コーポレート・クレジット投資の専門家として世界的に名高いミューズニッチ社が、日本ビジネスに力を入れている。同社の強みと代表的な投資ソリューションを紹介する特別企画。Part①は、CEOのジャスティン・ミューズニッチ氏のインタビューをお届けする。

詳細なボトムアップのクレジット分析

ミューズニッチ社は1988年に米国で誕生した資産運用会社です。当時は前年に「ブラックマンデー」があるなど金融市場が混乱していました。

ジャスティン・ミューズニッチ氏
ミューズニッチ・アンド・カンパニー・インク CEO
ジャスティン・ミューズニッチ

特に経営状態が良好な企業のハイイールド債が暴落していました。我々は投資機会ととらえ、1990年に最初の米国ハイイールド債券戦略を設定しました。当初の顧客は3つの保険会社でした。保険会社は長いスパンの保守的な運用を好みます。我々は彼らに、ハイイールド債は有望資産と証明する必要がありました。そこで元本保全に重点を置いた長期的思考のもと、非常に慎重かつ深いクレジットリサーチで銘柄を選別し、信頼を勝ち得ました。

この詳細なボトムアップのクレジット分析に基づくファンダメンタル・リサーチを信条とする投資スタイルは、設立から35年以上経った今も変わりません。10名程度の従業員でスタートした当社は、今では世界で15の拠点を持ち、117名の投資プロフェッショナルを含む262名の従業員を抱え、純資産総額は約345億米ドル(約5兆3820億円)にまで成長しました(数値および為替レートは2024年5月31日時点。1米ドル=156円で計算)。

海外では、ミューズニッチ社はどのような資産運用会社と位置付けられていますか。

現在、顧客層は保険会社、年金基金、金融機関、富裕層など多岐にわたります。取り扱う運用戦略も顧客ニーズに合わせて時代とともに進化し、足元ではパブリック市場からプライベート市場まで、幅広くカバーしています(表)。

いただく評価で多いのは「グローバル・コーポレート・クレジット投資の専門家」です。リスクをコントロールするために、丁寧な企業リサーチを行う運用会社のイメージといえるでしょう。借り手と貸し手の間にある非対称性リスクを理解し、厳格なストレステストを行い、分散されたポートフォリオを維持する、この哲学と手法はどの運用戦略にも共通しています。

徹底したリスク管理型投資アプローチ

35年以上の間には、2008年の金融危機など世の中を揺るがす市場局面が何度も訪れています。なぜ、明確で一貫したリスク管理型投資アプローチを維持できるのですか。

我々は設立以来、非公開企業という経営形態を維持し続けています。短期の収益を求める外部のオーナーがいない100%の独立系資産運用会社であるため、金融業界にありがちな短期的思考を排除し、幅広い投資家と長期的なパートナーシップを築くことが可能です。

社外の多くの方から「クレジット以外の資産も扱ったらどうか」とよく言われますが、我々は常に「ノー」と答えています。金融業界は変化のスピードが速く、資産運用会社間の競争も激しい世界です。どのような市場環境下でもコーポレート・クレジットの資産運用会社としてベストであるためには、専門性を愚直に追求し続ける姿勢が大事と考えます。

コーポレート・クレジット特化型のプレーヤーとして、近年注力している戦略は。

我々が得意とする徹底したリスク管理型投資アプローチが、特に発揮できるプライベート市場の戦略に力を入れています。例えば、ローワー・ミドルマーケットの企業に直接融資して、長期安定的なインカム創出を目指すプライベート・デット(PD)です。

PDは通常、融資対象企業のEBITDAの低い順に、ローワー・ミドル(500万ユーロ~2500万ユーロ)、アッパー・ミドル(2500万ユーロ超~7500万ユーロ)、大型(7500万ユーロ超)に分けられます。3番目の大型PD戦略は融資対象が大企業で企業リサーチがしやすい半面、資産運用会社間の競争が激しく、スプレッドは縮小傾向にあります。

