世界最大級の保険・資産運用会社として知られるアクサグループ。グループ企業の一社であるアクサ・インベストメント・マネージャーズは、ベンチマーク志向ではない、アクティブ運用の債券投資ソリューションを提供している。常務執行役員の斎藤邦行氏は、2023年11月30日に東京都内で開催されたJ-MONEYカンファレンス(主催:J-MONEY)で、3つの外債アクティブ運用について語った。

今後の焦点は米国利下げ

斎藤 邦行氏
アクサ・インベストメント・マネージャーズ
常務執行役員
斎藤 邦行

「短期金利が高止まりして、先行きが分からない」「債券投資のスタンスを取りにくい」──。最近よく聞かれる欧米機関投資家のコメントだ。過去2~3年を振り返ると、債券投資ではほとんど利回りが得られなかった。10%以上の損失を経験した投資家も少なくないだろう。ヘッジコストもどんどん上がっていき、悪い記憶ばかりが皆さんの中に残ってしまっている状況ではないだろうか。

しかし、ここに来て環境は大きく変わった。足元では金利水準が高まり、債券に投資することによりインカムが入ってくる。この先金利が下がってくれば、キャピタルゲインにも期待が持てるだろう。一方で、このような状況がいつまで続くのか分からず、慎重にならざるを得ない側面もあるだろう。確かに、われわれがこの先1~2年の金融政策を予測するのは難しい。当の中央銀行でさえ経済データを見ながら判断していくと公言しているのだから、いつ何が起こるかを事前に正確に見通すことはできない。

とはいえ、米国経済はこれまでのようなペースで利上げを行うほど強くなく、欧州のインフレにもピークアウト感が出てきた。足元の経済状況から、当面は大きな損失をこうむるような金利上昇は考えにくいという推測を立てることはできそうだ。

懸念は、米国があまりにも短期間で急速に金利を引き上げたことだ。現状ではリセッションの可能性を完全には否定できず、この先どの程度の利下げが行われるかによって、債券市場の見通しは大きく変わってくる。

まず、ソフトランディングのシナリオから考えてみよう。金利を上昇させた現状のまま堅調な経済が持続すれば、利下げはゆっくりと行われることになるだろう。仮に2024年に3回の利下げがあるとして、1回当たり0.25%なら3回で0.75%だ。現状の短期金利5%から0.75%下がったところで、債券市場に大きな変化はなく、逆イールドが続く公算が高いだろう。

次に、ハードランディングのシナリオだ。米国がリセッションに突入すれば、FRBは利下げを加速せざるを得ない。現状の短期金利5%を3%まで下げるとすれば、1回当たり0.25%なら8回の利下げが必要であり、イールドカーブにも変化が生じてくるだろう。

このように、債券市場は今後の経済環境や金融政策に左右されることから、債券投資では複数の選択肢を持っておくべきと考える。どのような戦略を採り得るのか、当社から3つの考え方を提案したい。

期間別で債券投資を考える

第一に、短期外国債券投資戦略だ。短期外国債券はデュレーションが短く、ここからさらなる利上げが実施されたとしても損失を比較的小さく抑えられる。逆に、今後利下げが起こっていくとすれば、その際にキャピタルゲインが狙いにくいことは難点だ。また、金利低下局面では満期が来たときの再投資リスクに留意する必要があるだろう。

当社の米国投資適格債券戦略では、デュレーションの異なる3つの戦略(短期、中期、フルデュレーション)を設定している。過去の利回り推移(図表)を見ると、2008年のリーマン・ショック時は、短期、中期、フルの全てが高い利回り水準で揃っていた。その後、金利低下に伴い、特に短期デュレーションが大きく下がっていったことが見て取れる。2021年から2023年にかけてはその逆の動きが起きており、期間別の利回りが再び揃ってきている。今後の見通しは定かではないが、現状では短期債券の魅力がより高まっていると言えるだろう。

■米国適格社債利回りは、各戦略利回りが収束しながら2008年が最高値
米国適格社債利回りは、各戦略利回りが収束しながら2008年が最高値
出所 : アクサIM、ICE BofA。2023年10月31日現在。 *ICE BofA 米国社債指数。
記載内容は例示目的にすぎません。過去の実績は将来の成果を示すものではありません。

第二に、長期外国債券投資戦略だ。この伝統的な債券ポートフォリオ戦略では、長期インカムの確保に加え金利低下局面でのキャピタルゲインを狙うこともでき、トータルリターンが期待できる。さらに、長期債券には多様な種類があり、アルファ獲得の源泉も多様だ。ただし、逆イールド局面においては為替ヘッジ付き外債投資のヘッジコストが高くなり、その分だけリターンが低下することはデメリットとして認識しておく必要がある。

当社のグローバルアグリゲート戦略は、「資産配分」「金利」「クレジット」「分散」からなる幅広いアルファの源泉を持つことで、どのような環境でも安定したリターンの獲得を目指している。加えて、サステナブル・アプローチを採用していることも特徴だ。突発的なダウンサイドリスクを避ける上でESG(環境・社会・企業統治)を考慮することは非常に重要であり、当社独自の基準を組み合わせて投資対象のふるい分けを行い、ESG要素の強いポートフォリオを組んでいく。2005年の設定来、インデックスに対してコンスタントにアルファを創出しており、堅実な実績を残している。

第三のアンコンストレインド債券戦略は、短期も長期も区別せず、広く柔軟に債券に投資することでリターンを狙うものだ。運用者の裁量でリターンを狙うことができる半面、リターンの源泉におけるインカムの割合が小さくなることは考慮しておきたい。

当社のグローバルトータルリターン戦略は、債券セグメントを「ディフェンシブ」「中リスク(中庸)」「高リスク(積極的)」に分類し、配分を組み替えながら投資をしていく。景気サイクルに応じて、経済の減速局面ではディフェンシブ性の高い国債を多く、逆にリセッション後の回復局面では新興国債やハイイールド債券を多くする、といった具合だ。当戦略も2012年の設定来、長期安定のパフォーマンスを実現してきた。

債券の魅力は相対的に高まっている

米国が急速な利下げを要する事態に陥らず、ソフトランディングのシナリオが持続すると考えるのであれば、短期債券に投資することでヘッジコストを抑えつつ利回りを取っていく方法がある。それに対し、この先金利が大きく下がっていくと読むなら、為替ヘッジをかけながら長期債券に投資する考え方もあるだろう。そのどちらでもなく、柔軟性の高いアンコンストレインド戦略を選択するのも一案だ。

いずれにしても、足元の高金利の水準を踏まえれば、アセットクラスとして債券の魅力は相対的に高まっている。この機会に、投資戦略を再検討しては如何だろうか。

当資料は、アクサ・インベストメント・マネージャーズが作成したものです。

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Barclays Capital Indices Global Aggregate:バークレイズ・キャピタルが提供するグローバル債券の値動きを示す指数です。
ブルームバーグ米国社債インデックス:ブルームバーグが算出する米ドル建ての投資適格社債の値動きを示す指数です。
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