アリアンツ・グローバル・インベスターズは、伝統資産のアクティブ運用以外にも、プライベートマーケットにおいて多様なアセットクラスを有し、代替的なリターンソースの発掘に強みを持つ。そんな同社が2019年から手掛ける運用戦略が、先行きの不透明感が強まる足元の運用環境の中で大きな注目を集めている。同戦略について同社グローバル・ハイイールド運用CIOのデイビッド・ニューマン氏に聞いた。

複雑性プレミアムにより高い利回りが期待される売掛債権

デイビッド・ニューマン氏

世界的な株価暴落や緊迫する地政学リスク、転換期を迎えた日米の金融政策、金利リスクの高まりなどを受け、足元の運用環境は、依然として先行きの不透明感が強い。こうした環境下では、相対的にボラティリティが低く、着実なリターンが期待される資産を組み入れることで、ポートフォリオの安定性を向上させる運用戦略を講じることが欠かせない。その選択肢として、アリアンツ・グローバル・インベスターズが手掛ける『アリアンツ・ワーキング・キャピタル戦略』(以下、ALWOCA)の存在感がこれまで以上に高まっている。

ALWOCAが主に投資対象とするのは、サプライチェーン・ファイナンス。これは早期に現金を必要とするサプライヤー(商品・サービスの売り手)の資金繰りを加速させる取引を指す。企業間の商取引では通常、売り手がバイヤー(商品・サービスの買い手)に対して請求書を発行し、60~90日など一定期間経過後に支払いが行われる。ただし、売り手が現金をすぐに必要とするような場合には、サプライチェーン・ファイナンスを提供する銀行などが売り手が保有する買い手に対する売掛債権を割り引いて購入し、その後、買い手から支払いを受けるという取引が行われる(図表①)。この場合、当初の額面からの割引分が銀行など貸し手の利益になる。

図表① サプライチェーン・ファイナンスのイメージ
サプライチェーン・ファイナンスのイメージ
出所: 各種資料をもとにアリアンツGIが作成

「主なリスクは買い手の信用リスクであり、サプライチェーン・ファイナンス戦略への投資は、極めて短期のクレジット投資とみなすことができます」。こう説明するのは、アリアンツ・グローバル・インベスターズのデイビッド・ニューマン氏だ。買い手から支払いが実行された時点で信用リスクは消滅する。個々の売掛債権の満期はごく短期であり、仮に特定の買い手の信用リスクが悪化すれば、その企業向けの売掛債権の購入を停止することで、債券を市場の低い価格で売却した際のような損失を被ることもなく、速やかにポジションを解消できる。

とはいえ、運用戦略として十分なポジションを確保するには、多くの売掛債権が必要となり、相応の複雑さが伴う。「そうした背景から社債などのパブリック市場と比較し、同じ企業向けの投資でも、より高い利回りが期待される点がサプライチェーン・ファイナンス戦略のメリットです」。

そもそもサプライチェーン・ファイナンスは、トレード・ファイナンス(貿易金融)に含まれる。ニューマン氏はトレード・ファイナンス市場の展望についてこう話す。「アジア開発銀行によるとトレード・ファイナンスの供給は、需要に対して約2兆ドル不足している状況です。これまで銀行が主要なファイナンス提供者でしたが、金融規制強化などに伴い、旺盛な需要に応えきれなくなっています。そこで当社のような資産運用会社が銀行とともにファイナンスを引き受けるケースが増えています。この潮流は今後も継続するため、投資機会は世界経済の動向にあまり左右されず、引き続き豊富に存在するでしょう」

満期が短いため低リスクで伝統資産との相関性も低い

ALWOCAは、銀行やフィンテック企業など幅広いソーシング・パートナーから豊富な投資案件が持ち込まれる体制を築く。その中から相対的な魅力度を評価した上で、厳格な分散ルールに基づき、地域やセクター、格付けになどが分散されたポートフォリオを構築する。「ポートフォリオマネージャーが全てのポジションを継続的にモニタリングしているため、与信先企業の業績の悪化や返済の遅延といった事象が発生した場合にも迅速な対応が可能。この点は企業モニタリングを外部に委託する類似戦略とは異なる、ALWOCAならではの強みです」とニューマン氏は強調する。買い手及び売り手の分析は、グローバルに配置された同社の20名超のクレジットアナリストに加えて、同社グループ内の取引信用保険会社のアリアンツ・トレード社の保有データも活用する。

「ALWOCAでは、主に先進国のBBB~BB格の大手企業が実質的な与信対象企業となります。社債などのパブリック市場の過去30年間を振り返ってみても、この格付け帯の企業が最も堅調なリターンを上げています」とニューマン氏。ポートフォリオの高度な分散を通じて、リスク特性をさらに改善させる工夫も凝らす。