一方、ローワー・ミドル戦略の融資対象企業は企業規模が相対的に小さく、事業展開は国内が中心です。欧米には様々な言語やビジネスカルチャーのもとに何百万という企業が存在するため、ロンドンなど域外のオフィスにいるだけでは、資本政策や財務状況のデューデリジェンス、および将来性の見極めには限界があります。

我々は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる12拠点にプライベート・クレジット・ビジネスに精通した50名超の投資プロフェッショナルを配置しています。イングランド北部の企業はマンチェスターのオフィスが、アイルランドの企業についてはダブリンのオフィスが、それぞれ現地の言葉や文化・習慣を理解したローカル・チームとして企業訪問や経営陣とのインタビューなどを繰り返し、個々の企業の成長ポテンシャルと返済能力を見極めます。

投資哲学と親和性が高い日本市場

ローカル・プレゼンスを持つ専門家が、魅力的なリターン特性を持つ案件を発掘するわけですね。

プライベート市場のソリューションでは「パラレル・レンディング戦略」も引き合いが多いです。パラレル・レンディングとは、ミューズニッチ社と銀行がパートナーとなり、ミドルマーケット企業に資金を提供するスキームです。ミューズニッチ社と銀行は共同融資者として、パリパス(返済順位が同じ)、比例配分、同一の融資契約書に基づいて融資を行います。

ミューズニッチ社のパラレル・レンディング戦略の投資対象は、コーポレート・クレジット投資の専門家である我々と銀行がそれぞれ審査した融資案件ですので、金利の支払い不履行のリスクが低いといえます。実際、欧州企業が融資対象の1号、2号の両ファンドは、新型コロナウイルス禍やウクライナ危機など社会情勢の大きな変化に直面しながら、元本はもとより金利の支払い不履行や遅延もなく、投資家には魅力的なリターンを提供しています。

■パブリック市場とプライベート市場にまたがる投資ソリューション
パブリック市場とプライベート市場にまたがる投資ソリューション
※運用資産残高は2024年5月31日時点。出所:ミューズニッチ社

2023年に東京オフィスを開設しました。日本の投資家が御社と付き合うメリットは。

先ほど紹介したPDのローワー・ミドル戦略もパラレル・レンディング戦略も、日本では耳慣れないソリューションではないでしょうか。それゆえに、日本の投資家のポートフォリオに組み入れることで、分散効果とリスク調整後リターンの向上が期待できると考えます。

私は15年以上前から定期的に来日し、2018年から2021年まで米国政府の財務副長官を務め、その後会社に復帰したときに東京オフィス開設を決めました。日本の投資家の多くは、私たちと同じく長期的思考で運用しているので、ミューズニッチ社の投資哲学と親和性の高いマーケットと考えます。

我々は、日本でも既に大手金融機関などとパートナーを組んで公募投資信託などを販売しています。今後は、さらに多くの日本の機関投資家に元本保全重視の戦略をお届けします。

日本国内:現在、ミューズニッチ社の戦略及びサービスのすべてが日本で登録されているわけではありません。したがって、関係する日本政府及び規制当局により公布され、関連する時点で有効なすべての適用法令、規制及びガイドラインを遵守する結果となる場合を除き、日本国内または日本人のために直接的または間接的に、またはその利益のために、または再提供若しくは再販売することを目的として、ミューズニッチ社の戦略を提供または販売してはなりません。この目的のために、「日本人」とは、日本法に基づき組織された法人またはその他の事業体を含む、日本に居住するすべての者を意味します。本広告は、Muzinich&Co.Limited(以下、「ミューズニッチ社」または「運用マネジャー」)が情報提供の目的で作成したものです。本広告は、金融商品取引法(昭和23年法律第25号、その後の改正を含む)に基づく規定または要求される開示書類ではなく、また、勧誘を目的としたものでもありません。

ミューズニッチ・アンド・カンパニー・ジャパン

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