富国生命投資顧問 「組織戦略」から企業の「価値」向上力を測り、厳選した銘柄に長期集中投資『FCM国内厳選株運用』
株式運用チーム自らの経験をもとに独自の視点から銘柄を厳選する『FCM(※)国内厳選株運用』について、運用チームの3氏に聞いた。
※FCM:Fukoku Capital Management(富国生命投資顧問)の略
「組織戦略」が「事業戦略」を担保
『FCM国内厳選株運用』の概要について教えてください。
小山 当運用戦略は、持続的な価値向上が期待される国内企業を厳選し、集中投資します。企業価値の向上とは、株主資本コストを上回る利益を出し続けることと私達は定義しています。そうした企業に集中投資することで投資家の「お金」に効率よく働いてもらい、かつ投資を通して企業に寄り添い応援することで、さらに新たな価値を創造できるとも考えています。
企業価値の向上力がある企業をどのようにして発掘するのでしょうか。
小山 「事業戦略」と「組織戦略」の2つの側面から企業を分析します。特に「組織戦略」こそが、「事業戦略」の実効性を担保する要であると私達は考えています。どんなに素晴らしい「事業戦略」を打ち出していても、その遂行を支える組織をデザインした「組織戦略」が十分でなければ、その実現率は高いとはいえないからです。
小山 こうした信条に至った経緯には、ボトムアップによる個別銘柄選択を旨とする私達のアナリストとしての経験があります。
同一業種で固定資産や人員といった経営資源に顕著な優劣がないにもかかわらず、継続的に突出した成果を出し続ける企業が存在します。例えば当運用で保有している空調メーカーは、この30年で国内の同業他社が相対的な地位低下を余儀なくされるなか、世界最大の空調メーカーへと著しい成長を遂げてきました。同社の優れた「組織戦略」により醸成された高い戦闘力が、「事業戦略」を継続的に力強く推し進めた結果であると私達は解釈しています。
同社は自身について、「二流の戦略と一流の実行力」と評して、戦略面では他社を出し抜く力は無いが、スピードや目標達成への執念が強みであると説明しています。しかし、その裏にあるのは一流の実行力を担保するための「一流の組織戦略」でしょう。新入社員からミドル層に至るまで確固たる実行力を育むために必要な素養を研修や実践を通して植え付け、また経営陣は末端と近距離で自身の知見を伝承していくといったサイクルを継続したことが、豊かな土壌としての企業文化を育んできました。それが幾多の環境変化への適応を可能にし、他に類をみない成長を成し遂げたのだと考えています(図表1)。
伊藤 市場がどのように変化しても、「組織の力」は誰にも奪われません。強い組織を持つ企業は、たとえ既存市場の衰退に直面しても、コア・コンピタンス(他社に真似できない優位性)をテコに新たな収益源を見出せる可能性が高いと考えています。『FCM国内厳選株運用』が「組織戦略」を重視するのは、それが中長期的に最も信頼するに足る要素であると考えているからです。
「取材」が「組織戦略」見極めの勝負所
どのようなプロセスで投資銘柄を厳選するのでしょうか。
小山 業界シェアや代替可能性といった6つの項目に沿って、全担当銘柄を「事業戦略」と「組織戦略」の面から評価します。「組織戦略」に関わる項目には傾斜配点しています。6項目の合計点が一定水準をクリアする銘柄群を当ファンドのユニバース(厳選ユニバース)としており、現段階では当社ユニバース約400社のうち20%程度を厳選ユニバースと認定しています。そこからさらに担当アナリストと運用チームの2つの眼による絞り込みを行い、20社程度に集中投資しています。
アナリストは企業の「価値」について分析し、今後10年程度にわたり現状のROE(自己資本利益率)を維持または向上する確信度の高い銘柄を推奨します。R O Eの維持・向上には「事業戦略」の確実な遂行を担保する「組織戦略」の巧拙がポイントと考えており、「組織構造が事業環境に適しているか」、「経営陣の実行力」、「従業員のモチベーション」などを評価します(図表2)。これには企業への個別取材が必須です。
日比 取材は複数のアナリストで行います。社長など経営陣の「人柄」や「覚悟」が従業員に波及するケースも多く、そうした数字や事業戦略からは読み取れない要素を汲み取ることも、その企業の組織戦略の展開を見据える上で重要です。また、経営陣のみでなく、できるだけ多くの関係者に取材しています。
伊藤 質問に対して具体的な内容、取り組みを言語化できるかどうかにも、組織・人員に対する企業の姿勢が表れます。
小山 こうした定量・定性評価ののち、運用チームが「価格」の妥当性を検討します。企業の内部要因に起因する「価値」と、外部要因の影響を受ける「価格」の両方を検討したうえで、投資判断を下します。また、長期的な投下資金の回収確度の検証や安全域の設定など、規律を持ってポートフォリオ全体の堅牢性を確保しています。
自らの組織改革の成功体験を活かす
国内株式のアクティブファンドが増える中、当運用にはどのような特徴・強みがありますか?
