アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパン 1つの投資で複数のプライベート・マーケットに分散。マルチアセット・プライベート・マーケット投資戦略
昨今の代替市場では金利上昇やヘッジコスト増加の影響により、ヘッジファンドをはじめとする主要資産は厳しい局面を迎えている。そんな中、アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパン 投資ソリューション部長の神頭大治氏は2025年5月16日、東京都内で開催されたJ-MONEYカンファレンス(主催:J-MONEY)で、新たな選択肢としてのマルチアセット型のプライベート・マーケット投資運用戦略の魅力や特徴を説明した。
1万通りの市場シナリオを予測

投資ソリューション部長
神頭 大治氏
アリアンツ・グループはドイツを本拠とする世界最大級の保険・金融グループの一つで、損害保険、生命保険、資産運用の3つの事業を柱として展開している。中でも我々アリアンツ・グローバル・インベスターズ(以下、アリアンツGI)は資産運用事業の中核として2025年現在、約100兆円弱の運用資産をお預かりし、債券、株式、マルチアセット、プライベート・マーケットなど幅広い領域で多様な運用戦略を提供している。
また当社では、アドバイザリーサービスも展開中だ。この業務はドイツ・ミュンヘンを本拠点とする「risklab(リスクラボ)」という専門組織が担い、組織が擁する50名以上のプロフェッショナルのうち約3割が博士号を保有するなど、学術的な裏付けに基づいた定量的分析力を強みとしている。アセットアロケーションにおけるアドバイス時には、ドイツのミュンヘン工科大学との共同研究により開発した独自の資本市場モデルに基づき推定された市場シナリオを用いている。
複数のマクロ要因を織り込んで1万通りのシナリオを構築し、それをもとに1000種類以上の資産クラスの将来見通しを算出する仕組みである。例えばドイツ10年国債の利回りの将来予測を行うような分析も可能だ。
今回ご紹介する『アリアンツ・コア・プライベート・マーケット戦略(ACPMS)』でもこのモデルによる分析が生かされている。同戦略は、複数のプライベート・アセットに分散投資を行うマルチアセット・プライベート戦略である。
ACPMSの説明に入る前に、まずは代替資産市場の現状について整理したい。過去10年間の主要資産のパフォーマンス比較では、先進国株式は約3倍、先進国REITは約2倍に成長している。
なお、先進国REITについては円ヘッジを行っていないため、円安の効果を除いた場合、上昇の勢いは限定的だと考えられる。一方でヘッジファンド指数やコモディティ、債券などに関しては、金利上昇やヘッジコストの増加の影響により、やや低調な推移となっている。より直近の5年間についても、同様に鈍化傾向が見受けられる。
15兆円私募ファンドへ実質投資
こうした環境下で当戦略は、目標リターン年率8~11%(ユーロベース)を目指しており、過去5年間においても同水準のリターンが実現するなど、主要な代替資産と比較しても十分に競争力のあるパフォーマンスを有する。
円ベースで見ると、現在のユーロ円の為替ヘッジコストはおおよそ2%前後となっており、円ヘッジ後では年率6%前後に着地する見通しだ。また欧州で2019年以降に本戦略と同様のスキームで展開している「ユニットリンク型保険商品」では、ユーロ建て年率リターンが8.8%、最大ドローダウンがマイナス3.5%というパフォーマンスを記録している。
次に、当社の資本市場モデルを用いて本戦略を年金基金ポートフォリオに組み入れた場合の効果をご紹介する。
例えば仮の基本ポートフォリオが株式30%、債券40%、オルタナティブ30%という構成で年率リスク10%水準の場合、将来の年率リターンは3.2%と試算される。ここから債券比率を一部削減し、当戦略に10%投資した場合、リスク水準を維持しながら3.6%まで、0.4%改善できる見込みだ。つまり、リスクを抑えながら全体の収益性を高めることが期待できる。
このように投資効率改善が期待できる理由は、ACPMSが「トータル・リターン・スワップ(TRS)」を用いて世界最大級の機関投資家であるアリアンツ保険(※)が保有するプライベート・アセット・ポートフォリオ(約15兆円規模)にアクセスし、共有できる点にある。
※ アリアンツのドイツの生命保険事業であるアリアンツ・レーベン
表面上の投資対象は債券で構成されているポートフォリオだが、TRSによってそのリターンおよびリスク特性を、アリアンツ保険のバランスシート上に保有されているプライベート・アセット・ポートフォリオの特性とスワップ(交換)することで、実質的にアリアンツ保険のプライベート・アセットへの投資効果を得ることができるという仕組みだ。

信用力と流動性を兼ね備える
その効果の一つが分散性で、複数資産へバランスよく投資することで、リスクを抑えつつ安定的なリターンを目指している。対象は①プライベート・エクイティ、②プライベート・デット、③インフラ・エクイティ、④インフラ・デットの4つである。
また、ビンテージ(投資年度)、複数マネージャーによる運用といった点も加味され、極めて高いレベルでの分散を実現している。さらに、アクセス困難な有力マネージャーのファンドにも投資しており、分散性に加えパフォーマンスも兼ね備えた構成となっている。
また、Jカーブの短縮も可能だ。通常のプライベート・アセット投資では初期に資金が拘束され、投資収益が立ち上がるまでに時間を要する、いわゆるJカーブ効果が生じる。本戦略ではアリアンツ保険が時間をかけて運用してきた、既に成熟したバランスシート上のプライベート資産にアクセスするため、投資初期から安定したパフォーマンスを享受できる点が魅力である。
加えて、本戦略はオープン・エンド型ファンドであり、四半期単位での追加設定や解約が可能だ。解約には一定の事前通知やゲート条項が適用されるが、流動性の面でも柔軟性を有している点は、企業年金における資産運用の現場でも活用しやすい特徴だろう。
TRSと聞くと、デリバティブ取引ということで抵抗感を持つ方もいるかもしれない。しかし本スワップはアリアンツ保険が直接のカウンターパーティーであり、第三者の証券会社などは介在しない。したがってカウンターパーティーリスクについては、アリアンツ保険の信用リスクに限定されている。
アリアンツ保険とアリアンツGIは、過去20年以上にわたり、プライベート・マーケット投資の基盤を共同で構築してきた。2000年時点で約8000億円だった残高は、2023年時点で約15兆円へと拡大しており、アリアンツ保険のバランスシートに占める比率も40%近くに達している。
アリアンツGIはプライベート・マーケット専任のプロフェッショナル170名以上を擁しており、現在のプライベート・アセットの運用資産残高は約16兆円に達する。
このように、豊富な運用リソースと、保険会社の巨大なバランスシートとのパートナーシップを背景としたプライベート・アセット戦略を提供可能な運用会社は稀有だろう。高度に分散され、主要なオルタナティブ資産戦略と比較しても非常に高水準なリターン特性をもつ代替投資の有力な選択肢の一つとして、ACPMSを資産運用における検討対象としていただければ幸いである。
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