キャプラが提供するテールリスクヘッジ戦略は、不確実性が高まる金融市場でのひとつのソリューションとなり得る。キャプラ・インベストメント・ジャパンの伊﨑彬晃氏は2024年6月21日に東京都内で開催されたJ-MONEYカンファレンス(主催:J-MONEY)で、テールリスクに対する備えの重要性や、同社が提供する戦略群の特徴や現況を語った。

テールリスクに対する備えの重要性

キャプラ・インベストメント・ジャパン
インベスターリレーションズ シニアディレクター
伊﨑 彬晃氏

足元の市場環境では、2024年6月にエヌビディアの時価総額が世界1位になるなどAI関連銘柄が大きな盛り上がりを見せている。各指数の推移を見ても、「Magnificent7」と呼ばれる7つのIT銘柄がS&P500のパフォーマンスに大きく寄与していることが分かる。

加えて、S&P500の時価加重平均と単純な株価平均を比較してみても大きな乖離が出ている状況だ。当社の分析によれば現在の乖離幅はITバブル以来の大きさとなっており、市場構造の歪さについては留意しておく必要があるだろう。

一方、株式や為替のボラティリティはリーマン・ショック以降で見ても最低水準で推移しており、金利ボラティリティについても直近の利上げ局面で上昇したものの、足元では落ち着きを見せているところだ。

また、足元では米国を中心とした株式オプションの売り手が増加していることで、リスクプレミアムが低下している。つまり、「保険」の役割を果たすボラティリティのロングポジションを買うには最適の環境とも考えられる。

その他の市場環境を見ても、2024年は米国やイギリス、フランスなどで選挙が行われる選挙イヤーであることや、地政学リスク、中国経済リスクも高まっている。日銀による利上げや欧米での利下げなど、グローバルで金融政策の転換期を迎えようとしているところだ。こうした中で、当社では市場が急変する蓋然性も徐々に高まっていると考えている。

いずれ来たるテールリスクに備えるためには、先ほど挙げたボラティリティを活用してリスクヘッジを行うことが有効な手法のひとつだと言える。

キャプラGRV戦略における2つの柱

当社が手掛けるキャプラGRV(グローバル・リラティブ・バリュー)戦略の特徴として、2つの柱が挙げられる。1つ目の柱は「債券リラティブバリュー取引」で、流動性の高い米国債や日本国債、欧州国債などの先進国債券を活用して利益を上げることを目標としている。

2つ目の柱は「ボラティリティ運用」で、市場の変動性が高まった局面、特に株式市場が急落するような状況でパフォーマンスを発揮する運用手法である。キャプラGRV戦略は、この2つの柱を組み合わせることで安定したリターンを生み出すことに成功している。

■ キャプラGRV戦略:累計ネット収益率(設定来)
キャプラGRV戦略:累計ネット収益率(設定来)
出所:ブルームバーグ、ブルームバーグ・インデックス・サービシズ・リミテッド&キャプラ・インベストメント・マネジメントLLP。過去の実績は必ずしも将来起こる結果を示すものではなく、ファンドへの投資は損失のリスクを伴います。

  • 関連するデータは、GRVファンド(クラスA、米ドル)の値であり、手数料・費用等控除後の値です。直近年の実績は監査を受けておらず、直近月の数値は投資運用会社による速報値です。
  • インデックスは各期間におけるファンドとインデックスの相関を示すために含まれており、これらはファンドと比較可能である、もしくはファンドのリスク要素であることを意味するものではありません。

ただし、ボラティリティ運用については「①投資のタイミング」「②コスト管理」「③利益確定のタイミング」の3つに留意することが必要だ。これらを運用の流れでいうと、資金を投じる①を「期初」、②の運用中を「期中」、③の利益確定を「期末」と言い換えることもできる。

まず①の投資のタイミングについては、市場が急落する前日などボラティリティが急騰するタイミングでエントリーすることが理想だが、現実的にはそのようなタイミングを当てることは不可能だ。したがって、足元のように不確実性が高まるタイミングで事前にエントリーしておくことが重要である。

次に期中のコスト管理についてだが、ボラティリティ取引は「保険を買う」という役割上、コストがかかることは避けられない。ボラティリティ取引は市場が大きく急落したタイミングでしっかりとリターンを出すことができるが、「いつ何が起こるか」ということは正確に予想できないため、一定期間ポジションを持っておかなければならない。つまり、重要なポイントは効率的なポジションを構築し保有期間中のコストを低減することだと言える。

最後の③につき、利益確定のタイミングは投資において最も難しいとも言われる。したがって「どの程度のリターンで利益確定するのか」といった目標や、ヘッジポジション単体とポートフォリオ全体のバランスをどうするのかを事前に決めておく必要があるだろう。

これら①~③をしっかりと管理していれば、ボラティリティ投資は足元の環境下で非常に効果的であり、ポートフォリオのドローダウンを緩和・抑制しつつ安定したリターン獲得に貢献できるのではないかと考えている。

キャプラが提供する4つの戦略

キャプラは顧客のニーズに応じて「テールリスク・ヘッジ(TR)戦略」「ディフェンシブ・エクイティ(DE)戦略」「ダイナミック・ディフェンシブ・エクイティ(DDE)戦略」「ボラティリティ・オポチュニティーズ(VOL)戦略」の4つのボラティリティ関連戦略を現在提供している。

最初のTR戦略は、リーマン・ショック級の市場危機が起きたときに大きな収益を獲得することを目指している。一般的なヘッジ方法ではテールリスクイベントがない市場環境下はキャリーコストがかさむ傾向にあるが、この戦略ではボラティリティ市場の歪みなどを活用することでキャリーコストを抑えることも目標としている。これにより、テールリスクヘッジを行いながらもコスト負けを回避する運用が可能となっている。

次のDE戦略は、TR戦略に株式のリスクを加えたものである。たとえばS&P500を対象とした戦略では、株式指数のリスク100%を標準としつつも、顧客のニーズや見通しに応じて当該リスクを150%や50%等に変更することも可能だ。

実際にS&P500を対象とした戦略ではコロナショック等によるドローダウンを抑えながらも、運用開始来で見て概ねS&P500指数と同程度のリターンを累積できている。一方でボラティリティは相対的に低くなっているため、長期運用の観点を重視しつつも期間損益も考慮する必要がある機関投資家の観点からは魅力的に映るのではないか。

3つ目のDDE戦略については、ヘッジによるリターンを一定の条件に基づいて利益確定(ヘッジを一部解消)し、株式市場が回復した局面にてヘッジを再開する運用手法である。この戦略では、定量に基づいてヘッジのオン・オフを繰り返すことで、テールリスクヘッジの恩恵と併せて株式市場の上昇局面にも追随することを目指している。

最後のVOL戦略は、株式・為替・債券のボラティリティを機動的にロングポジションで保有し、ボラティリティの上昇局面で魅力的なリターンを獲得することを目指すものである。ボラティリティが抑制された市場環境おいては、市場の非効率性を活用しながらキャリーコストの抑制を目指している。こうした仕組みから、VOL戦略は他の資産クラス群に対する分散効果が得られる戦略だと考える。

当社では以上4つの戦略を用いながら、来る市場イベントに対する備えをご提供している。債券リラティブバリュー戦略と併せてご関心を頂けるようであれば、まずは気軽にご相談いただきたい。

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