ドイツ取引所傘下の指数プロバイダーであるストックス。同社 商品チームヘッド マネジング・ディレクターのインダーパル・グジュラル氏に、欧州のESG(環境・社会・ガバナンス)投資の動向を聞いた。(取材日:2019年2月28日)

インダーパル・グジュラル氏
ストックス リミテッド
商品チームヘッド
マネジング・ディレクター
インダーパル・グジュラル

欧州ではESG投資が広く浸透しています。その理由をどのように考えるか。

グジュラル 欧州では、投資においてESG要素を考慮することが当たり前になっている。その背景には、EU(欧州連合)や公的年金の動きがある。例えば、EUは特定の企業に対してESG情報の開示を求めたり、環境汚染につながる製品への規制を強化するなど、域内の企業に対して厳格なルールを提示している。また、ノルウェー政府年金基金は、投資リスクの軽減や環境配慮の観点から、ESGを考慮した投資を進めている。世界最大規模の公的年金のESG投資が投資家に与える影響は大きいと考える。

 近年は、米国のESG投資も加速している。足元では、米国内の投資全体のうちESG投資は25%を占めている。2019年末から2020年初めにかけて、米国のESG投資の比率は、資産運用額のうちESG投資が半数を占める欧州と同水準に達するとの見方がある。

ESG投資には、ネガティブスクリーニングやポジティブスクリーニング、インテグレーションなど、さまざまな投資手法がある。欧州では、どの投資手法が主流か。

グジュラル これまでは、アルコールやたばこ、ギャンブルなど、特定の業種の企業を除外するネガティブスクリーニングが主流だった。近年は、環境や社会に対して前向きな取り組みをする企業へ積極的に投資をするポジティブスクリーニングや、財務・非財務分析を統合するESGインテグレーションに人気が集まるなど、投資手法の多様化が見られる。

御社の提供するESG指数の特徴を教えてください。

グジュラル 当社は、国連グローバル・コンパクトに関連する人権、環境、ビジネス倫理、汚職などの観点から「STOXX Europe 600」の構成銘柄に調整を加えた指数の「STOXX Europe 600 ESG-X」、EUの低炭素ベンチマークなどの観点から構成された「EURO STOXX 50 Low Carbon」、気候変動の観点から構成された「STOXX Europe Climate Impact」を提供している。今後は、これらESG関連指数を米国やアジアでも提供していく予定だ。指数の提供を通じて、世界のESG投資の拡大に貢献していきたい。