投資のパイオニア的資産運用会社の1社として、積極的に国際コミッティーに参加し、専門性を共有することで、サステナブルな社会構築に向け長きにわたって積極的に取り組んでいる。2007年にPRI(責任投資原則)に初めて署名した50の運用会社の内の1社であり、また2018年には欧州委員会のサステナブル・ファイナンスにおける技術的専門グループの一員として参加している。

川村 学氏
川村 学
アリアンツ・グローバル・
インベスターズ
機関投資家営業部門ヘッド・
金融法人営業部長

 
2017年10月にディレクター、クライアント・アカウント・マネージメント部長として入社。金融業界において25年以上の経験を有し、ブラック・ロック、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズにおいて金融法人営業およびリレーションシップ・マネジメントとして10年以上にわたって従事。イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校経営学修士

「弊社は気候変動やその広範な影響などの問題に対処するために、資産運用会社としてサステナブル投資への民間資本の流れを促進するうえで主導的な役割を果たさなくてはならないと考えています。中でも、弊社のようなアクティブな資産運用会社は、社会全般に対してより好影響を与えられる立場にあると確信しています。多くのお客様が目指す世界的変化を実現するには、投資先企業との密接なエンゲージメント(対話)が不可欠であり、投資先の企業を深く理解し、交流を続けることが重要であると言えるでしょう」(アリアンツ・グローバル・インベスターズ 機関投資家営業部門ヘッド・金融法人営業部長の川村学氏)

同社は、企業だけでなくセクター全体のビジネスモデルやオペレーションを低炭素経済に移行させるための支援に重点を置き、気候変動にプラスの効果をもたらすことを目指している「炭素排出量が相対的に少ない企業」を評価することで、ポートフォリオのリスクエクスポージャー削減につなげつつ、低炭素経済への移行への貢献を心がけていると言う。

川村氏は「弊社は多数の企業を対象に、気候変動を含む環境リスクとその影響についてのエンゲージメントを実施し、企業がどのように気候リスクを測定し管理しているのか、また、戦略、経営、製品パイプラインで必須の低炭素化をどう進めているのかを検証しています。環境問題に対するエンゲージメントの件数はサステナビリティの重要性の高まりとともに増加し、全体に占める割合は前年対比で5%増の19%を占め、これらのエンゲージメントは、石油・ガス、公益事業、素材、金融、消費財など様々な分野に及んでいます」と語る。

ESGは長期パフォーマンスの源泉

サステナブル投資における同社のアドバンテージは、このようなポリシーに裏打ちされた調査・評価体制の充実ぶりからもうかがえる。同社はサステナビリティを運用業務の中心に据えており、世界の24拠点に所属する約700名すべての運用担当者が関連調査・評価で利用できるグローバルなデジタル・コラボレーション・プラットフォームを構築している。

「現在では、ESGパフォーマンスが優れているほどリスク調整後のリターンが向上する傾向にあり、ESGプロファイルが優れている企業はリスクが低い傾向にあります。その一方で、ESG格付けの各プロバイダーはそれぞれ異なる方法論を用いているため、同じ企業のESG格付けでもプロバイダーごとに大きな違いがあります。弊社は、第三者機関の調査は出発点のみで活用し、その企業特有のESGリスク要因をより深く理解するために、社内の専門の分析グループによるリサーチを加えた独自の評価方法を確立しています」(川村氏)

アクティブな資産運用会社として同社は、重要なESG要素は、長期パフォーマンスの源泉になり、同時に適切な資本配分と企業に対するエンゲージメントはポジティブな変化をもたらす原動力となると強調する。ESGを投資判断に組み込むことで、顧客とともに持続可能な経済・社会の構築を目指すことができるとする同社の哲学をファンドという形で商品化したのが、20年以上のトラックレコードを誇る『アリアンツ グローバル・サステナビリティ戦略』だ。

Part2 『アリアンツ グローバル・サステナビリティ戦略』

銘柄選択効果で設定来パフォーマンスは市場全体やサステナブル指数を上回る

専任チームによる独自のSRIスコア

世界の中でも欧州はサステナビリティ投資の先進地域として知られる。ドイツの保険会社グループのアリアンツ・グローバル・インベスターズは、欧州の資産運用会社の中でも早くからこの重要性を認識し、1999年には初のSRI(社会的責任投資)関連戦略を立ち上げた。

「現在では運用資産のすべてが何らかの形でESG要素を取り入れています。サステナブル関連戦略の運用残高は年々大きく伸び、2020年は対前年比24%増加し2,055億ユーロ(約27兆円)に達しました(2020年12月末時点。円は2021年7月末時点。1ユーロ=130.20円)。その中核ファンドが、『アリアンツ グローバル・サステナビリティ戦略』です」(川村氏)

アリアンツ・グローバル・インベスターズサステナブル投資の AUM(運用資産残高)の伸び(10億ユーロ)

