フェデレーテッド・ハーミーズの運用子会社MDTアドバイザーズが提供する米国株クオンツ運用である『オールキャップ・コア戦略』は、設定来30年以上にわたり年率2%超の超過収益を獲得してきた(2025年9月末時点)。フェデレーテッド・ハーミーズの藤岡耕三氏は2025年11月26日、東京都内で開催されたJ-MONEYカンファレンス(主催:J-MONEY)で、運用の特徴や現況をつぶさに語った。そのサマリーを紹介する。

安定収益を目指すMDTの運用戦略

藤岡 耕三氏
フェデレーテッド・ハーミーズ
アソシエイト・ディレクター
藤岡 耕三

フェデレーテッド・ハーミーズは、フェデレーテッド社とハーミーズ社が2018年に合併して設立された運用会社である。主に米国国内向けに事業展開していたフェデレーテッド社が欧州全域やアジア太平洋地域などグローバルに展開していたハーミーズ社を買収した経緯がある。

今回ご案内するのはフェデレーテッド・ハーミーズの完全子会社であるMDTアドバイザーズの運用戦略だ。同社は1988年にボストンで設立された米国株のクオンツ専門の運用会社で、1991年に旗艦戦略である『オールキャップ・コア戦略』を立ち上げている。2025年9月末時点でMDTアドバイザーズ全体のAUM(運用資産残高)は261億米ドル(約3兆8600億円)だ。

MDTアドバイザーズの運用チームは全員がクオンツ・アナリストである点が特徴である。ファンダメンタルズのアナリストは1人もおらず、テクニカル分析や統計分析、相関分析に特化している。クオンツ運用であることから、ボストン拠点にはハーバード大学やマサチューセッツ工科大学出身者など理系人材が中心に配置されている。

MDTアドバイザーズの運用戦略における大きな魅力はパフォーマンスの安定性である。オールキャップ・コア戦略では、過去34年という長期のトラックレコードにおいて設定来の超過収益が年率2%を超えている。過去1~5年においても年率5%前後となっている。

さらに同戦略の競合対比のパフォーマンスでは、過去3年から10年のグロスリターンはeVestment上で5パーセンタイル以内、ネットリターンも10パーセンタイル以内。インフォメーションレシオについても3パーセンタイル以内を維持しており、ブレを少なくしながらアルファを創出している点が特長だ。
また、本戦略は徹底したリスク管理により、各ファクター指数や米国債利回りとの相関を低位に抑制している。これらのことから、投資家の皆様には分散を効かせた安心感のある戦略を提供できると考えている。

「生存バイアス」を排した分析力

オールキャップ・コア戦略のAUMは約9760億円で、MDTアドバイザーズ全体の26%を占めている。組入銘柄数は160~180銘柄のレンジで、銘柄数を絞っていることが特徴だ。目標超過収益2~3%に対して過去34年のトラックレコードが2.2%となっていることから、ターゲットを安定的に達成できている。長期の想定トラッキングエラーは3~5%、想定売買回転率は120%を目標値としている。セクター配分については、ベンチマーク対比でプラスマイナス1%以内をガイドラインとしており、概ねニュートラルに近い配分となっている。

具体的な運用プロセスについては「定量ツール」と「運用チームのモニタリング」に分けられる。まず定量ツールについては、過去40年以上の、米国の2万5000社を超える企業ユニバースの日次データを用いて開発したツールで超過収益予測を行っている。生存バイアスを避けるために倒産企業や上場廃止企業も含めた分析を行っており、例えば「倒産した企業がその直前にどのような動きをしていたか」というデータを加味することでアンダーウエートの材料に繋げることが可能となっている。その次に独自のソフトウェアによるポートフォリオの最適化を行い、超過収益の最大化を目指している。

一方、運用チームのモニタリングでは、最適化後の売買案についてトレーディングコストを分析し、アルファ予測に加味する作業が行われる。取引前にはモデル出力の正確性を検証する「取引前レビュー」を実施しており、運用者の目によってモデルが出力した買い推奨・売り推奨が正しいかがチェックされている。

個別銘柄の選択については、ファンダメンタルズとセンチメントによる16のファクターを用いている。このファクターは半年ごとに見直しを行い、効果が薄くなったと考えられるものを除外し、有効と考えられるものを追加する作業を継続している。ファンダメンタルズについては、外部資金の依存度やレバレッジ、企業の継続年数、業界の参入障壁などを評価している。センチメントでは、過去1年のリターンや長期的な反転、短期的な株価のトレンドなどを見ながら個別銘柄の選定を行っている仕組みだ。センチメントにはアナリストの確信度もファクターとして挙げているが、社内にはアナリストがいないことからセルサイドアナリストの見解の平均を測定している。

モデル改善を繰り返す運用プロセス

MDTアドバイザーズは、他社ではあまり用いられていない「ディシジョン・ツリー・モデル」によって株価リターンの予測を行っている。このモデルでは、例えば「外部資金のニーズは高いか?」、「アナリストの確信度は高いか?」といった前述の16のファクターに関する質問を繰り返すことで、最終的に銘柄を「カンパニータイプ(CT)」に分類していく。当然ツリーは1種類ではなく、「ディシジョン・ツリーの森」として約2500種類のツリーがアルゴリズムの中で活用されている。これにより、最終的に1銘柄あたりのリターンの予測をモデルで導き出す仕組みだ。

■各戦略のパフォーマンス(%)
■各戦略のパフォーマンス(%)
注記:2025年9月30日時点。超過収益はグロスリターンに基づくものであり、投資家が支払う運用報酬や各種費用は反映されていません。特定の状況下では、ネットリターンではコンポジットがインデックスを下回るパフォーマンスとなりました。使用される定量モデルおよび分析は、予想とは異なる結果となり、パフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。株式への投資は投機的であり、重大なリスクを伴います。

こうした運用プロセスは、過去30年間以上の試行錯誤の中で繰り返し改善されてきた。例えば、リーマン・ショック後における短期のテクニカル指標のファクターの追加、2013年には単一ディシジョン・ツリーからディシジョン・ツリーの森へ移行、2017年にはディシジョン・ツリーの森のモデリングの改善など、改善を繰り返しながら予測の精緻度を上げているのである。

実際の個別銘柄の組み入れを見ても、モデルの出力が採用されていることが分かる。2025年9月末時点のオーバーウエート上位3銘柄のアドビ(ADBE)、GEバーノバ(GEV)、アッヴィ・インク(ABBV)についてはファンダメンタルズやテクニカル的な要素が加味された結果、MDTアドバイザーズとしては強気な見方をしている。一方、アンダーウエート下位3銘柄であるNVIDIA(NVDA)やテスラ(TSLA)、バークシャー・ハサウェイ(BRK/B)については足元で高いボラティリティが続いている点などが判断材料となった。

最後に年次パフォーマンスに目を向けると、オールキャップ・コア戦略は、ベンチマークであるラッセル3000インデックスに対し、長期にわたりアウトパフォームしている年が多いことが確認できる。2019年には一時的にベンチマークを下回る局面もあったが、その後も一貫して安定した超過収益を積み重ねてきた。短期的な変動に左右されることなく、長期視点で着実な成果を追求する同戦略の特長が、年次データからも裏付けられている。

過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。
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