巨額の財政赤字への懸念から米国の長期金利は、中長期的に上昇圧力が加わりやすいと考えられる。今後の運用戦略は、金利リスクへの耐性に優れた資産を選ぶことが肝心だ。ニューバーガー・バーマンの『CLOインカム戦略』はその有力な選択肢になるだろう。

高まる米国の財政懸念と割高感で伸び悩む米国株

ニューバーガー佐藤真二様

トランプ関税で世界経済の下振れリスクが懸念される中、その震源地である米国でも経済成長の鈍化が見込まれている。2025、26年の実質GDP成長率は共に1%台との市場予測が優勢で、23年の2.9%、24年の2.8%から大幅に低下する可能性が高い。それに伴い足元で最高値圏に留まる米国株も割高感から騰落率は伸び悩み、さらなる上値は期待しにくくなることが予想される。この先の運用収益の源泉は、キャピタルゲイン狙いの株式よりも、債券をはじめとするインカム資産の魅力が高まりそうだ。

「インカム資産を選ぶ際のポイントは、金利リスクの取り方にあります」。こう指摘するのは1939年設立の米資産運用会社ニューバーガー・バーマンで債券運用部長を務める佐藤真二氏だ。

米国金利の短期的な方向感は読みにくいが、中長期的には金利上昇リスクが意識されている。その背景にあるのは財政赤字への懸念だ。7月に成立した大型の減税・歳出法案「One Big Beautiful Bill(OBBB)」によって財政赤字が今後10年間で約3兆ドル膨らむと米議会予算局(CBO)は試算する。こうした懸念から米長期金利には、中長期的に上昇圧力が加わりやすい。

固定金利の債券の場合、金利上昇局面では、価格の下落が避けられないため、佐藤氏は「インカム資産への投資を検討するのであれば、利上げによる金利リスクが限定的な変動金利の資産に注目してほしい」と語る。

デフォルトが発生しにくく、利回りは他の債券を圧倒

変動金利のインカム資産を検討する際に有力な選択肢となるのがCLO(Collateralized Loan Obligation)だ。これはバンクローン(企業向けの貸付債権)を裏付けとした証券化商品で、ローンの元利金を担保に発行される債券の一種だ。バンクローンは、社債と同様に市場で活発に取引されており、投資家にとってはCLOを経由するのがバンクローンに投資する代表的な手段となる。リターンは変動金利となるため金利上昇局面でも資産価値が目減りしにくい特徴がある。

CLO市場は1980年代に米国で誕生して以来、順調に規模を拡大し、足元の欧米のCLO市場は、約190兆円と日本の社債市場の約2倍の規模を誇る、極めて流動性の高い市場に成長した。

このCLOを実質的な主要投資対象とするのがニューバーガー・バーマンの『CLOインカム戦略』だ。最大の特徴は、主にBB格のCLOを投資対象とする点にある。CLOは、デフォルト時に弁済を受けられる順位を示すトランシェと呼ばれる区分ごとに分けられている。トランシェが下がるほど利回りは高まる半面、弁済の優先度は下がる(図表①)。下から2番目のトランシェであるBB格を主な投資対象とする理由について佐藤氏は「リスクと利回りのバランスに投資妙味があるから」と説明する。

■図表①:CLOの格付け
CLOの格付け
(出所)ニューバーガー・バーマン。米国CLO市場において典型的なストラクチャーであると考えられるCLOの構造をお示ししたもの。現在及び今後市場に存在する全てのCLOの構造を網羅的にお示しするものではありません。

図表②を見てほしい。96年~23年3月末までのBB格のデフォルト率はわずか0.04%に過ぎない。08年の金融危機を含めてもこの低さなのだ。社債と比べてもその低さは際立つ。

