ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ マクロベットに左右されにくい債券定量運用戦略
定量データに基づくシステマティックな銘柄選択を特徴とする「SAFI」。均一化が進む社債市場で、従来の運用戦略と異なる独自性や強みとは。
不透明性の高い環境下でポートフォリオの精査が必要
世界経済はウクライナ問題など地政学的リスクが今もくすぶり、トランプ米大統領の政策に端を発する政治的リスクも懸念される。2025年後半のマーケットを、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(以下、SSGA)のグローバル・チーフ・インベストメント・オフィサー、ロリ・M・ハイネル氏は次のように予測する。

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グローバル・チーフ・インベストメント・オフィサー
「インフレ率の伸びは鈍化しているものの、いまだ高い水準にあります。一方で世界経済の成長は、潜在成長率(中長期的に持続可能と考えられる成長率)並みで維持されています。インフレの抑制を受けて、米国など多くの中央銀行で利下げの実施が見込まれ、2025年はソフトランディングを前提としています。また米国の関税政策が各国、セクター、企業に与えるインパクトが具体的に判明するまで、市場で長く不透明感が続くことが予想されます」
そのような不透明性の高い環境下で、「60/40」と呼ばれる株式60%・債券40%の伝統的資産配分を見直す機運が高まっているとハイネル氏は言う。「伝統的資産と低相関のオルタナティブ資産を組み入れることも選択肢ですが、債券そのもののポートフォリオも、株式との相関や景気への感応度を今一度精査する必要があると考えます」
SAFIはマクロベットに頼らず、銘柄選択で超過収益を追求
債券は株式と負の相関関係があるとされてきたが、近年は債券投資においても市場(指数リターン)との連動性が高まり、従来のような分散効果が得られにくいことをハイネル氏は指摘する。「IG(投資適格債)がほぼデフォルトしない資産になっており、銘柄選択で獲得できる超過収益は縮小傾向にあります。その結果、債券のアクティブマネージャーは収益の源泉をマクロベット(銘柄選択以外の市場方向性に賭けること)に求める傾向が強まりました。具体的にはデュレーション、セクターやスプレッドの動きを取りに行くような投資手法です。これにより、債券のジャッジメンタル(アクティブ)運用は市場との連動性が非常に高まりました」。

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運用部 シニア債券ストラテジスト
SSGAが2024年に提供を開始した『システマティック・アクティブ債券運用』(SAFI)は、市場リスクの影響を極力排しながら、銘柄選択に基づく超過収益の獲得を目指す運用手法だ。同戦略は、バークレイズのクオンツ戦略リサーチチーム(QPS)が提供する定量データに基づき、システマティックなプロセスを通じて銘柄選択を行うことを特徴とする。SSGAのシニア債券ストラテジスト、駱正彦氏は同戦略の強みについて説明する。「SAFIはバリュー、モメンタム、センチメントの3つのシグナルに基づいて、割安かつ上昇余地がある銘柄をロジカルに選択します。投資適格債は米国だけでも8000銘柄以上あり、アナリストが全てをカバーするのは難しいですが、SAFIではほぼ全ての銘柄を対象としています。マクロベットせず定量的判断に基づく運用手法は従来のジャッジメンタル運用との相関も低い傾向があり、両者を併せ持つことでリスク調整後リターンの向上を期待できます」。
SAFIの2011年1月から2023年12月のバックテストでは、標準偏差が60bpに対して超過収益が125bpほどとなり、多くのアクティブ運用を上回る試算となった。2024年の実績値も標準偏差が約40bpに対して超過収益が100bpを超え、SAFIの優位性が示されている。


2023年12月31日時点。パフォーマンスは、投資業界で広く使用されている流動性モデルであるバークレイズ流動性コストスコア(LCS)指標に基づいて想定された取引コストを使用したバックテストモデルポートフォリオの月次トータルリターンに基づいて計算されます。LCSは、債券価格のパーセントとして表される債券レベルの取引コストを表し、即時の機関投資家規模の往復取引のコストを測定します。ブルームバーグ米国投資適格社債インデックスのトータルリターンは、取引コストを考慮していません。バックテストされたパフォーマンスとは、モデルが開始する前の結果(つまり、すべてのデータがバックテストされる)またはSSGAモデルの結果(モデルの開始前とモデルの開始後に生成されたもの)を生成するために、モデルより前の市場データにSSGAモデルを適用した結果です。分析は、QPSインデックスからのファクター入力を使用して、SSGAのモデルポートフォリオ最適化プロセスに基づいてバックテストされたパフォーマンスで行われます。本書に記載されているバックテスト済みのパフォーマンスは、システマティック米国投資適格企業戦略(以下「ストラテジー」)のSSGAモデル・ポートフォリオ最適化プロセス部分のアウトプットのみを反映したものであり、導入時点でのモデル・ポートフォリオからの潜在的な逸脱を反映したり、組み込んだりするものではありません。表示されているデータは、バックテストされたパフォーマンスの架空の例であり、説明のみを目的としており、SSGA製品の過去または将来のパフォーマンスを示すものではありません。バックテストされたパフォーマンスは、実際の取引の結果を表すものではなく、後知恵の恩恵を受けて設計されたモデルを遡及的に適用することによって達成されます。実際の業績は大きく異なる可能性があり、利益だけでなく損失も生じる可能性があります。バックテスト・パフォーマンスでは、アドバイザーの実際の意思決定に影響を与えるような重要な経済的要因や市場要因が考慮されていない場合があります。パフォーマンスは取引コストを反映していますが、管理手数料やクライアントが支払わなければならないその他の手数料や費用は反映されておらず、リターンが減少します。モデル方法論の説明と、バックテスト結果に固有の制限に関する重要な議論については、付録のバックテスト方法論の開示を参照してください。SSGAは、この戦略に対して実際の資産をまだ管理していません。会社の複合材料とその説明の完全なリストは、リクエストに応じて入手できます。
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バークレイズ・インデックス・ライセンス・ディスクレマー Barclays Bank PLC(「BB PLC」)は、バークレイズの定量的ポートフォリオ戦略(QPS)リサーチ チームが開発した定量的シグナルをSSGAにライセンス供与しました。BB PLCと、その関連会社(総称して「Barclays」)も、ここで言及されている商品の開発者、発行者でもなく、Barclaysはかかる商品に関して、投資家に対する責任、義務を負いません。
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