北欧地域(スウェーデン、ドイツ、ベネルクス3国など)のダイレクトレンディング案件に投資する『フェデレーテッド・ハーミーズ欧州ダイレクトレンディング戦略』は、2015年の設定来でデフォルトが0件だという。低リスクを実現する運用の特徴について責任者に聞いた。

設定来、デフォルト0件の低リスクなDL戦略

パトリック・マーシャル氏

当社は、英通信大手ブリティッシュ・テレコムの年金運用部門として設立されたハーミーズが前身の資産運用会社で、2018年に米フェデレーテッドの傘下に入り「フェデレーテッド・ハーミーズ」に生まれ変わった。現在、世界中に14拠点を有し、欧米およびアジアで株式・債券・オルタナティブ資産の運用を手掛けている。私自身は、様々な金融機関で融資関連業務を経験した後、2015年から当社のプライベート・クレジット責任者を務めている。

近年、ダイレクトレンディング(DL)市場は競争が激化し、複雑化の一途を辿っている。そこで、DLに初めて投資する投資家もエントリーしやすいようにと立ち上げたのが、『フェデレーテッド・ハーミーズ欧州ダイレクトレンディング戦略』だ。当戦略の特長は「低リスク」と「差別化されたオリジネーション」の2点に代表されると言えよう。はじめに、どのように「低リスク」を実現しているか説明しよう。

まずカギを握るのが担保付シニアローンのみに投資している点だ。他社の戦略ではユニトランシェを組み入れて利回りを引き上げていることが多い。一方で、当戦略は弁済順位の高い担保付シニアローンのみを対象とすることで、デフォルト時にもエクイティ部分がプロテクション機能を果たすため、リスク抑制の確度が高まる。また、レバレッジ水準を平均で3~3.2倍と低く抑えている点も優位性と言える。

そして、投資対象地域も重要だ。当戦略は、北欧地域(スウェーデン、ドイツ、ベネルクス3国など)のスモール・ミドル・マーケット(小中規模市場)にフォーカスしている。多くの欧州DLファンドは案件数が豊富な南欧諸国(スペインやフランス、イタリア)に投資するケースが多い。しかしそれらの地域では、株主、債権者、融資先企業の従業員が平等に権利を持つため、デフォルト時の資金回収率が低い傾向にある。

一方、北欧では債権者が最も優先されると法律上規定されている。それゆえ企業再建にかかる期間が短く、デフォルト時の資金回収率が高い(図表1)。当戦略の投資対象地域は、”債権者フレンドリー”な法的規制が整っているため、デフォルトリスクを抑制しながら投資できる利点がある。

図表1 北欧地域は債権者に優位な地域
図表1 北欧地域は債権者に優位な地域
出所:世界銀行

加えて、スモール・ミドル・マーケットへの着目にも理由がある。まず、信用力の高い大手企業のDL市場に比べ、貸し手に有利な条件でローンを実行できる余地がある。ほかにも、小売や旅行・レジャー、ホテルなど景気サイクルに左右されやすいシクリカルセクターを避けたり、分散投資によりポートフォリオにおける1つのローンの保有割合を約3%と低く抑えたりしていることも、「低リスク」の実現に寄与しているポイントだ。

こうした幾重にも重なるリスク抑制へのアプローチが奏功した結果、当戦略は2015年の設定以来一度もデフォルトを経験しておらず、質の高いポートフォリオを維持できている(2024年7月末時点)。

銀行とのWIN-WIN関係を基に魅力的なローン機会を取得

ただし、単にリスク抑制だけを追求しているだけでは、「デフォルトゼロ」を継続するのは困難だっただろう。DL市場の競争が激化する中で、徐々に質の高い案件に投資しづらくなっているためだ。そこで、「差別化されたオリジネーション」に注力し、独自に質の高い案件を発掘する能力があることが、ひいてはデフォルトリスクの低減を実現する重要ポイントになる。

そして、それを可能にするカギとなるのが、パートナー銀行との提携だ。当社は投資対象地域の大手銀行であるダンスケ・バンク、英国のナットウエスト、ベネルクス3国のKBC、ドイツのDZ──の4社と法的に排他的なパートナーシップを締結している。これにより、パートナー銀行は申込みのあった全てのローン案件を優先的にフェデレーテッド・ハーミーズに紹介する義務を負う。

図表2 北欧地域で、銀行とパートナーシップを結んで案件をソーシングする理由

北欧地域で、銀行とパートナーシップを結んで案件をソーシングする理由

当社は、3年間で銀行から紹介された約1500件の案件に目を通し、そこから30~50件を厳選して実際に融資する。この独占的かつ安定的な案件パイプラインこそ、当社がどのような経済環境でも真に魅力的で高品質な案件を発掘できる“クレジット・ピッカー”となれる秘訣なのだ。

ちなみに銀行側は、当社と連携することで、シンジケートにより競合となり得る他の金融機関を引き入れることなく、顧客(借り手)の借入ニーズに応えられるメリットがある。

全員がリストラクチャリング経験を持つ平均経験年数17年の先鋭チーム

なお当戦略の運用を支えるのは、平均17年の経験を持つ7人の投資プロフェッショナルだ。人数が少ないと思う方がいるかもしれない。ただ、先に述べたように、当社は銀行から案件の紹介を受けるため欧州各所にソーシングおよびオリジネーション・チームを置く必要がなく、ローンの分析と厳選に存分に注力できる。また、全てのメンバーがリストラクチャリング経験者であり、問題を抱える債権にも自社で対応可能なことも強調しておきたい。

欧州DL市場の歴史はまだ浅いものの、膨大な小中規模の企業が存在し、引き続き多くの投資機会を発掘することができるだろう。当然ながら、欧州にも地政学的な課題などリスクは存在するが、実は欧州の方が米国のDLと比べてリスク調整後のリターンが魅力的になりつつある。

そんな同市場で、デフォルトリスクを極限まで抑制しながらリターンの獲得を目指す『フェデレーテッド・ハーミーズ欧州ダイレクトレンディング戦略』は、まさに機関投資家が求めていたファンドになっているはず。ぜひ検討してほしい。

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