湊 基成

湊 基成
三菱UFJ信託銀行
First Sentier Investors
Product Manager

2006年、三菱UFJ信託銀行に入社。東京およびニューヨークにて、10年超にわたり為替トレーディング業務や為替セールス業務に従事。国内主要メディアに金融市場のコメンテーターとして出演。米国金融規制への対応経験も有する。2024年4月よりFirst Sentier Investorsに出向。同社にてプロダクトガバナンスを担当。
カリフォルニア大学サンディエゴ校経営科学部卒業、日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)

Ⅰ.はじめに

我が国政府は、岸田前政権が掲げた「新しい資本主義」の実現を目指し、投資や消費を促進することで「成長と分配の好循環」を生み出す政策を進めている。その一環として、2023年12月に「資産運用立国実現プラン」が策定された。このプランは、国民の資産形成を支援し、経済全体の活性化を図ることを目的としている。

これまで政府は、「資産所得倍増プラン」やコーポレートガバナンス改革を通じて、インベストメント・チェーンを構成する各主体である、家計、金融商品販売会社、金融業者、企業年金基金などに働きかけをしている。しかし、インベストメント・チェーンをさらに強化するためには、資産運用業とアセットオーナーシップの改革が必要であるとされている。この2つは、いわば「残されたピース」として、資産運用立国の実現に向けた重要課題である。

資産運用立国実現プランでは、資産運用業に関する具体的施策の一つとして、プロダクトガバナンスに関する原則の策定が提言されている。これを受け金融審議会の「市場制度ワーキング・グループ」では2024年7月、「顧客本位の業務運営に関する原則(以下、原則)」に「プロダクトガバナンスに関する補充原則」を新たに追加することが提起され、2024年9月に金融庁により当該原則が改訂されたところである。このような政府の後押しもあり、今後、資産運用会社や販売会社といった関係者によるプロダクトガバナンスへの取り組みが加速していくものと予想される。

一方、海外に目を向けると、プロダクトガバナンスは新しい概念ではない。特に英国においては、2000年初頭に金融監督当局であるFinancial Conduct Authority(以下、FCA)(※1) がプロダクトガバナンスに係る各種規制やガイドラインを導入して以降、高度化に向けた取り組みが不断に行われており、日本が参考にできる点も多いと考えられる。本稿では、その過去経緯とともに英国のプロダクトガバナンスに係る特徴を確認した後に、プロダクトガバナンスに関する重要な取り組みの一つであるAssessment of Valueの内容について説明する。そのうえで、日本への示唆についても述べていく。

なお、プロダクトガバナンスについては、近年幅広い金融商品に対して要請されつつあるが、本稿においては他に特段の記載が無い限りは投資信託に対するものを対象とする。

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