プライベート資産は、魅力的な利回りが期待できる半面、流動性が低く、個別戦略単位ではリスク管理も煩雑だ。ピムコが提供する『プライベート・インカム戦略(PIF)』は、高い利回りを確保しつつも質の高い資産クラスで運用する「インカムゲイン重視型のマルチセクター型」戦略だ。ピムコのプライベート資産戦略の強みと『PIF』の特徴を、年金・法人営業部の2人に聞いた。

マーケットでの存在感と柔軟なアロケーション調整

ここ数年来、日本の機関投資家の中でプライベート資産への関心の高まりが見られます。新型コロナウイルスの感染拡大前後で、その姿勢やニーズに変化は見られましたか。

鈴木徹氏
ピムコ
常務執行役員 年金・法人営業部長
エグゼクティブ バイス プレジデント
鈴木 徹

鈴木 世界主要国の積極的な金融緩和政策に伴い、2000年代以降、低成長・低金利・低リターンの「ニュー・ニュートラル」な環境が継続しています。対して、低金利環境下でも商業用や住宅用不動産のシニアローン、中小企業向けローンといったプライベート資産の米ドルベースの利回りは足元でも4%台後半-6%台と、年金基金等の機関投資家は利回りの高さに注目しています。これは、投資対象の構造上の複雑性および、セクター、借り手、そして当該プライベート資産の流動性の不確実性が増した結果といえるでしょう。

白石 コロナ禍でこの傾向はより強まったと見ています。足元では米国長期金利の1.5%台乗せが話題ですが、社債など伝統的なコア資産のスプレッドは依然タイト。コロナ禍の影響や政治的・地政学的な不透明感はあるものの、前例のない金融・財政政策が続く見通しにおいては、年金基金等の機関投資家のプライベート資産への関心は一層高まっていると感じます。

ピムコと言えば伝統的な債券運用に強いイメージですが、プライベート資産にはどのような投資体制で臨んでいますか。

白石賢則氏
ピムコ
年金・法人営業部
バイス プレジデント
白石 賢則

白石 1971年設立のピムコの運用資産は2.21兆米ドル(約229兆円)にのぼります。そのうちプライベート資産は340億米ドル(約3.5兆円)。同資産の専門人材を世界で100人以上抱えており、マクロ経済や財務・法務の分析、業界とのリレーション、リスク管理など多様な知見を統合した投資アイデアを提供しています(数字は2020年12月31日現在)。

鈴木 2020年10月に、ドイツの保険会社アリアンツの商業用不動産部門アリアンツ・リアルエステートを統合しました。世界各地にインカム重視からオポチュニスティックな株式型まで多様な不動産戦略を抱える同社を傘下に収めたことで、ピムコの商業用不動産プラットフォームはより強固なものになりました。

ピムコのプライベート資産の運用における特徴を教えてください。

鈴木 1点目はプライベート市場での存在感と考えます。以前、米国の地方銀行が住宅ローン関連事業から撤退することになり、1兆円規模のモーゲージが市場に出てきました。社内の運用者やアナリストが精緻に分析し、一括で引き受けるべきと判断。ピムコには目標リターンや投資対象が異なる多くのクレジット戦略がありますので、1兆円規模のモーゲージをトランシェごとに切り分け、リターンや流動性をもとにふさわしい戦略で投資しました。世界最大級の資産運用会社のピムコだからこそ実現できた投資機会といえるでしょう。

白石 「複数セクター横断の機動的な運用」もピムコの強みといえます。例えば、ポートフォリオの10%をプライベート資産枠とし、不動産、ダイレクトレンディングなど個別戦略単位で投資するとその商品選定やリスク管理が煩雑になります。また、プライベート資産は流動性が低いので柔軟に配分変更できないリスクも考慮する必要があるでしょう。

一方で、複数の資産を組み合わせたマルチセクター型の戦略では、投資家の皆様は個別戦略単位の選定やリスク管理が不要です。市場の変化に合わせた柔軟なアロケーション調整はピムコが行いますので、プライベート資産枠の全体最適を容易に図ることができます。

