ステート・ストリート信託銀行 管理・記録目的から“戦略的資産”へ 世界の機関投資家が進めるバックオフィスデータ活用
世界の機関投資家はいま、競争力を高める手段としてバックオフィスデータの活用に価値を見いだし始めている。本記事では、ステート・ストリートのグローバル調査を通じて見えてきた機関投資家のデータ活用の最前線と、その成功のポイントについて紹介する。
バックオフィスデータ活用がフロント業務の対応力を高める
ステート・ストリートは数年前より、機関投資家のデータ活用と管理の現状について理解を深める目的でグローバル規模の調査を実施しています。最新のレポート「不確実性の時代こそ、データでチャンスを掴む」では、世界中の資産運用会社、アセットオーナー、保険会社、ウェルスマネージャー900社以上を対象としたアンケートを通じて、世界の機関投資家が現在データ活用にどのように向き合っているのか、最新の傾向がいくつか浮き彫りになりました。
特筆すべき傾向として、機関投資家の間で、フロントオフィス業務における重要課題に取り組むために、バックオフィスデータが積極的に活用されるようになっていることが挙げられます。調査では、約3分の1(32%)もの回答者が、競合他社の情報や戦略の方向性を把握するといったインテリジェンス活動のためのバックオフィスデータ活用こそ、最も注力している分野だと回答しています。
なおバックオフィスデータは、保有資産や取引履歴、損益計算、規制当局への報告用データ、顧客向け運用報告書の作成元データなど、従来は正確な取引の記録や管理、法令遵守のために蓄積されてきました。先進的なデータ活用を進める機関投資家の間では、これらのデータが単なる記録用の域を超え、フロントオフィス業務を支える“戦略的資産”としての価値を見いだされはじめているということでしょう。
実際、バックオフィスデータ活用の有無は、市場分析による投資戦略の策定や資本配分に関する意思決定、競合環境のリサーチ、プロダクトの企画・改良、販売戦略の立案といった、フロントオフィス分野の重要課題に対する対応力に大きな実力差をもたらす可能性が高いと考えます。足元でマクロ経済や金融市場の不確実性が増し、競争環境がより複雑かつ苛烈になる昨今、機関投資家はより緻密に、いま何が起きていて、周りがどう動いているのかを把握しながらオペレーションを進める必要があるためです。
ただ、今回の調査でフロント・バック両部門でデータを「非常にうまく活用している」と自己評価する投資家は全体の約半数にとどまり、残り半数は「不得意」「やや不得意」「やや得意」との回答でした。多くの組織に改善の余地がある現状も浮かび上がっています。
近年、データの活用と管理に関する業界の関心は高まってきたものの、新たなデータソースを分析する組織の整備や、フロント・バックの両分野でデータ連携を図るためのシステム基盤を構築するなど、バックオフィスデータ活用を進める体制を整えるハードルは低くないということでしょう。
そこで、これからデータ活用を進めたい投資家に注目いただきたいのが、先進的な機関投資家の姿勢です。本調査の結果からは、「データを効果的に活用している」と自己評価する機関投資家ほど、データソリューションをカストディアンへアウトソーシング(外部委託)することに積極的である姿勢が見て取れます。

加えて、契約するカストディアンに対して満足度が高い機関投資家ほど、バックオフィスデータの利活用が進んでいる状況もうかがえます。実際に、カストディアンに「非常に満足している」と答えた投資家がバックオフィスデータをフロントオフィス業務に活用している割合が74%なのに対し、満足度が「やや満足」または「不満足」の層は65%にとどまっています。
伝統的にカストディアンは決済業務のほかバックオフィスデータの管理や保管も担ってきました。調査結果を踏まえれば、それらデータに対するニーズの変化に機微に応え、先進的なデータソリューションを提供してきたカストディアンが、顧客と二人三脚で、機関投資家の中核業務へのバックオフィスデータ利活用を進歩させている姿が浮かびます。
多様な需要を包括的にカバーするステート・ストリート”Alpha”
2025年6月末時点の管理資産残高が49兆米ドルに上るステート・ストリートは、機関投資家のオペレーション最適化のためのソリューションを展開してきた世界有数のカストディアンです。特にデータ管理および分析ニーズの高まりにはいち早く反応し、先進的なデータプラットフォームを業界に先駆けて提供してきました。
特に足元で引き合いが強まっているソリューションに、『ステート・ストリートAlpha』(以降、Alpha)があります。これは投資のワークフロー全体を一貫して管理可能な単一プロバイダーによるオープンプラットフォームです。フロントオフィスとバックオフィスをシームレスかつリアルタイムに統合し、保有資産の状況把握や取引履歴、リスク管理、規制対応といった多様なバックオフィスデータを、投資戦略の策定や競合環境の分析等、フロントオフィスで行う意思決定プロセスに取り入れることができます。
なお当調査で、バックオフィスのデータ活用・管理の強化における優先事項を尋ねたところ、米州地域の機関投資家は「プライベートファンドおよび資産情報の投資家への提供」、欧州・中東・アフリカ地域の機関投資家は「競合他社の情報・戦略傾向の捕捉」をトップに挙げるなど地域差が見られました。アジア太平洋地域の機関投資家の優先事項トップ3は「財務情報および規制当局への報告書作成」(34%)、「投資家向けレポートの作成」(28%)、「トランスファー・エージェント業への対応」(28%)でした。Alphaはこうした様々な業務の運営の簡素化を進め、あらゆる市場の資産管理プロセスを合理化することができます。
今後、機関投資家は競争力を高めるため、「バックオフィスデータを戦略的資産へ」をテーマにデータ戦略により真剣に取り組んでいく必要性が高まっていくでしょう。その際、データの可能性を引き出す先駆的なソリューションの選択肢として、ぜひAlphaをご検討いただければと思います。
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