【講演リポート】アリアンツ・グローバル・インベスターズ 企業価値向上に向けた 「建設的対話」~資本コストを超えて:東京証券取引所、上場企業、機関投資家が共に描く未来~
2024年10月11日、上場企業と機関投資家の「建設的対話」をテーマにオンライン形式のJ-MONEYカンファレンスが開かれた。東京証券取引所が上場企業に「資本コストと株価を意識した経営」への要請を公表してから1年半以上経ったいま、企業と投資家は次にどのような対話のかたちを通じて、企業価値の共創を行っていくべきか――。当日のプログラムをダイジェストでお伝えする。
上場企業の価値向上実現に向けた東証の取組み
増えてきた開示企業。次の焦点は「実効性」
東京証券取引所(東証)では、近年、株式市場を起点に日本企業の価値創造力の向上を実現するため、市場区分の改革などの取り組みを進めてきた。
中でも注目を集めたのが、2023年3月に公表した、「資本コストや株価を意識した経営」への要請だ。まずは自社の収益性や市場評価など現状を取締役会レベルで徹底的に分析・評価した上で、具体的な改善策を策定し、投資家に開示する。それを前提に積極的に株主・投資家と対話することでフィードバックを得つつ、取り組みをブラッシュアップする――この一連のフローを継続的に実施することをお願いしている。
プライム、スタンダード両市場の全上場企業を対象とした同要請から約1年半が経った。プライムの開示企業は8割を超すなど、開示を行う企業は増えているが、中身となる具体的な取り組み内容について、投資家の期待を十分に満たすレベルまで改善の余地がまだある企業が多い印象だ。
東証としては、これまでは初動期間として、多くの上場企業にまず開示に取り組んでもらうことにフォーカスしてきた向きもある。ただ、今後は次のステップとして、より実効性の高い取り組みの策定と開示を進めていただけるよう、我々も様々な取り組みを実施していく予定だ。
そこで効果を期待している取り組みの1つが、企業と投資家の認識のギャップを埋める情報提供だ。東証では市場改革を進めていく上で多くの投資家、市場関係者と対話を進めてきた。そこで聞き取った投資家の企業に対する期待や要望をまとめ、2024年2月にポイント・事例集として公表した。この内容をアップデートし、11月に改訂版の公表を予定している。同事例集の内容についてはすべて対応しなければいけないというものではないが、自社の取り組みに足りない部分はどこなのかなど、取り組み内容策定のヒントにしてほしい。
他方でスタンダード市場を中心として、いまだ開示を「保留中」としている企業も多い。これら企業への対策としては、検討状況や開示見込み時期を具体的に示すことを改めてお願いしている。また投資家との対話に対応する部署や人員など、リソースそのものが不足しているケースも多いため、IR体制の確保を促す取り組みや支援策を進めていく。
上場企業と機関投資家の建設的対話
企業と投資家は長期投資で結び付く
古木 双日は、東証の要請以前から資本コストを意識した経営に取り組まれていた。
遠藤 当社は様々な経営改革を進めてきたものの、2020年ごろまでPBR(株価純資産倍率)1倍割れの状態が常態化していた。そんな状況を打開すべく、2021年に定めた中期経営計画で定量目標のひとつとして「PBR1倍超」を盛り込み、当時としては斬新だと話題を呼んだ。
ではどうやって「1倍超」を達成するか。稼ぐ力であるROE(自己資本利益率)の向上が重要なのは言うまでもない。ただ徹底的にPBRの向上を追求するためには、株主資本コストの低減にも注力する必要がある。そこで注力したのが戦略的な情報開示だ。
古木 双日の統合報告書は数々のアワードを受賞するなど定評がある
遠藤 難しいのは、どれだけ情報開示しても、企業の本質的価値と市場での評価が一致しないこと。どうしても企業と市場の間には情報や期待感のギャップが生じてしまう。それを最大限に小さくする方法が投資家との対話と捉え、丁寧に行っている。
ギャップを埋めるとなると“伝えること”ばかりに気が向いてしまうが、市場が当社をどう見ているか耳を傾け、経営に市場のフィードバックを共有することも大事だ。そこで当社では、社長やCFO、社外取締役が対話に参加する仕組みを整え、市場と経営が対話する機会を積極的に進めている。
中塚 アリアンツ・グローバル・インベスターズ(GI)の対話の目的は、持続的な価値向上が期待できる投資機会を探求すること。その上でポートフォリオの超過収益最大化をミッションとする以上、いかにROIC(投下資本利益率)を拡大する傍ら資本コストを下げられるかという「定量的課題」はまず欠かせない視点になる。
ただし、どんな企業も経済の外部性を持つ。ESG(環境・社会・企業統治)において、対象企業にEやSにおけるどのような重要課題があるかという「定性的課題」が、いかに「定量的課題」に関わってくるかも必ず確認している。
なお「定量的課題」も「定性的課題」も課題を認識して意思決定するのは取締役であるため、その企業の「ガバナンス」も対話で重点的に確認する。
古木 持続的かつ安定的な成長を手にできる企業は、リスクが低下するので資本コストも抑えられ、経営にポジティブであるばかりか株主も恩恵に与れる。「長期投資」という軸で結び付いた企業と投資家とが共通価値の創造を実践していくWIN-WINの関係だ。
そうしたパートナーにふさわしい企業を「定量的課題」「定性的課題」「ガバナンス」の3つの視点で追求するのがアリアンツGIの対話であると理解した。
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