こうした体制・戦略の下に運用されるALWOCAは、2019年4月の設定開始以来、度重なるイベントや市場の急変を乗り越え、極めて安定的なリターンを積み上げてきた(前見開き図表参照)。当初はファミリーオフィスがメインの顧客だったが、運用実績が積み上がるにつれて投資家層はグローバルとなり現在、海外では保険会社や年金基金、事業会社の財務部門、国内では銀行を始め、年金基金や保険会社から引き合いを受けている。「投資家の多くは、キャッシュの中長期的な運用先として、日次レベルでの流動性は必要ないものの、MMFよりもボラティリティが低く、高いリターンが期待され先行きの不透明感強まる運用環境でポートフォリオの安定性向上に貢献アリアンツ・グローバル・インベスターズグローバル・ハイイールド運用CIOデイビッド・ニューマン氏サプライチェーン・ファイナンスのイメージ商品・サービスの提供、請求書の送付図表①『アリアンツ・ワーキング・キャピタル戦略(ALWOCA)』る点に魅力を感じ、ALWOCAに投資していただいています」。例えば、年金基金は短期のクレジットファンドの代替として活用する。保険会社は長期のクレジット商品に比べて規制の観点で大きな魅力がある点に価値を見出すという。ニューマン氏は「あらゆる投資家の運用戦略に貢献できると自負しています」と自信を見せる。満期が短いため金利リスクが低く、月次の流動性と伝統資産との相関性が低い点も見逃せない(図表②)。先行きの見通しにくい運用環境の中で、ポートフォリオ全体の安定性向上や、待機資金の一時的な避難先としても強みを発揮するはずだ。

図表② 他のクレジット資産クラスとの低い相関
他のクレジット資産クラスとの低い相関
出所:アリアンツGI。上記の説明は例示を目的としたものです。過去の実績は将来のリターンを予測するものではありません。当戦略のパフォーマンスは保証されておらず、損失が発生する可能性があります。データ期間:2019年4月から2024年6月。

【ご留意事項】

  • 本資料は、アリアンツ・グローバル・インベスターズ又はグループ会社(以下、当社)が作成したものです。
  • 特定の金融商品等の推奨や勧誘を行うものではありません。
  • 内容には正確を期していますが、当社がその正確性・完全性を保証するものではありません。
  • 本資料に記載されている個別の有価証券、銘柄、企業名等については、あくまでも参考として申し述べたものであり、特定の金融商品等の売買を推奨するものではありません。
  • 過去の運用実績やシミュレーション結果は、将来の運用成果等を保証するものではありません。
  • 本資料には将来の見通し等に関する記述が含まれている場合がありますが、それらは資料作成時における当社の見解または信頼できると判断した情報に基づくものであり、将来の動向や運用成果等を保証するものではありません。
  • 本資料に記載されている内容・見解は、特に記載のない場合は本資料作成時点のものであり、既に変更されている場合があり、また、予告なく変更される場合があります。
  • 投資にはリスクが伴います。投資対象資産の価格変動等により投資元本を割り込む場合があります。
  • 最終的な投資の意思決定は、商品説明資料等をよくお読みの上、お客様ご自身の判断と責任において行ってください。
  • 本資料の一部または全部について、当社の事前の承諾なく、使用、複製、転用、配布および第三者に開示する等の行為はご遠慮ください。
  • 当社が提案する戦略および運用スキームは、グループ会社全体の運用機能を統合したものであるため、お客様の意向その他のお客様の情報をグループ会社と共有する場合があります。
  • 本資料に記載されている運用戦略の一部は、実際にお客様にご提供するにあたり相当程度の時間を要する場合があります。

投資顧問契約および投資一任契約のお客様は以下をお読みください。

対価とリスクについて

1. 対価の概要について

当社の提供する投資顧問契約および投資一任契約に係るサービスに対する報酬は、最終的にお客様との個別協議に基づき決定いたします。これらの報酬につきましては、契約締結前交付書面等でご確認ください。投資一任契約に係る報酬以外に有価証券等の売買委託手数料、信託事務の諸費用、投資対象資産が外国で保管される場合はその費用、その他の投資一任契約に伴う投資の実行・ポートフォリオの維持のため発生する費用はお客様の負担となりますが、これらはお客様が資産の保管をご契約されている機関(信託銀行等)を通じてご負担頂くことになり、当社にお支払い頂くものではありません。これらの報酬その他の対価の合計額については、お客様が資産の保管をご契約されている機関(信託銀行等)が決定するものであるため、また、契約資産額・保有期間・運用状況等により異なりますので、表示することはできません。

2. リスクの概要について

投資顧問契約に基づき助言する資産又は投資一任契約に基づき投資を行う資産の種類は、お客様と協議の上決定させて頂きますが、対象とする金融商品および金融派生商品(デリバティブ取引等)は、金利、通貨の価格、発行体の業績・財務状況等の変動、経済・政治情勢の影響を受けます。従って、投資顧問契約又は投資一任契約の対象とさせて頂くお客様の資産において、元本欠損を生じるおそれがあります。ご契約の際は、事前に必ず契約締結前交付書面等をご覧ください。

アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパン株式会社

アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパン株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第424号
加入協会 : 一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人投資信託協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

https://jp.allianzgi.com/ja-jp

電話番号:(営業本部)03-6229-0260