2022年初頭からグローバルに金利が上昇する中、金利上昇への耐性が高く、主要債券セクターに比べて利回りが魅力的なローン担保証券(CollateralizedLoan Obligation:以下、CLO)が機関投資家の注目を集めている。英国ロンドンと米国デンバーに主要運用拠点を置く独立系運用会社であるジャナス・ヘンダーソン・インベスターズは、米国でCLO戦略提供の確かな実績を確立している。ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズ・ジャパン(以下、当社)の砂押伸幸氏と髙橋康徳氏、吉田真康氏の3氏にCLOの仕組みや機関投資家にとっての効用などを伺った。

ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズ・ジャパン
ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズ・ジャパン
機関投資家営業部 アソシエイト・ダイレクター 髙橋 康徳氏(左)
クライアント・ソリューション部 ダイレクター 砂押 伸幸氏(中)
機関投資家営業部 マネージャー 吉田 真康氏(右)

非投資適格のローンを裏付資産にした高格付けの戦略

CLOの仕組みは複雑ですが、まずどのようなものか教えてください。

砂押 伸幸氏

砂押 CLOとは、主に非投資適格の企業向けの融資(日本ではバンクローン、米国などではレバレッジドローンと呼ぶ)を担保にした証券化商品の一種です。銀行は通常、個別企業と一対一で融資契約をしますが、複数の金融機関等が組んで協調融資をすることもあります。これがシンジケートローンです。このうち信用格付けの低い企業向けの融資がバンクローンと呼ばれています。

格付けが低いということは当然、それだけ利子は高いということになります。米国では1980年代から、ハイリスク・ハイリターンの金融商品として証券会社などが販売を始め隆盛を見ました。

CLOもほどなく、1980年代後半から発行が始まっています。CLOのオリジネーターがコラテラルマネージャーと呼ばれる資産運用会社を採用し、150本から450本ほどのバンクローンを買い集め、束ねたものを担保に発行するのがCLOです(図表1)。

【図表1】ローン担保証券のイメージ

ローン担保証券のイメージ

非投資適格、つまりBB以下の裏付資産から、なぜAAAといった高い格付けの商品を組成することができるのでしょうか。

砂押 ここがCLOの一番重要なポイントです。図表2を見てください。

左端のローンポートフォリオは数百本のバンクローンで構成され、その平均格付けがBBだとします。そのクーポンがLIBOR*に6.0%上乗せされていると仮定します。このローンポートフォリオを格付け別の階層(トランシェ)に切り分け、階層ごとに元利金の支払い順序を設けるのです。支払いが最優先されるのがAAA格とAA格の「シニア」。その次がA格、BBB格、BB格の「メザニン」。最後が無格付けの「エクイティ」です。

【図表2】低い格付けから高い格付けを生み出す構造
低い格付けから高い格付けを生み出す構造
注記:上記はCLO戦略の理解を深めて頂くためのイメージであり、すべてのケースに当てはまるものではなく、実際の数値に基づくものではありません。
クーポン算定に際し、従前は、LIBORを一般的に使用していましたが、LIBOR廃止に伴い担保付翌日物調達金利(SOFR)に代替されています。

原資産で発生した損失は、低格付けのトランシェから順に吸収されていく仕組みで、これが元本損失リスクに対する「クッション」になります。従って、上位のトランシェほど厚いクッションがあり、安全性が高まるという仕組みです。ちなみに、こうした仕組みを「優先劣後構造」と言います。

* ロンドン銀行間取引金利。従前は、LIBORを一般的に使用していましたが、LIBOR廃止に伴い担保付翌日物調達金利(SOFR)に代替されています。

AAA CLOは過去のデフォルト率ゼロと際立つ安全性

この構造によるメリットを具体的に教えてください。

髙橋康徳氏

髙橋 米国CLO全体で見ても、直近2023年まででAAA CLOのデフォルト率は一貫してゼロ%です。また、2009年以前はデフォルト率が1%前後だったAA、A、BBBもCLOの信用構造が強化された2010年以降はゼロ%となっています。

米国CLOと社債のデフォルト率を比較すると、社債はAAAでも1年超の期間では1%前後デフォルトしており、CLOの安全性が際立っているのが分かります*1

*1 S&P Global Ratings

リーマン・ショック後に信用構造を補強

CLOの「1.0」と「2.0」というのは何でしょうか?

