J-MONEYカンファレンス「ポートフォリオの“代替”から“本命”へ――オルタナ運用を軸とする次世代型運用戦略とは?」が2025年9月26日、東京・日本橋のベルサール東京日本橋で開催された。本記事では、野村総合研究所の木内登英氏が登壇した「特別講演」の概要をお伝えする。

関税で日本のGDPはマイナス0.7%。対米貿易黒字は半分程度削減か

講師:木内 登英
野村総合研究所
エグゼクティブ・エコノミスト

2025年後半のメインシナリオを最初に申し上げると、大きな波乱はないとみている。トランプ関税の影響はこれからだが、日米の経済はともに緩やかに減速に向かうだろう。リスク要因はいろいろあるが、決定的な要素は現時点で見られない。2025年後半の経済を考える上で注目すべきイベントを【図表1】に掲げた。

トランプ関税を巡って日米は7月22日に合意した。8月7日に15%の相互関税が発効し、自動車関税が9月16日にようやく引き下げられた。日米関税合意後の日本経済への影響について、野村総合研究所は「実質GDP(国内総生産)への効果は1年程度で合計マイナス0.68%」と試算している。また、対米貿易黒字は2024年の約8.6 兆円から約4.6兆円程度と半分強の削減になると予測する。

■図表1 2025年後半の注目経済イベント
・トランプ関税と日米関税合意
・米国経済の下振れリスク
・トランプ政権のFRBへの政治介入
・トランプ政権のドル安政策の可能性
・米国のステーブルコインを使ったドル戦略
・日銀の金融政策
・自民党総裁選と新政権の財政政策

世論・市場・司法「3つの壁」で米関税策は縮小へ向かう可能性

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