J-MONEYカンファレンス・レポート スポンサーセッション 市場サイクルの局面に合わせた柔軟かつ効率的な債券運用を実現キャピタル・グループ
キャピタル・グループが提供する「グローバル・トータルリターン債券運用戦略」は、コア債券の性質を持ちながら、リスク調節による運用の柔軟性も併せ持つ。同社の華村啓陽氏は2023年11月30日、東京都内で開催されたJ-MONEYカンファレンス(主催:J-MONEY)で、ネクストノーマル時代に有効な債券運用戦略について語った。そのサマリーを紹介する。
コア債券の重要性を再考する時期に
米国経済がソフトランディングできるのか、あるいはハードランディングを余儀なくされるのかについて市場では大きな議論になっている。ソフトランディング派は、米国のインフレ率が着実にFRB(米連邦準備理事会)の目標である2%へ向かっており、実質金利を1~2%に維持する上で近い将来の利下げは避けられないと考える。一方のハードランディング派は、利上げのかなりの部分が財政出動により相殺されているため、今後も景気は過熱し続け、利上げ局面は予想以上に長引くと考える。
いずれにしても米国経済が非常に力強いことは確かなのだが、ハードランディングの可能性を完全に否定することはできないだろう。景気後退を示唆する先行指標が閾値に達してからの経過月数を過去の景気後退入りまでの所要期間と比べると、現状でそれほど大きな逸脱は見られないからだ。ポートフォリオの構築にあたっては、ある程度のリスクを取りながらも、やはり米国の景気後退を通じたダウンサイドリスクへの配慮が重要となる。
債券市場に目を向けると、ここにきてレジームシフト(構造転換)が急速に進みつつある。2020年以前には話題にも上らなかったインフレが現実のものとなり、「FRBプット」と呼ばれた中央銀行の積極的な緩和姿勢も大きく変化した。タームプレミアムの上昇は市場金利の高止まりを招き、金融政策の読みづらさはボラティリティの拡大に繋がっている。低金利・低ボラティリティが続くニューノーマルの時代が終わり、高金利・高ボラティリティが常態化する“ネクストノーマル”の時代が始まったと考えられる。
そんな中、「インカムの獲得」「株式からの分散効果」という債券本来の役割が十分に機能するようになってきた。グローバル債券総合運用や米国債券総合運用などの投資妙味が高まっており、コア債券の重要性を再考する時期に来ていると言える。
ただし、キャリーの水準が高いからといって安心できるわけではない。例えば2022年の終わりごろ、ほとんどの運用会社が米国の景気後退を見越して、投資家にクレジットリスクの低減を提案していた。そのようなコア債券戦略で運用した場合、米国ハイイールド社債などの好リターンを享受できず、結果として2023年10月末時点の年初来トータルリターンはマイナスとなっている。見通しの確度が高くても実現するとは限らないことをマーケットが改めて教えてくれた格好だ。
リスクの大きさと中身を調節できる
現状のように米国の景気動向も含めて過渡期にある環境下では、コア債券の性質を持ちながら、柔軟性も併せ持った債券運用戦略が求められる。柔軟性というと「債券アンコンストレインド戦略」を思い浮かべるかもしれないが、コア債券の性質を持つためには、運用アプローチにしっかりとした枠組みが必要となる。コアは運用にある程度の制限をかけることを意味し、柔軟性は運用の自由度を広げることに相当する。対照的な2つの要素をどのようにバランスさせるかが難しい。
当社グループが提供する「グローバル・トータルリターン債券運用戦略」は、コア債券の性質として想定ボラティリティに4~6%のリスク・バジェットを設け、ブルームバーグのグローバル総合指数と同程度、もしくはそれ以下のリスク水準を維持するのが特徴だ。ベンチマークは設定せず、ハイイールド債などへも投資ユニバースを広げることで運用の自由度を高める。最終的には、グローバル総合指数に対して2%程度の超過収益を目指している。
当戦略の柔軟性は、2つのリスク特性に最も端的に表れている。1つはリスクの大きさを調節できること。例えば当戦略では通常4~6年程度のデュレーションを想定しているが、実際に設定来のデュレーション推移を見ると、4.5~7年程度となっている。同時期に、グローバル債券総合運用のデュレーションは6~8年で推移している。当戦略は方向性としてグローバル債券総合運用に追随しながらも、全体的なリスク水準を調節することでリスクの抑制を図っているわけだ。
もう1つの特性は、リスクの中身を調節できることである。グローバル総合指数では、米国金利と為替でリスク全体の約70%を占めている。市場金利が下落した際に価格上昇を享受できるため、金利リスクは株式からの分散という観点からも取る意味があり、コア債券の性質を代表するものと考えられる。一方で為替はキャリーを生まない上にボラティリティも高く、リスクとして取ってしまうと効率が悪い。
そのため当戦略では為替リスクを相対的に低く抑え、代わりに中南米諸国など、利下げが見込まれそうな国の金利リスクを加えている。こうしたリスクの入れ替えによってキャリーの水準を引き上げることができるため、日本の投資家がヘッジコストを上回るリターンを追求する場合などにも、有効な手立てとなるだろう。
運用実績が示す柔軟性と効率性
運用に一定の制限を課しながら、自由度を広げることによってリターンの源泉が時々で変化するため、市場サイクルの局面に合わせた柔軟かつ効率的なコア債券のポートフォリオ構築が可能になる。当戦略の運用実績をグローバル総合指数と比べると、12カ月ローリングリターンは総じて高く、設定来のトータルリターンでは3.2%の超過収益が実現している。一方で、12カ月標準偏差(リスク)は低く抑えられており、高い柔軟性と効率性が運用実績からもうかがえる(図表1)。
最後に投資タイミングについても触れておきたい。市場金利が下がる過程でヘッジ付きの外債投資を行う場合、一般的には長期債の利回りがヘッジコストを上回ったタイミングで投資するのが望ましいと考えがちである。本当にそうだろうか。キャリーがヘッジコストを下回るタイミングAと、キャリーがヘッジコストを上回るタイミングBの投資ケースを比べてみよう(図表2)。
タイミングAで投資すると、当初は超過コストによって運用成績がマイナスになる。しかしながら、長期債の利回りは比較的高水準にあり、高めのキャリーを長期間得られることに加えて金利低下による債券価格の上昇も見込めるため、トータルリターンはタイミングBで投資した場合よりも大きくなる。現在のように米国の利上げ停止から利下げまでがある程度視野に入り、今後は市場金利とヘッジコストがともに低下していくと予想される局面では、金利が高いタイミングで投資して、リターンの最大化を図るという戦略も一考ではないだろうか。
投資リスクについて
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