アリアンツ・グローバル・インベスターズ(アリアンツGI)のトレードファイナンス戦略「アリアンツ・ワーキング・キャピタル戦略(ALWOCA)」は、足元で大きく揺れる運用環境でも安定した運用が期待される。その魅力について、同戦略のリード・ポートフォリオ・マネージャーを務めるマーティン・オプファーマン氏に語ってもらった。

景気後退局面で際立つ安定感

マーティン・オプファーマン氏
マーティン・オプファーマン
アリアンツ・グローバル・インベスターズ
リード・ポートフォリオ・マネージャー

2025年4月2日、いわゆる「解放の日」に米国のトランプ大統領が発した関税政策が、世界経済を大きく揺さぶっている。そんな中、安定運用を志向する機関投資家が注目し始めているのが、市場が不安定な局面でも強みを発揮する「トレードファイナンス」に投資する戦略だ。

そもそもトレードファイナンス(以降、TF)とは、貿易や企業間取引などの資金循環を円滑にする金融取引だ。モノやサービスの売買の際、売り手企業が請求書を発行しても、買い手企業が支払いを済ませるまで日数が必要となる。この時、例えば、TFの一つである売掛金ファイナンスを活用すると、売り手企業は保有する売掛債権をディスカウントされた金額で銀行や投資家に売却することで、すぐに手元資金を確保できる。

今回の関税引き上げは、貿易量を幾分停滞させることが懸念されるが、TF自体の需要は持続していき、むしろ、より不安定で保護主義的な世界貿易情勢においては、変化する通商パターンに柔軟に適用できるTFの役割が一層重要になってくることが想定される。

また、金融市場の混乱、経済に関する不確実性、サプライチェーンに関する不確実性の高まりは、信用保険会社によるTF資産への保険引き受け姿勢を慎重にさせる可能性が高く、TF市場で供給サイドの95%以上を占めている銀行の与信が減少することが予想される(BIS規制上優位な扱いが受けられるため、銀行はTF債権に投資する際、信用保険を必要とする傾向がある)。これは、非銀行の機関投資家にとっては投資機会の拡大を意味し、より有利な条件での投資案件獲得や、新たな信用力のある企業へのアクセス機会が生まれる可能性を高める。

さらに投資家にとって魅力なのは、平均3カ月程度というTFのデュレーション(平均回収期間)の短さだ。いわばTFは“超短期のクレジット投資”と言える。また、TFはローンや社債等と比較し、歴史的にデフォルト率が低く、回収率は高い。また、マクロ経済にリンクした動きを見せるほかの金融資産の値動きとの相関の低さも、不確実性が高まる中でTFを資産の逃避先として選ぶことのできる特性の一つだ。

独自のポートフォリオ戦略が強みに

こうした不安定局面で発揮する様々な魅力を求め、TF戦略を提供する運用会社も増えてきたものの、アリアンツGIが手掛けるアリアンツ・ワーキング・キャピタル戦略(ALWOCA)には、他社にない魅力が詰まっていると自負している。まず注目いただきたいのは、ポートフォリオの約8割を売掛金ファイナンスや買掛金ファイナンス(※)といった、安全性の高い仕組みを持つ取引に配分している点だ。

※買い手企業が承認した請求書の情報を基に、売り手企業に購入代金の早期支払いの選択肢を提示する。売り手企業がそれに応じればディスカウントされた金額を支払い、応じなければ予定通り支払期日に全額を支払う。買い手企業は支払い期日に全額を支払う。

それに念を押す形で、より信用力の高い取引に厳選して投資を行うべく、ALWOCAでは世界最大級の取引信用保険会社アリアンツ・トレード社(旧ユーラーヘルメス社)の分析リソースを活用し、高精度のクレジット分析を実施している。またアリアンツGI自身も高い分析能力を持つクレジットアナリストを世界中に20名以上配置しており、約30社のソーシング(案件発掘)先から寄せられる豊富な投資案件を精査している。選択肢が豊富であることから、紹介を受ける投資案件の大部分については投資を見送り、リスク対比リターンが十分に魅力的だと判断した案件にだけ選別的に投資を行っているため、高品質なポートフォリオを維持できていることも、ALWOCAの運用パフォーマンスに貢献している。

ポートフォリオの中身を見ると、半分以上は外部格付を持つ企業向けの債権で構成されており、国別比率は、9割以上が先進国だ。他社のTF戦略では新興国比率を高めて利回りの水準を高めている例もあるが、リスク・リターンのバランスを重視する当戦略では、そうした積極的なリスクをとることはない。

そして、ALWOCAは、もともと地域やポジションを広範に分散している上に、投資中の売掛金・買掛金ファイナンスの約43%は各国の国内取引を裏付けとしている。そのため、関税政策の影響を受けにくいと言えるだろう。クロスボーダーの商取引を裏付けとする案件についても、米国バイヤー向けの取引はポートフォリオ全体の1割程度。「解放の日」以降もポートフォリオへの影響は限定的だとみている。

もっとも、ポートフォリオマネージャーがポジションを継続的にモニタリングしているので、与信先に何らかの影響が生じた場合、素早く対応措置を講じることが可能だ。これも、自社で分析・モニタリング体制を構築している当社ならではの強みだろう。

“10年超”国債と同等の利回り

日本からも多くの引き合いを受けるALWOCAだが、ぜひ日本の機関投資家に注目いただきたいのが、「日本国債との併せ持ちによる効果」だ。

■図表1 日本国債、米国債(円ヘッジ)のリターンの相関(2019年4月~2025年3月)

日本国債米国債のリターンの相関

■図表2 リターンの推移(2019年4月~2025年3月)
リターンの推移
(出所)Bloombergのデータを基にアリアンツGIにて作成。2025年3月末時点。ALWOCA戦略のリターンは円ヘッジベース、運用報酬控除後。日本国債(7~11年)は、Nomura-BPI 長期債指数、米国債(7~10年、円ヘッジ)は、S&P U.S. Treasury Bond 7-10 Year Indexを基に円ヘッジコスト(1か月物)を控除したものを使用。上記の折れ線グラフは、2019年4月末時点を100として月次リターンを指数化したもの。過去の実績は将来のリターンを保証するものではありません。

当戦略は目標リターン(費用控除後)を「短期金利+200bps」と定めており、為替ヘッジ後のリターンについては、設定来年率換算で1.62%(2025年3月末時点)となっている。仮に日本国債でALWOCAの円ヘッジ後と同等の利回りを達成しようとすると、少なくとも10年以上の年限に投資する必要が生じる。しかし金利のボラティリティが高まっている今、デュレーション(=金利感応度)を伸ばすことを極力避けたいのが現実だ。また、国内金利が上昇する局面では、海外金利との差が縮小しやすいことから、為替ヘッジコストが低下し、ALWOCAの円ヘッジ後のリターンは向上しやすい。

加えて、ALWOCAは2019年の運用開始来、年率のボラティリティが0.49%(実績値)と、日本国債のリスク水準を大きく下回る。さらにTFはもともとその他資産クラスとの低相関が売りになっているが、図表1に示す通りALWOCAは特に日本国債の値動きと“ほぼ無相関”。したがって、低リスクで日本国債ポートフォリオの効率を向上させることが期待される。

先行きの見通しにくい運用環境で、ポートフォリオ全体の安定性向上や、待機資金の一時的な避難先を探している投資家の方に、強くお勧めしたい。

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