RBCブルーベイ・アセット・マネジメント 為替ヘッジ後も好リターンを実現する機動的な「マルチクレジット戦略」
ヘッジコストの高止まりが続くなか、安定的なインカムが期待できるマルチクレジット戦略に注目が集まっている。ラッセル・インベストメントの高橋克典氏とRBCブルーベイ・アセット・マネジメントの帆足望氏は、2024年4月12日に東京都内で開催されたJ-MONEYカンファレンス(主催:J-MONEY)で、同戦略の重要性や具体的な戦略内容について語った。そのサマリーを紹介する。
債券運用の2つの目的に再注目
高橋 本日はコンサルタントの立場から、債券運用の目的とマルチクレジット戦略についてお話ししたい。まず、債券運用の目的は2つあると考えている。ひとつ目はキャピタルリターンの確保、すなわち株式との分散効果である。例えば景気後退などでリスクオフとなった場合、株価が下落する一方で、市場金利が下がって債券価格は上昇する。こうした資産全体の下値抑制効果を高めるためには、運用債券の金利感応度(デュレーション)を十分に持つことが重要になる。
債券運用の2つ目の目的は、インカムの享受だ。債券のトータルリターンの大部分はインカムによって占められている。インカム向上の手段としては、クレジット資産を活用したクレジット・スプレッドの獲得、およびイールドカーブの形状に着目したキャリーロールダウンの向上が挙げられる。
現状では国内債券より海外債券の方が金利水準は高く、将来的な金利の低下余地も大きい。キャピタルリターンの観点からは、海外長期債などへの投資が効果的だ。一方で、高止まりしている為替ヘッジコストを加味すると、キャリーロールダウンを含めたインカム向上については国内債券の方が期待できる。また、海外クレジット資産は為替ヘッジ後も利回りが残るため、とくに金利感応度が低い海外短期債にはインカム享受の役割を期待できる。
債券のリターンは利回り、ロールダウン、キャピタルゲイン・ロスから構成される。それぞれの効果を踏まえつつ、海外の債券、クレジット資産、国内債券をバランスよく組み合わせることが大切だ。
資産の分散や配分を一部委託する
高橋 投資適格グローバル社債、グローバル・ハイイールド債、ドル建て新興国債券、米国CMBS(証券化商品)という4つのクレジット資産について、それぞれ主要な指数の値動きを振り返ってみよう。一見すると、これらはいずれも同じような値動きを示している印象がある。また、一般にクレジット・スプレッドは株式と似たような値動きをするとも言われている。
上記のクレジット指数からクレジット・スプレッドの部分のみを取り出した複製リターンを、世界株価指数(MSCI World)のリターンと比較してみる。確かに2008年や20年など金融市場にショックが発生した時期には、クレジット・スプレッドがワイド化して社債などの価格が下がることにより、株式と同じような値動きになっていることが分かる。
一方、ここ数年は株式がずっと上昇基調にあるのに対して、クレジット・スプレッドはある程度タイト化しているものの、そこまで上昇はしていない。個別資産によって、値動きにも株式との相関にもばらつきが見られる。やはりクレジット資産には、それぞれ異なる特徴があるわけだ。
ガイドブックに詳しい説明がない場所へ旅行する際に、自分で予約を取るのが難しい場合がある。債券も同じで、ハイイールド債やバンクローン、新興国債券などは特徴がつかみにくく、自分でアセットアロケーションを行うのは容易ではない。例えばマルチクレジット戦略として1つにまとめて、特徴の異なるクレジット資産間での分散や、機動的な資産配分を一部、運用会社に委託するのも一考だろう。
旅行で良いツアーを選ぶのが重要なように、クレジット運用においても、運用商品を選別することが重要になる。ラッセル・インベストメントでは債券戦略に対する評価項目として、信用分析の精緻さや銘柄分散に必要なカバー体制の有無、ポートフォリオマネージャーの能力、売買規律、意思決定プロセス、執行能力などを勘案しながら優秀な商品を選定している。ぜひとも参考にしてほしい。
ダイナミックな資産配分と綿密な銘柄選択
帆足 RBCブルーベイ・アセット・マネジメントが提供する「ブルーベイ・トータル・リターン・クレジット戦略」には、3つの大きな特徴がある。ひとつはハイイールド債からエマージング債、CoCo債、ストラクチャード・クレジット、転換社債まで、非常に多岐にわたるクレジット資産クラスに投資を行うこと。そうした分散投資を通じて、安定的なインカム収入の獲得を目指すのが2つ目の特徴だ。そして3つ目の特徴は、運用チームによる資産配分と銘柄選択により、各資産クラスのβを上回るリターンを目指すことである。
