GCMインベストメンツ 主として中小型ファンドを対象に差別化されたセカンダリー投資を実行
ミドルマーケット以下に注力
GCMインベストメンツは、米国のシカゴに本拠を置く独立系運用会社GCMグロブナーの日本法人で、日本の機関投資家を対象にグローバルなオルタナティブ運用のサポートを行っている。PEのプライマリー・ファンドに対する我々のアプローチとして特徴的なのは、投資対象の88%がミドルマーケット以下である点だ。そのうち44%はファンド規模が7.5億ドル未満の小型ファンドである。
GCMグロブナーは著名マネジャーから新興マネジャーまで、代表的なPE運用者との間に強固なリレーションを築き続けており、投資する78%のファンドではアドバイザリー・ボードにも参加している。また、複数の米国有力公的年金基金からEMP(新興運用業者促進プログラム)を受注しており、北米のエマージング・マネジャーとしては第一人者を自負する。
機関投資家がセカンダリー市場で売却を行うのには、いくつか理由がある。例えば当初の運用戦略を変更し、PEから他のオルタナティブ投資へと展開を図るケース。それから金融機関によく見られるのは、ボルカールールやドッド・フランク法などの規制に対応するために売却する事例だ。
ここ数年は円安への対応も目立った。円安が進むとドルベースのPEファンドは資産残高が大きくなるため、円ベースで定めたPEのポートフォリオ比率を保つために売却を迫られることとなる。最近ではプライマリー・ファンド投資でEXIT(資金回収)が進まないなか、新規にコミットしたファンドの払込み要請に応じるため、保有するファンドを売却するケースも増えている。
セカンダリー投資の4つのメリット
セカンダリー投資の潜在的なメリットは4つあると考えられる。1つ目はJカーブ効果の軽減だ。ポートフォリオの構築中は、ファンドの経費負担によってIRR(内部収益率)がマイナスで推移する期間が生じてしまう。セカンダリー投資ではすでにポートフォリオ構築が進んだファンドを購入するため、パフォーマンスに対する手数料のマイナス効果を軽減しやすい。
2つ目はポートフォリオの再評価である。PEファンドは流動性が低いため、売買にあたってはディスカウント価格が適用されるケースが多い。セカンダリー・ファンドを購入すると、翌期にはディスカウント部分を「未実現利益」として計上できるため、IRRは中央値で30%超のレベルとなる。早い段階からリターンが出ることが多く、いわば逆Jカーブ効果が得られるのがセカンダリー・ファンドの特徴の一つといえる。
3つ目は分散効果だ。新たにPE投資を始める場合、プライマリー・ファンドでは「これから先の投資」しかポートフォリオに組み込むことができない。セカンダリー・ファンドを購入すれば、4~5年前など「ビンテージを遡った投資」を組み込むことができ、分散効果が期待できる。4つ目はブラインド・プール・リスクの低減である。プライマリー・ファンドに投資する段階では、将来的なポートフォリオの内容が見えないことがリスクになるが、セカンダリー・ファンドのポートフォリオは概ね投資実行済みのため、投資対象企業の評価が可能となる。
EXITなどによる分配金が、払込金額に対して何倍かを示す指標を「実現投資倍率」というが、セカンダリー・ファンドでは、この実現投資倍率も早い段階から高水準を期待できる。ただし、一定程度の年数を経過したビンテージもののファンドでは、セカンダリー市場で購入する際にある程度、投資先企業の価値増大が織り込まれた形となっている。そのため、最終的な実現投資倍率は、セカンダリー・ファンドよりもプライマリー・ファンドの方が大きくなる傾向がある。
競合他社の少なさが強みの一つ
セカンダリー・ファンドの取引高は堅調に推移しており、2018年~2023年の年平均成長率は9.6%に達している。プライマリー・ファンドにおいて、まだEXITに至っていない資産残高を「未実現NAV」という。2017年~2022年に未実現NAVは年平均18%の伸びを示しており、それが将来的なセカンダリー取引の材料となる。我々は今後5年間で、セカンダリー取引は倍増すると見込んでいる。
セカンダリー取引にはLP主導型とGP主導型の2種類がある。前者は一人のLP(出資者)が複数のファンドをバルクで売却するもので、後者はGP(ファンドの管理運営者)が新たに継続ビークルをつくり、そこに投資家を募るものである。近年では投資対象を厳選したGP主導型が増加しており、「トロフィー案件」と呼ばれる良質な案件を対象にしたセカンダリー・ファンドが出てくるケースも目立っている。
大規模かつ成熟したプライマリ―投資のプラットフォームは、セカンダリー投資の案件発掘、投資実行およびポジショニングに重要な役割を果たす。弊社独自のリレーションの存在や立ち位置は、更なる付加価値をもたらす
従来はLP主導型が取引の中心だったため、高いIRRもしくは早期の収益化が狙える一方で、実現投資倍率はある程度、犠牲にせざるを得なかった。一方、GP主導型には単一資産投資に近いリターン特性があり、LP主導型と組み合わせることで、目標IRRと実現投資倍率をともに高めに設定し易くなる。そうした取引形態が最近、セカンダリー投資の大きなテーマになりつつある。
我々のセカンダリー取引における強みとして、一つには競合他社の少なさが挙げられる。GCMグロブナーがアドバイザリー・ボードの議席を有するファンドのうち75%は、セカンダリー取引も行う運用会社がゼロ、もしくは1社しか参入していない状況だ。情報の優位性を生かしながら、差別化された形で独自の案件を手掛けることが可能となる。
LP主導型のセカンダリー取引においてはこのところ、買い手を複数の投資家に分散する「モザイク取引」の比率が高まっている。我々のセカンダリー投資の対象は76%がミドルマーケット以下で、LP主導型取引の1案件当たりに取得するファンドの平均件数は1.8、平均取引金額は2500万ドル程度である。セカンダリー市場のなかでもより小規模な領域で、厳格な選択と投資を実行している。
GCMグロブナーでは16名の専門メンバーがセカンダリー投資に従事しているが、PEプライマリー・ファンド投資チームなどを含めるとPE投資に携わるメンバーは54名に上り、このメンバーが主にセカンダリー投資に関与している。その他にも絶対収益型戦略51名、インフラストラクチャー20名、不動産13名といったプロフェッショナルがソーシングや事前調査サポートを担当している。セカンダリー取引では、インフラストラクチャーやヘッジファンドのサイドポケット投資のようなポートフォリオを組み込むことも多い。我々は中小型のセカンダリー・ファンド投資に特化するという特徴を持ちつつも、オルタナティブ投資の大きなプラットフォームのなかで広範な案件発掘および情報収集を手掛けている。
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