小山 さきほどの企業の選別方針にも関連しますが、私達の実体験が当運用の峻別性・優位性を支えていると考えています。十数年前の組織改革で私達自身が変わったという経験です。
私達株式運用部は当時、パフォーマンスの低迷、大口顧客の解約、アナリストの大幅減少などにより、士気が著しく低下していました。そこで新たに就任した経営トップが組織改革に乗り出し、明確な目標を示し、そこに到達するための組織づくりを強力に推し進めました。「自律性」をコンセプトに、ミドル層への権限移譲やそれに対する全面的なバックアップ、人事評価体系の見直し、各アナリストの裁量拡大などを実施した結果、当社の累積パフォーマンスは次第に大きく改善してゆきました。このように「組織戦略」が機能したことによる復活を自らが体験したことで、その重要性に対する認識は揺るぎないものとなっています。
「組織戦略」を見事に遂行している企業を認識する私達の感度は高く、この感度こそが実体験から獲得したコア・コンピタンスであると自負しています。
機関投資家の長期運用ニーズに対応
当運用は現在の機関投資家ニーズにどのように応えられるとお考えでしょうか。
小山 「金利のある世界」への移行は、融資事業を本業とする金融機関さまなどの機関投資家にとって今後業績への追い風となっていくことが期待されます。そうした環境下、中長期的な視点からリスクを伴う株式投資に目を向けられる機関投資家が増えてくるのではないかと考えます。すでに当戦略の独自の選別力に期待する金融機関さまや年金基金のお客さまから、この運用にご投資いただいています。
国内株式市場はこれまでの大幅上昇である程度底上げされてきたため、今後は個別銘柄の選別色が強まると考えています。そうした環境下、今後も株価の継続的上昇が期待できる銘柄に集中投資する当運用は、中長期にわたり継続的な収益の獲得を追求される機関投資家のニーズに、より効果的に応えられる選択肢となるでしょう(図表3)。
最後に日本株式市場の先行きと当運用戦略の展望についてお聞かせください。
小山 PBR(株価純資産倍率)に対する経営者の意識変化や賃金上昇による国内経済の自律的な拡大、新NISAによる株式需給への好影響期待など、株価の先行きに対する楽観的な見方が増勢を強めています。一方で、株式市場が既に債券市場との比較で「割安圏」から「通常圏」へと移行した可能性も示唆されています。また、市場を取り巻くさまざまな不透明感が増大しており、まさにVUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代を迎えています。
私達は市場の期待を織り込んだ「価格」ではなく、どのような環境下でも競争優位を作り出す「組織戦略」から生み出される企業の「価値」を追求します。
未来は誰にもわからないものです。だからこそ、常識を鵜呑みにしない健全な懐疑心が長期投資に不可欠であるといえます。健全な懐疑心を持つ保守的な投資家として銘柄を厳選し、当運用戦略を育てていきます。
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