吉田 ここも大変重要な点です。2008年9月に起きたリーマン・ショックを受けて、CLOの格付け基準が厳格化されました。2009年以前に発行されたCLOを「CLO 1.0」、厳格化された2010年以降に発行されたものを「CLO2.0」と呼んでおり、「2.0」は信用構造が補強されています。

格付け基準の厳格化に伴い、ローンポートフォリオにおける最上位AAAの構成比率が「1.0」では75%だったのが、「2.0」では64%に減っています。つまり、AAA以下のトランシェの構成比率が「1.0」の25%から、「2.0」では36%に増えたことで、損失回避の“クッション”の厚みが増し、AAAの元本回収の可能性が高まったことを意味します。

中長期的に安定したリターン。他の資産クラスと低相関

収益性や利回りはどうでしょうか。

砂押 図表3は米国の主要な債券セクターの利回りの比較です。BBB格のCLOの利回りはハイイールド債を上回っていますし、最上位のAAA格でも投資適格社債(1~3年)より1%高水準です。

【図表3】米国の主要債券セクターの利回り比較(2023年10月末)*2
米国の主要債券セクターの利回り比較(2023年10月末)
出所:Bloomberg、J.P. Morgan
注記:ローン担保証券スプレッドはディスカウント・マージン、ベース金利は90-Day Average SOFRを使用

CLOのリターンは中長期的に見て相対的に安定しています。2012年1月から2023年10月末までの期間は、コロナ禍をはさんで市場環境が激変しましたが、AAA格のCLOはこの期間の年次リターンが一度もマイナスになっていません。

既存の主要資産クラスとの相関関係はいかがでしょうか。

砂押 AAA格のCLOと伝統的資産との過去10年の相関は、米国債が-0.02、米国株式で0.16、米国ハイイールド債で0.38、バンクローンでも0.57です(2013年9月末~2023年9月末)*2。幅広い資産クラスと極めて低相関であることが分かると思います。

*2 使用指数:レバレッジドローン(Credit Suisse Leveraged Loan Index)、BBB格ローン担保証券(J.P. Morgan BBB CLO Index)、AAA格ローン担保証券(J.P. Morgan AAA CLOIndex)、米国ハイイールド債(Bloomberg U.S. Corporate High Yield Index)、米国投資適格社債(1-3年)(Bloomberg US Corporate 1-3 Year Index)、マネーマーケット(S&P U.S. Treasury Bill 0-3 Month Index)、米国債券総合(Bloomberg U.S. Aggregate Bond Index)、米国国債(Bloomberg U.S. Treasuries Index)

近年、AAA格CLO中心に市場規模が大きく拡大

市場規模はどうでしょうか?

髙橋 信用構造が補強された2010年以降、CLOの市場規模は大きく拡大しています。図表4の左のグラフが市場規模の推移で、右のグラフがCLOの格付け比率の分布と銘柄数ですが、全体の7割近くがAAA格で、最上位トランシェを中心に順調に市場規模は膨らんでいます。

【図表4】拡大する米国ローン担保証券市場
拡大する米国ローン担保証券市場
出所:J.P. Morgan(左図:2011年12月末~2023年10月末、右図:2023年10月末現在)
使用指数:インデックス:J.P. Morgan CLOIE Total Indexのサブインデックス(AAA、AA、A、BBB、BB、B)

変動金利でスプレッドに厚み

米国で隆盛を続けるCLOですが、すでに大手金融機関を中心に、わが国の機関投資家による投資実績がありますね。

吉田真康氏

吉田 日本の機関投資家様にとって、今後も潜在的なニーズは大きいと思います。2022年初頭からの世界的な金利上昇で、為替ヘッジ付き外債は大きなマイナスを被りました。これに対してCLOは変動金利商品ですし、これまでにご説明してきたように相対的にスプレッドが厚い。最近の傾向として、外債から国内債券への回帰も指摘されていますが、為替ヘッジコストを差し引いてもCLOの利回りは十分国内債券に対抗できる水準だと考えます。