同戦略は、アリアンツ・グローバル・インベスターズのサステナビリティ専任チームが各銘柄に独自のSRIスコアを付与し、属するセクターおよび業界ごとにESGの相対評価を実施。ポートフォリオの最低75%はこのSRI評価 が最高分位(ベスト・イン・クラス)のグローバル企業に投資し、評価が著しく低い(ワースト・イン・クラス)企業には投資しない。これにより、ESGに高いコミットメントを有する銘柄にのみ投資することが可能となる。銘柄選定では、「クオリティ」「グロース」「バリュー」の3つの側面から分析し、中長期にわたって堅調な株価の推移が期待できる確信度の高い銘柄のみでポートフォリオを構築する。

アリアンツ グローバル・サステナビリティ戦略(ポートフォリオの概要)

銘柄選定のポイント

投資アイデアの創出プロセス

「アリアンツ・グローバル・インベスターズでは、世界中の約4,000銘柄をカバーする独自のSRIレーティングモデルを構築しています。当戦略はこのレーティングモデルを通じて潜在的なESGリスクの特定を行うほか、ESG投資のドライバーとなるテーマを発掘し、魅力的な投資機会を投資家の皆様に提供しています。組入銘柄の一つである製材メーカーは、ESGの観点からも高く評価されている銘柄の一つです。同社の社会的責任のある事業を行ってきた実績や、温室効果ガス排出量はネットでマイナスになっている各種取り組みを評価。サステナブルな材料が注目される中で、同社が提供する再生可能な素材への需要は高まっていることから、今後とも中長期にわたる安定した業績の成長が期待されます」(川村氏)

徹底したファンダメンタルズ分析

加えて、当戦略は運用中のエンゲージメントを積極的に実施。投資先企業にESGに対するコミットメントと持続的な社会構築への貢献性を高めている。ある半導体関連企業は、業績は好調でガバナンスと人事方針は問題ないが、役員報酬に改善の余地があった。そこでアリアンツ・グローバル・インベスターズはエンゲージメントを重ね、さらなる改良を促している。このような確固とした運用プロセスと地道な努力の蓄積が好パフォーマンスを生み出す。

川村氏は「長期的な金利低下が継続したここ10年間のパフォーマンスを振り返ると、グロース銘柄の勢いが増す中、当戦略はESGの相対評価の高い企業を選別するベスト・イン・クラス手法を運用プロセスに加え、成長、クオリティ、バリュエーションにフォーカスする徹底したファンダメンタルズ分析に基づくボトムアップの銘柄選択が奏功してきたと言えるでしょう。その結果、MSCI ACWIトータルリターンで表される市場全体の運用成果を上回っただけでなく、ESG要素を加えた代表的なサステナブル指数(Dow Jones Sustainability World Indexトータルリターン)も大きくアウトパフォームしてきました」と解説する。

2020年の後半になると、先進国を中心に新型コロナウイルスのワクチン接種が進むにつれ、コロナ後の急速な景気回復に対する期待から長年低迷していたバリューやシクリカルの銘柄へのローテーションが進んだ。その結果、同年10月からの半年間のパフォーマンスはDow Jones Sustainability World Indexトータルリターンに劣後する形となった。

「しかし、過去を振り返るとこうした相場環境は短期間にとどまるケースが多く、むしろそうした局面でボラティリティが高まるタイミングは市場の非効率性を捉える好機といえます。当戦略では、保有銘柄のポジションを積み増したり、新たに有望銘柄のポジションを組み入れる機会と捉えてきました。その後、市場が重要なESG要素を含むファンダメンタルズに再び目を向けるようになると、当戦略は市場を再びアウトパフォームしました」(川村氏)

『アリアンツ グローバル・サステナビリティ戦略』の期間別の運用実績※クリックまたはタップすると拡大表示されます

生保、年金基金、地方銀行が関心

1999年2月設定で20年以上という長期の運用実績をもち、かつ、良好なパフォーマンスを誇る同戦略は世界中の投資家から引き合いがあるという。川村氏は「日本においても、年金基金様や地方銀行様など幅広い機関投資家様よりご関心をいただいております。特に生命保険会社様は、最近、より積極的にESG投資に取り組まれていることに加え、長期目線でのリターンの源泉としてもESGを評価され始めていることから高いニーズをいただいております。当戦略を通じて、弊社のサステナビリティへのケイパビリティを最大限活用した魅力的な投資機会と、社会貢献性を投資家の皆様にご提供できると考えております」と説明する。

同社では、サステナビリティの推進をさらに加速させるため様々なプロジェクトを進行させている。主要な74の投資戦略をよりサステナブルな戦略へ移行。気候変動対策に特化したエンゲージメントプログラムも開始し、企業の気候変動リスクへの対応を促している。

「気候変動が多くの投資家にとって喫緊の課題となる中、私たちは気候に関する従来の考え方を越えて、生物多様性やその他の環境に対する広範囲な影響も探っています。また同時に、サステナビリティは、概して個々の商品や資産クラスを越えたものであり、投資先企業とのエンゲーメントの中核となるものと捉えて活動の幅を広げていくつもりです」(川村氏)

資産運用業界においてもサステナビリティの存在感は今後ますます大きくなる。投資先企業や機関投資家との親密なコミュニケーションをベースに、運用リターンと社会貢献の両立を目指すアリアンツ・グローバル・インベスターズに対する期待はさらに高まるだろう。

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