ラザード・アセット・マネージメント マクロ要因に左右されない、中立的な「コア投資」。“全天候型”のグローバル株式クオンツ戦略

ファンダメンタルズ運用チームと連携し、モデルの精度を高める

機関投資家ビジネス部
シニアヴァイスプレジデント
郭 敏華氏
郭 ラザード・インクは投資銀行業務と資産運用業務を二本柱とする米国ニューヨークに本拠を有する独立系金融グループである。その資産運用部門を担うのがラザード・アセット・マネージメントで、グローバルでの運用資産総額は約39兆円に達する(2025年9月末時点)。運用拠点はニューヨーク、シドニー、ロンドン、ボストン、東京など世界各国に展開している。
運用戦略別に見ると、全体の約7割を株式が占め、とりわけアクティブ運用に強みを持つ。ファンダメンタルズ株式運用に加え、クオンツ運用も積極的に取り組んでおり、クオンツ戦略全体の運用資産残高は2025年9月末時点で約4.7兆円に上る(図表1)。

※ Lazard Asset Management LLC(ニューヨーク)およびその関連会社の数値が含まれますが、Lazard Frères Gestion(パリ)やLazard, Inc.の他の資産運用事業の数値は含まれていません。運用資産残高の変動は、顧客の移行や戦略の再分類など、様々な要因によって発生する可能性があります。Lazardはこれらの移行や再分類を考慮して過去のAUMを再計算することはせず、これらの変更を将来に向けて取り入れることを目指しています。

プロダクトマネージメント部
シニアヴァイスプレジデント
プロダクトスペシャリスト
宮崎 浩司氏
宮崎 ラザード・アセット・マネージメントが展開するアクティブ・クオンツ戦略の中で、MSCIワールド指数をベンチマークとするのが、『グローバル株式アドバンテージ戦略』だ。バリュー/グロースといったスタイルや、特定の国、業種といったマクロ要因に賭けるのではなく、独自のモデルを用いたデータ分析によって約6000以上ある先進国株式の中から個別銘柄を選定する。
特徴的なのは、リサーチの段階において社内のファンダメンタルズ運用チームと連携し、「企業の成長性とは何か」「どのような指標が持続的な競争優位性を示すか」などを議論し、その知見をモデルに反映している点だ。一般に、多くのクオンツ戦略は学術的モデルに依存しがちな傾向にあるが、『グローバル株式アドバンテージ戦略』では、ファンダメンタルズ運用と定量運用を掛け合わせて実際の企業理解に根ざしたモデルを開発。継続的に検証・改良することで、その精度と有効性を維持している。この点が、ブティック系や純粋なクオンツ運用会社にはない「ラザードの総合運用力」が光るポイントと言えるだろう。
独自に定義したファクターをバランス良く組み合わせる
宮崎 その上で、当戦略が独自に定義しているのが、「バリュー(割安性)」「グロース(成長性)」「クオリティ(企業の質)」「センチメント(市場心理)」──の4つのファクターである。例えば、クオンツ運用ではデータ分析がベースになるため「グロース」をファクターに含めるマネージャーは多くないが、当戦略では研究開発投資の度合いを数値化するなど成長ポテンシャルを数値化している。また「センチメント」では、決算説明会における経営者の発言の文字起こしから、ポジティブなメッセージや新規事業への姿勢など企業の変化を捉えるといった具合だ。
このように、テキスト解析やナウキャスティングなど非伝統的データを活用し、企業の質的情報も数値化する(図表2)。データの多くは公開情報であるが、そこからどのようなインサイトを導き出すかというアナリストの視点や解釈が、投資アイデア創出の差別化要因となっている。

そして4つのファクターをバランス良く組み合わせることで、特定のファクターへの依存を回避しつつ、追い風の局面では成果を高め、逆風の局面ではドローダウンのリスクを抑制することを目指す。例えば、2020年頃は一部のAIや半導体関連銘柄についてニュートラルまたはアンダーウエートだったが、その後の業績拡大に伴いオーバーウエートへと調整し、大きな利益を獲得した事例もある。
郭 さらに、地政学アドバイザリーグループの存在もユニークな特徴である。米国の退役軍人や諜報機関出身者で構成される専門チームが地政学的リスクを早期に察知し、運用チームに助言する。過去には、特定地域における軍事的緊張の高まりを把握し、当該地域関連銘柄を流動性の高いポジションへと切り替えるなど、急変時のリスク回避に成功した例がある。地政学的リスクを運用プロセスに組み込んでいる点は、他のクオンツ戦略にはほぼ見られないのではないか。
リスクはベンチマークと同等程度に管理
宮崎 こうした運用哲学や強みにより、当戦略は2008年の運用開始以来、バリュー優位・グロース優位の多くの期間で超過収益を実現している(図表3)。一方、リスク管理の面では、セクター配分、国別配分、ベータの水準、個別銘柄などのウエートについて一定範囲内に抑え、ベンチマークに近い水準を維持している。これにより、特定のマクロトレンドに左右されることを回避するとともにアクティブな銘柄選択を通じてアルファを創出している。

※ パフォーマンス(運用報酬控除前)はコンポジットおよびベンチマークのものです(いずれも米ドルベース)。上記は説明目的のために示したものであり、「GIPS® Composite Information」の補完的な情報です。
世界の株式市場は、生成AIの進化や地政学的リスクの高まり、米国の関税政策の変動などにより、今後が見通しづらい局面にある。したがって、一貫して中立的な「コア投資」を行うことが有効な戦略と考える。
郭 『グローバル株式アドバンテージ戦略』は、特にパッシブ運用からアクティブ運用への移行を検討する機関投資家に適しているだろう。大きなアルファを狙うものではないが、手数料控除後でも超過収益を中長期的に獲得できており、“全天候型”の特性を持つ。低リスクで安定したリターンを求める年金基金や金融法人に、コア投資戦略の1つとしてぜひご検討いただきたい。
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