「バンクローン市場のデフォルト率のピークは金融危機後の09年の9.5%で、平均回収率である約67%を前提にすると、損失率は3.2%程度に留まります。一方でCLOでは、BBトランシェの下に弁済の優先度がもっとも低いエクイティトランシェが概ね10%あります。デフォルトが発生した場合、このトランシェから損失を吸収していく仕組みなので、それがバッファとなり金融危機レベルの事態が起きてもBBトランシェがデフォルトに至るリスクは限定的といえます」(佐藤氏)。

■図表②:CLOと社債の年率デフォルト率の比較
CLOと社債の年率デフォルト率の比較
(出所)S&Pグローバル・レーティングス。CLOは1996年から2023年第1四半期までにS&Pが格付けしたCLOの年率デフォルト率。社債は1981年から2022年までの年率デフォルト率平均。過去のトレンドは将来の結果を示唆、予測、保証するものではありません。

この極めて限られた損失リスクに対して、利回りは25年6月末時点で11.41%。他の債券に比べ相対的に高い水準を提供している(図表③)。これがBBトランシェのCLOの魅力だ。

■図表③:CLOと他の債券との利回り比較
CLOと他の債券との利回り比較
(出所)BlackRock Aladdin, Bloomberg。 2025年6月末時点。JP Morgan CLO Index, Bloomberg US treasury index, Bloomberg US Corporate Bond index, ICE BofA U.S. High Yield Master II Index, JP Morgan EMBI Global Diversified Index。利回りはCLOは直接利回り、米国債、米国投資適格社債、ハイイールド債券、新興国債券は最低利回り。
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年金基金など中長期運用の投資家には絶好の投資機会

ニューバーガー塩見様

高い利回りを実現するのは、ボラティリティの高さを理由とするリスクプレミアムが上乗せされているから。BBトランシェは特にリスクオフ局面でボラティリティが高まる傾向にあり、最大ドローダウンは20年のコロナショック時の‒34.5%だ。短期的とはいえ、ここまでの下振れリスクに耐えられる投資家は限られる。日本でもメガバンクや地方銀行がCLOへの投資を実践しているものの、対象とするのは基本的にAAAトランシェだ。

「CLOは発行されてから償還に至るまでの期間が10年を超える長期の債券ということもあり、特にCLOの中で格付水準の低いBBトランシェのボラティリティは大きくなる傾向がありますが、債券なので償還まで持ち切れば額面で戻ってきます。中長期の運用に耐えられる資金であれば、BBトランシェは高い利回りを期待できる魅力的な投資機会になるでしょう」(佐藤氏)。

伝統的な株式や債券などを中心としたポートフォリオにBBトランシェのCLOを組み入れることで、リスク・リターンの改善も期待できる。米国では著名な年金基金・大学などにBBトランシェのCLOへの投資実績がある。

同社は、業界最大級となる60名以上の非投資適格クレジット部門を持ち、CLO運用で長年の実績を持つ運用会社だ。CLOへの投資に関しては、BB格を含むメザニントランシェを中心に約6,000億円の資産残高を誇る。シニアヴァイス プレジデントの塩見隆太氏は「BB格をはじめとするCLOのメザニントランシェは、海外の洗練された投資家に非常に注目度の高いアセットクラスです。その意味で当社の『CLOインカム戦略』は、グローバルのトレンドに沿った投資機会といえます」と話す。 

高い利回りが期待できる一方、デフォルトが発生にくい構造のBBトランシェのCLOは、変動金利のインカム資産の魅力が高まる環境下で、有効に機能すると考えられる。年金基金など短期的な換金ニーズがない中長期の投資家にとって、絶好の投資機会になるはずだ。

当資料はニューバーガー・バーマン株式会社が運用戦略をご紹介する目的で作成したものであり、特定の金融商品を勧誘するものではありません。ご投資にあたっては契約締結前交付書面等の内容を十分にご確認ください。当資料は当社の許可なく複製・転用することはできません。過去の実績は将来の運用成果を保証するものではありません。当資料は作成時点において信頼できると思われる情報に基づき作成されていますが、その正確性及び完全性を保証するものではありません。また当資料に含まれる情報は作成時点のものであり、予告なく変更されることがあります。
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