厳格なデューディリジェンスとポートフォリオ構築

御社のCLO戦略の特徴について教えていただけますでしょうか。

髙橋 ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズのCLO運用チームは米国デンバーが拠点です。業界経験33年に及ぶポートフォリオ・マネージャーのジョン・カーシュナーをヘッドにした経験豊富な3名が専任で運用を行っています。社内のグローバルな証券化商品チームがサポートしており、質の高いローン担保証券市場へ、流動性があり、透明性が高い方法で戦略を提供しています。厳格なデューデリジェンスとポートフォリオ構築プロセスによって、安定したリスク調整後リターンの獲得と伝統的な債券との低相関を目指しています。

投資に際しては、まず、コラテラルマネージャーに対するデューデリジェンスを行います。担保の質、CLO構造、流動性要件などを分析し、同戦略のユニバースに含まれるコラテラルマネージャーのランク付けを行いますが、パフォーマンスが想定を下回った場合は、再度ランク付けします。また、コラテラルマネージャーとは継続的に十分コミュニケーションしています。

ポートフォリオ構築においては、①個別銘柄の詳細なレビューやボトムアップでのクレジット分析を行い、投資可能なCLOユニバースからスクリーニング、②分散と流動性を確保したポートフォリオの構築、③クレジットリスクの最適化とコラテラルマネージャーに対する厳格な売却基準の適用などにより、一貫したリスク調整後リターンを実現するため、ポートフォリオを最適化、というステップを踏んでいます。

実際に運用されている戦略についてご紹介をお願いします。

砂押 米国運用チームはAAA格中心の戦略(2022年10月運用開始)とBBB格中心の戦略(2022年1月運用開始)の2戦略を運用しています。この2戦略を組み合わせることも可能です。図表5が2戦略の運用資産残高とグロスリターンになります。

【図表5】ジャナス・ヘンダーソンのローン担保証券戦略の運用実績
ジャナス・ヘンダーソンのローン担保証券戦略の運用実績
出所:ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズ
期間:(左図)2020年10月末~2023年9月末 (右図)2022年1月末~2023年9月末

アクティブ運用でETFの実績を重ねる

吉田 ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズの米国CLO運用チームはCLO戦略のアクティブ運用で確かな実績を確立しています。ご参考までですが、同米国運用チームが運用する米国市場のAAA格ETFのAUMは直近で約48億ドルで、これに次ぐ他社ファンドは約2億ドルであり、事実上、同米国運用チームの寡占状況となっています*3。同米国運用チームのETFは後発なのですが、市場全体でパッシブ運用が主流の中、アクティブ運用で実績を重ねてきました。こうした米国での実績と高評価をバックに今後、日本の機関投資家のみなさまに優れたCLO戦略をご提供したいと考えています。

*3 当社グループの海外関係会社に関する情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券の勧誘を目的とするものではありません。

当資料は、ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズ・ジャパン株式会社(以下「JHIJ」)により作成されたものです。JHIJは、金融庁の監督の下、関東財務局に投資運用業、投資助言・代理業、および第二種金融商品取引業を行う金融商品取引業者として登録されています。

手数料等について:投資一任契約にかかる報酬額およびその他費用は、お客様に委任された運用資産の額や運用戦略(方針)等によって異なりますので、その合計額を表示することはできません。投資一任契約に基づきJHIJまたはJHIJの関連会社が運用するファンドを組み入れる場合には、ファンドで発生する運用報酬との調整を行う場合があります。また、運用資産において行う有価証券等の取引に伴う売買手数料等はお客様の負担となります。

投資リスクについて:投資一任契約に基づき、主に有価証券への投資を行いますが、当該有価証券の価格の下落により、投資元本を割リ込むおそれがあります。また、外貨建て資産に投資する場合には、為替の変動によっては投資元本を割り込むおそれがあります。したがって、お客様の投資元本は保証されているものではなく、運用の結果生じた利益および損失はすべてお客様に帰属します。上記に記載している手数料等や投資リスクは、一般的な投資一任契約において想定されるものです。手数料等や投資リスクは、個々の投資一任契約により異なりますので、投資一任契約を締結される際には、事前に契約締結前交付書面をよくお読み下さい。

ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズ・ジャパン株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第57号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会

YW1223(02)0524 Japan Comp