ミューズニッチ・ジャパン クレジット投資の専門家が見据えるオルタナティブ・レンディングの投資機会
金融機関への規制強化を背景に、銀行に代わりファンドが貸し手となるオルタナティブ・レンディングが拡大中だ。そんな中、2025年1月23日に都内で開催されたJ-MONEYカンファレンス(主催:J-MONEY)で、元本保全を重視したクレジット運用ソリューションを提供しているミューズニッチ・ジャパンの林晃裕氏が、同社が注目するオルタナティブ・レンディング市場の投資機会を紹介した。
銀行×アセット・マネージャーの協業が新潮流に

在日代表
林 晃裕氏
ミューズニッチ社は、クレジット投資に特化した老舗グローバル・クレジット・ファームであり、運用資産残高約5兆3700億円を有している。近年、引き合いが伸びているオルタナティブ・レンディング市場において、今後数年にかけて注目すべきと当社が考える投資機会を紹介する。
はじめにご紹介したいのが、「ジョイントベンチャー・パートナーシップ」(以降、JVP)と「パラレルレンディング・パートナーシップ」(以降、PLP)というローン戦略である。実は近年、伝統的な融資の担い手だった銀行が、新たに企業融資の貸し手として存在感を強める運用会社と手を組んで、魅力的なローン案件にアプローチする動きが散見される。その追い風を捉えるのがJVPとPLPだ。
まずJVPについて。これは、当社と本邦メガバンクの一社が共同出資して立ち上げるジョイントベンチャー会社を通じて、シンジケートローン市場に投資する運用戦略だ。2桁中盤のネットIRR(内部収益率)獲得を目標とする。
主にプライマリー(新規発行)のローンに投資することや、四半期ごとに分配がある点は通常のバンクローン戦略と類似している。しかしJVPでは、時価評価がないことや、投資家の資本にメガバンクによるレバレッジ・ファイナンスを有効活用してシンジケートローンに投資するのが特徴だ。
例えば、これまで100億円分バンクローン戦略に投資していた機関投資家などは、JVPに25億円投資しながら、実質的に100億円分のローン投資の価値を享受することが期待できる。そうなれば、残りの75億円は、他の戦略への投資に回せるだろう。
次にPLPは、ミューズニッチ社と欧州の55超の商業銀行が協業し、共同の貸し手としてクレジット・リスクをシェアしながら、欧州の中堅企業を対象に第1抵当権シニア担保付変動金利ローンを提供する戦略である。
ポートフォリオの組み入れ候補となる融資案件が、銀行側から提案される点がPLPのポイントだ。銀行が既に審査を済ませているので、財務状況などが比較的優良な案件が集まる。当社はその中から、銀行と同じ返済順位(パリパス)の下で投資する案件を選ぶことができる。
対象が優良案件中心であることから、中長期で安定したリターンが期待できる反面、PLPのスプレッド水準は一般的なダイレクトレンディング(以降、DL)戦略と比べるとやや低めになる。それでもユーロベースで8~8.5%程度のネットリターンが見込めるので、為替ヘッジコストを3%半ばとしても、円ベースで4~5%程度の魅力的なリターンが期待できる。
競合が少ないローワーミドル市場DL
バーゼル規制などの金融規制の影響により、伝統的な金融機関が融資を縮小せざるを得ない中で拡大を続け、日本の機関投資家にも広く浸透したDLだが、特に当社が注目しているのはローワーミドル市場(EBITDAが500万~2500万米ドル/ユーロ)の中堅企業に融資するDLだ。
例えば米国では、ローワーミドル市場におけるDLは、より規模の大きい企業に投資するコア/アッパーミドル市場へのDLよりも一貫して1.5~2%ほど高いスプレッド水準が続いている。それでいて、企業の財務体質はコア/アッパーミドル市場よりローワーミドル市場の財務レバレッジ水準のほうが1~1.6倍ほど低い。
欧州DL市場も同様にローワーミドル市場に優位性がみられる。一例として、欧州でミドル市場全体と、ローワーミドル市場に投資する当社戦略ポートフォリオとを比較した表を見てほしい(図表)。スプレッド、財務レバレッジの両方で顕著な差が出ている。

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総じて、コア/アッパーミドル市場に対してローワーミドル市場は、DLの貸出金利は高く、投資先企業の財務レバレッジは低く、コベナンツはしっかり設定されており安定感もある状況だ。しかもローワーミドル市場では競合するアセット・マネージャーの数が少ない。
規模が大きくなったファンドはより多くの投資先を見つけるか、より大規模の案件に融資するしかないが、多くのファンドは後者を選び、ローワーミドル市場から退出していく。そのため、現在ローワーミドル市場に残るのは地域特化型のDLファンドが大宗を占めており、汎欧州・米国へ広くアプローチ可能な運用能力や資本を有するミューズニッチ社は稀有な存在となっている。
ちなみに企業規模が小さいとデフォルトリスクが高まるとの懸念が投資家からよく寄せられる。結論、規模は問題ではない。
2008年の金融危機を含めた約27年間に発生した9000件の米国デフォルト事例を調査した結果によれば、デフォルトに最も寄与する要素は財務レバレッジの高さ。企業規模は、ほかに流動性・活動比率・デットカバレッジ・収益性・成長性といった要素がある中で、デフォルトへの寄与が一番低いとの結果が出ている。
航空・インフラの需給ギャップ
そのほか、マクロな潮流に追い風を受けるクレジット分野にも注目できるだろう。例えば、人口増加を背景に航空旅客の需要は増加する一方で、航空機の製造・供給が追いついていない。
この需給ギャップを長期的な投資リターンに変えるべく、ミューズニッチ社では、航空会社や航空機のリース会社に対して融資を行う航空機担保融資やストラクチャードファイナンスと、航空機リースを組み合わせた航空機ファイナンス戦略を提供している。
同戦略は四半期ベースの期待現金利回りが10%なので、インカム重視の投資家におすすめしたい。航空機の製造・供給が不足する状況下、過熱する中古機市場を背景に、航空機リースでは足元のリース料が下落基調にあることを踏まえると、ファイナンスとリースを組み合わせるこの戦略は、長期的な航空機需要を安定して享受できる期待値が高いと言えよう。
資金ギャップへの投資機会はほかにもある。APAC(アジア太平洋)地域では、目標とする経済成長率を達成するために、年間で1.7兆ドルのインフラ投資が必要だと言われる。そんな中、データセンターなどの中小規模のインフラ投資案件は、需要が高いにもかかわらず銀行の融資は届きづらい状況だ。
ミューズニッチ社では、自前のクレジット運用能力とこの好機を紐づけるべく、2024年、インフラ分野に強い香港の運用会社CKAが運営するオルタナティブ投資プラットフォーム「Orion3」と提携した。APAC地域におけるインフラや実物資産を対象とするプライベートデットに共同で投資する戦略を運用している。
ここまで5つの投資機会を紹介したが、本講演ではそれぞれが持つ魅力のほんの表面しか説明できていない。気になる点があれば、ぜひ気軽に問い合わせいただきたい。
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