当戦略にはブルーベイ債券部門CIOのマーク・ダウディングをはじめ、運用チームのほぼすべてのメンバーが携わっており、当社の叡智を結集した戦略のひとつと言える。サイクルを通じてキャッシュ金利+4~6%の年率リターンをターゲットに置いており、流動性は日次で確保している。利回りの高い債券に投資するため、短期的には債券価格の大きな変動が避けられない場合もある。しかしながら当戦略の主要なリターン原資は市場β、すなわちインカム収入であり、債券価格の短期的な下落はインカム収入で中長期的に補えると考えている。
当社ではマルチ・アセット・ディシジョン・グループ(MADG)という委員会にて、各資産クラスの見通しに基づいて資産配分を決定する。各資産クラスの過去10年間のリターンを見ると、それぞれ年によってかなりのばらつきがあり、例えば2014年度や21年度には大きくマイナスに振れたエマージング現地通貨建て債券は、その時期にはアロケーションをゼロとした。見通しの悪い資産については、ポートフォリオから完全に除外するわけだ。
一方で、投資適格債については2019年度の終盤から20年度の初めにかけて配分比率を増やした。当時はコロナ・ショックにより債券が大きく売られ、投資適格債でも十分な利回りが得られる局面だった。22年度からの金利上昇によって、好利回りが期待できる状況となっているため、22から23年度にかけても投資適格債への配分比率を増やした。市場環境に応じてダイナミックにアロケーションを変更するのも、当戦略ならではだ。またベンチマークを意識することなくポジションを取れるという点で、当戦略はRBCブルーベイが強みとする銘柄選択によるプラス効果も発揮しやすい。
実際に、過去5年間と7年間の運用実績を見ると、当戦略では各高利回り資産に個別に投資するよりも良好なリスク・リターンを記録していることが分かる。また、金利が上昇し始めた2021年度には、他の伝統的な債券が金利上昇によって大きくマイナス・リターンとなる一方、当戦略ではインカム収入が金利上昇によるマイナス分を補い、ドローダウンの抑制につながった。ヘッジコスト高が続く2023年度(~12月)においても、インカム収入の獲得とアセットアロケーションによって、相対的に高いリターンを実現しており、伝統的債券資産クラスからの分散という視点も持てる戦略となっていると考える。
本記事は2024年4月12日に実施した「J-MONEYカンファレンス」の内容をもとに再構成しました。なお、文中言及されているRBCブルーベイの運用戦略及び運用実績は、情報の提供のみを目的としており、特定の投資商品の取引や資産運用サービスの提供の勧誘又は推奨を目的とするものではありません。また、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。本資料は信頼できると判断した情報に基づき作成しておりますが、当社がその正確性、完全性、妥当性等を保証するものではなく、その誤謬についての責任を負うものではありません。本資料に記載された内容は本資料作成時点のものであり、今後予告なく変更される可能性があります。また、過去の実績は将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。なお、当社の書面による事前の許可なく、本資料の全部又は一部を複製、転用、配布することはご遠慮ください。当社との金融商品取引契約の締結にあたっては、下記の投資リスク及びご負担いただく手数料等について契約締結前交付書面等を十分にお読みいただきご確認の上、お客様ご自身でご判断ください。■投資リスク当社との投資一任契約に基づく運用においては、原則、外国籍投資信託を通じて、主に海外の公社債、株式、通貨等の値動きのある資産に投資しますので、基準価額が変動します。従って、契約資産は保証されるものではなく、投資元本を割り込むことがあります。運用による損益は全てお客様に帰属します。主なリスクとして、価格変動リスク、為替変動リスク、金利変動リスク、信用リスク、流動性リスク、カントリーリスク等があります。また、デリバティブ取引等が用いられる場合、デリバティブ取引等の額が委託保証金等の額を上回る元本超過損が生じることがあります。なお、投資リスクは上記に限定されるものではありません。■手数料等投資一任契約に係る費用として、投資顧問報酬をご負担いただきます。また、投資先外国籍投資信託において、運用報酬、管理報酬、信託事務に関する費用等が契約資産から控除されます。これらの費用は、契約内容や運用状況等により変動しますので、その料率、合計額、上限額又は計算方法等を表示することができません。
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