また、成功報酬の面でも投資戦略ごとに計算・支払いをするよりも、プライベート資産全体の運用成績で評価を行うマルチセクター型戦略のほうが理にかなっていると考えています。

ピムコのインカム・ラインアップ
出所:PIMCO
2020年12月31日現在
上記はご説明のための例示であり、今後変更される可能性があります。上図に記載される目標値は保証されたものではなく、実際の数値はこれと大きく乖離する場合があります。PIMCOの運用する各戦略にはリスクがあり、投資元本の一部ないし全部を失う可能性があります。
※目標収益率は米ドルベース(報酬控除後)、インカム戦略のみ米ドルベース(報酬控除前)。
※※インカム戦略は分配目標でなくインカム・リターンの目標値(米ドルベース)

質の高い資産クラスのポートフォリオで安定運用

総合力を生かした安定的なプライベート資産戦略を提供しているというわけですね。

鈴木 ピムコは、「インカム重視のマルチセクター戦略」を通じて、魅力的なインカムゲインを着実に獲得することを目指しています。市場環境の変化が短期で起こり得る状況下、機動的なリスク配分で下落リスクを抑制し、投資機会の獲得可能性を高めます。プライベート資産へ投資する戦略のラインアップとしては、『タクティカル・オポチュニティー戦略(Tac Opps)』『プライベート・インカム戦略(PIF)』『商業用不動産戦略(PCRED)』が挙げられます(図)。

日本の年金基金や金融機関などは、運用の安定感と利回りの両立を求めています。このニーズに応えるピムコならではの戦略は。

鈴木 図の赤枠で囲った『PIF』はプライベート市場を投資対象とし、リターンの源泉はインカムゲインが大半です。直近のポートフォリオでは約8割が信用力の高いシニア担保付債権で、残りが無担保債権。この無担保部分も、保守的に期待損失を設定したうえで投資妙味を判断します。組入債権は一時的に価格が下落しても基本的には満期まで保有し、回収するスタンスで運用しています。

質の高い資産クラスで構成したポートフォリオでありながら、米ドルベースの目標収益率(報酬控除後)は8~12%ですので、日本の機関投資家や年金投資家の皆様の運用ニーズに応えられると考えます。

白石 『Tac Opps』は、パブリックとプライベート双方の市場を投資対象とし、インカムゲインおよび一部キャピタルゲインを狙う戦略です。足元のパブリックとプライベートの組入比率は7:3程度で、資産全体に占めるプライベートの組入上限は5割を目安としています。

このように、「インカム重視のマルチセクター戦略」でも複数のラインアップを用意しています。

鈴木 ピムコがオルタナティブクレジットの運用を始めたのが2006年。金融危機、欧州債務危機、足元のコロナショックと幾度かの経済・金融危機を経て、運用リソースや投資対象資産を広げ、運用戦略を拡充してきました。これからもピムコならではの総合力を生かしたソリューションを提供していきます。

本資料は一般的な情報提供を目的とするものです。いかなる金融商品の売買の勧誘や推奨を目的とするものではありません。記載された情報は充分信頼できるものであると考えていますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。意見や見通しはあくまで作成日における判断に基づくものであり、今後予告なしに変更されることがあります。言及された投資戦略が、あらゆる市場環境においても有効である、またあらゆる投資家に適するという保証はありません。過去の実績は将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。言及された戦略はオルタナティブ投資を行う戦略です。投機的であり、投資元本や一定の運用成果が保証されているものではなく、元本の一部または多くの部分の損失の可能性があり、ボラティリティが急激に高まる場合もあります。また換金に一定の条件が付される場合があります。全ての投資家に適合するものではなく、資金的な余裕があり、こうしたリスクを取ることについて十分に理解している投資家にのみ向く戦略です。当該戦略は、投資一任契約において外国籍ファンドを組入れる形態によりご提供致します。弊社が行う金融商品取引業に関してご負担頂く手数料等には、弊社に対する報酬及び有価証券等の売買手数料や保管費用等の諸費用がありますが、それらの種類ごと及び合計の金額・上限額・計算方法は、投資戦略や運用の状況、期間、残高等により異なるため表示することができません。

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