運用の高度化や多様化が求められる中、リターンの源泉を分散する目的で「株式のボラティリティ」を1つの投資対象とする考え方が急速に広まりつつある。そんな中、SOMPOアセットマネジメントとクレディ・スイス証券が提供する日本株を対象とした『株式ボラティリティ・プレミアム戦略』が人気だ。商品設計のポイントや注目を集める背景について、担当者に聞いた。

SOMPOアセットマネジメント × クレディ・スイス証券
(左から)
SOMPOアセットマネジメント
機関投資家営業部 営業課長 小宮山 真澄
機関投資家営業部長 井上 武宣
クレディ・スイス証券
ソリューション本部 投資ソリューション部長 マネージング ディレクター 石澤 亮介
ソリューション本部 投資ソリューション部 ディレクター 山本 幹太

デリバティブ入札の第一人者で競争力のある価格応札を実現

長期化する低金利に加え、クレジット・スプレッドはタイト化し続け運用難が極まる中、機関投資家は金利以外に安定的なキャリー収益が得られる運用先を探している。その1つの解として、「株式のボラティリティ」に着目したSOMPOアセットマネジメントは2019年7月、『株式ボラティリティ・プレミアム戦略』の提供を開始した。同戦略は、日経平均株価を原資産とした満期1カ月の行使価格90%のプット・オプション(売る権利)の売りを行う。オプション取引は年間8兆円近くのデリバティブ関連取引をクレディ・スイスが担うことで、競争力のある価格応札を可能としている。

クレディ・スイス証券 ソリューション本部 投資ソリューション部長 マネージングディレクターの石澤亮介氏は、「新型コロナウイルス禍後に向け、中央銀行を含め各国が様々な政策を打ち出すことが予測され、株式市場も相応に変動すると考えられる。こうした環境において、為替リスクがなく、キャリーを生み出す原資産の1つとして日本株のボラティリティは有望な投資対象」と語る。

日経平均株価10%超の下落でも損失は限定的

同戦略は、日経平均株価の下落が10%以内ならオプション収入などで構成するインカムゲインが期待できる。では、実際のところどのくらいの頻度で損失が発生するのか。同部 投資ソリューション営業部 ディレクター 山本幹太氏は、「過去10年間の日経平均株価を月末ベースで見ていくと、1カ月で10%超の下落は計120回のうち3回のみ」と説明する。

2020年3月のコロナ・ショック時、この月の日経平均株価はマイナス10.53%を記録した。しかし、同月末のオプション取引は日経平均株価が大幅下落した直後だったこともあり、プット・オプションのプレミアムは1.5%超を獲得できた。そのため、同戦略は翌月からパフォーマンスがプラスに転じた。石澤氏は、「日経平均株価が10%超下落した翌月はボラティリティが跳ね上がり、同戦略にとってはオプション・プレミアムが高水準となる傾向があるため、損失は比較的早期に回収することが期待できる。また、月末でロールする同戦略は月次ベースでみて設定からまだ一度もマイナスを出していない」と明かす。

もちろんボラティリティが非常に低い時期もある。ファンドの運用コストのほうがオプション・プレミアムよりも高いとリターンがマイナスになってしまう懸念があるが、クレディ・スイスは可能な限りコストを抑えたスキームを設定している。

それは、プット・オプションへの投資を直接行わず、主にSPC(特別目的会社)が発行するユーロ円建てリパッケージ債に投資を行うというものだ。このユーロ円建てリパッケージ債は、株式ボラティリティ・プレミアム戦略に連動する担保付スワップ取引が主な投資対象だ。

同戦略を実現するためには、①リパッケージ債にスワップを内包する、あるいは直接運用会社にスワップを提供する、②運用会社がオプション運用を行う――の2つの選択肢がある。クレディ・スイスが同戦略で提供するのはユーロ円建てリパッケージ債の中で円の短期金利を付与する手法だ。

過去の実績で見ると、運用会社が短期国債や信託銀行の金銭信託、コールローンなどを活用するスキームは、クレディ・スイスの提供する短期金利よりもマイナス幅が深いケースがほとんどだ。同戦略で採用するユーロ円建てリパッケージ債の短期金利は現状マイナスではあるものの、マイナス幅は浅くリターンへの影響は少ない。

同戦略の直近過去1年のリターンは、運用コストを差し引いた後でも年率5.2%。第2弾、第3弾と単位型を募集すると、既存の機関投資家が再度手を挙げることが多いという。SOMPOアセットマネジメント 機関投資家営業部営業課長 小宮山真澄氏は、「金利以外のキャリー収益の源泉を探すニーズや、コロナ・ショックの局面でドローダウンを記録したファンドも数多くあり、その期間のパフォーマンスやその後の回復スピードを重視するニーズに適している」と話す。

投資期間1カ月間の騰落率のヒストグラム

パフォーマンス・シミュレーション

「ボラティリティ」は1つの資産クラスとして急速に拡大

同戦略は2015年から構想を練られてきたが、昔からあるコール・オプション売りとは異なり、プット・オプション売りは長い間、機関投資家の投資対象となりえず、SOMPOアセットマネジメント、クレディ・スイスをはじめボラティリティ戦略提供を目指す金融機関が地道な啓発活動を続けてきたという。

同社の機関投資家営業部長 井上武宣氏は、「2016年1月に導入された日本銀行のマイナス金利政策やクレジットのタイトニングなど複数の要因が重なり、スワップ取引を内包した戦略への投資を機関投資家が検討する段階に入ったのがちょうど2019年頃」と振り返る。

「ここ2、3年でボラティリティを投資対象とする類似プロダクトは急速に増加し、ボラティリティはアセットクラスとして1つの市場を形成しつつある。当社だけでも同シリーズはすでに16本のファンドを立ち上げ、純資産総額は約800億円まで拡大している」(小宮山氏)

ボラティリティのプット・オプション売りを主軸とする同戦略は今後も良好なパフォーマンスを維持できるのか気になるところだが、山本氏は「多くの機関投資家は株式の下落リスクに対して、プット・オプションを利用したヘッジを行っている。こうしたヘッジニーズがなくなることは想定しがたく、また相対的にボラティリティの高い株式をオプションの原資産にしているため、一定水準のプレミアムを継続的に獲得できるだろう」と有効性を示す。

「低金利環境ではイールドハンティング(利回り追求)の動きが強まりがちだが、リターンの源泉が異なる資産を探してリスクを分散していくことで、リスクの深掘りを回避して収益を確保できる。その答えの1つがボラティリティという考え方に賛同いただける皆さまにご提供する戦略である」(井上氏)

本資料は適格機関投資家向けに作成されたものです。情報提供を目的としており、個別商品・戦略等の勧誘を行うものではありません。本資料に記載の意見、見解は、本資料作成日時点におけるものであり、今後、予告なく変更されることがあります。また、本資料に掲載された過去の実績及び今後の予測は、将来の運用成果等を保証または示唆するものではありません。また、運用に係る手数料・報酬等を予め示すことはできません。
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