R&Iファンド大賞2021

債券投資が3重苦-低利回り、スプレッド縮小、インフレリスク拡大-に見舞われる中、2021年、これに代わる資産の1つとしてCAT債を活用する投資家が大きく増加している。同分野で国内の投資家からも注目を集めるファンドを取り扱うGAM証券投資顧問株式会社に、CAT債の魅力について聞いた。

GAM証券投資顧問株式会社
GAM証券投資顧問株式会社
代表取締役社長 戸島 真人氏(写真中央)
営業統括部長 齋藤 一明氏(写真左)
営業統括部 クライアント・マネージャー 反田 峰雄氏(写真右)

リスク特性が伝統的資産と異なる

保険会社が災害発生時の保険リスクを資本市場に移転するために発行されるCAT(カタストロフィーまたはキャット)債。投資対象としての魅力は。

戸島 まず挙げられるのは、社債などと比較しても相対的に高い利回りだ。CAT債の平均利回りは6.5%(米ドルベース)程度と、リスクを勘案しても機関投資家のニーズに応える水準にある。投資家は、ハリケーンや地震などの災害発生(CATイベント)時に投資元本から保険金に相当する金額が差し引かれるリスクを負う代わりに、保険料に相当するインカムを手にできる。

齋藤 CAT債は大半が変動利付債で、中期的なインフレリスクや金利上昇がささやかれる昨今、金利リスクのヘッジ手段としても有力と考えられる。

CATイベントが発生しなければ投資元本は信託口座に保管され、Tビル(米国国庫短期証券)など信用力の高い短期資産で運用される。これに保険料相当のインカムが上乗せされるため、CAT債は短期金利+スプレッド(保険料相当インカム)をクーポンに持つ変動利付債とみなすことが出来る。加えて、保険会社に投資をするわけではないので信用リスクも限定的となっている。

このようにリスク特性が伝統的資産と大きく異なることから、ポートフォリオに組み入れた際に高い分散効果を発揮することもCAT債の大きな魅力だ。実際、2020年3月に新型コロナの感染拡大で社債市場が大きく下げた局面でもCAT債はほとんど影響がなかった。

2021年、国内外の投資家から改めて引き合いが増えている背景は。

反田 CAT債への投資は、災害発生時に経済支援を通じて被災地域の復興を手助けすることを意味し、サステナブルな社会作りに直結する。すなわち、国連SDGs(持続可能な開発目標)が定める多くの目標達成に直接貢献するため、ESG(環境・社会・企業統治)が投資においても欠かせない要素となりつつある今日では、この新たな視点からCAT債への投資枠を拡大する動きが世界中で広がっており、日本の投資家からも関心の高まりを感じている。

こうした社会インフラとして高い意義が注目され、行政機構や国際機関が関与するCAT債の発行が活発化している。今のところ伝統的資産と比較して小規模な市場ではあるが、需要と供給の両面から追い風を受け、CAT債市場は今後も拡大を続けていくだろう。

温暖化時代でも魅力は変わらず

CAT債をポートフォリオに組み入れる際の注意点は。

戸島 金融商品であれば当然だが、CAT債にももちろんリスクがあり、災害発生時に元本が毀損する可能性がある。ただ、これまでのCAT債指数の推移に明らかなように、市場全体で過去19年にわたりプラスの年次リターンを継続しており、ベースが非常に安定している。短期的な下落に惑わされず、長い目でパフォーマンスを判断していただきたい。

なお、2012年から2016年ごろには災害の発生件数が少なく、CAT債の利回りが低下した時期があった。日本の投資家の中には同時期に投資を開始し、翌年2017年以降に損失を出し、苦手意識を持った投資家も少なくないだろう。

だが当時パフォーマンスを下げたファンドの運用をよく見れば、低利回り+高為替ヘッジコストの環境下で、CAT債ではなくよりハイリスクな私募保険リンク証券(ILS)を多く組み入れ、利回り引き上げを図っていた商品も少なくない。CAT債投資では、規律ある運用姿勢を崩さないことが良好なパフォーマンスに欠かせない条件と言える。

『GAM FCM CAT Bond戦略』(以下、『CAT Bond戦略』)は15年連続、年率平均約6.7%のプラスリターンを実現している。

反田 『CAT Bond戦略』の運用を担当し、我々GAMと2004年来、強固な提携関係で結ばれているFermat Capital Management,LLC(以下、Fermat)の運用力の強さが実績に反映されている。Fermatの運用手法は独自性が強く、主要メンバーの経験や実力、また運用インフラの充実度は他社の追随を許さない。当社は、アクティブ戦略に特化しエッジの利いた商品を投資家の皆様へ提供しているが、Fermatが運用する『CAT Bond戦略』は、GAMの提供する代表的な商品の1つとなっている。

Fermat Capital Management,LLC

戸島 CAT債運用では災害発生時、どれだけ迅速かつ正確に被害規模を予測できるかが1つの焦点になる。創業者のジョン・ソウ氏を中心にエキスパートが肩を並べるFermatは、この点で他社を凌駕し、その予測に基づきいち早く投資行動に移すことで良好な成績を残してきた。

CAT債市場は、前述の通り安定した上昇を長年続けているが、発行額の小さい銘柄も多いため、全銘柄へ時価総額に沿って投資するパッシブ的な運用は難しい。Fermatも市場並みのリターンを理想形の1つとしつつ、高度な分析を駆使したアクティブ運用を通じ、リスクに対し最大効率のリターン獲得を目指す。ゴールがシンプルな半面、ソウ氏が「限られた運用会社にしか実践できない」と語るように、専門的知見に裏付けられた運用が求められる。

地球温暖化の進行で災害の激甚化も指摘される。『CAT Bond戦略』の展望は。

齋藤 よく心配される点だが、CAT債の収益に影響するような大規模災害の発生頻度については、そもそも世間で言われているほど増加しないとする学術的なコメントが多い。仮に災害が大型化しても、CAT債はFermatが「気候変動債」と呼称するように、リスクの増加に合わせ保険料(=インカム収入)が調整されることから、今後もリスクに見合うリターンが得られるとみている。

戸島 日本の機関投資家の間では「保険はやらない」など、懐疑的な意見も多い。ただ、今回お話した内容の多くは知られていないことも多く、改めてCAT債を見つめ直してほしいと思っている。ポートフォリオの高度化が求められる昨今、きっとお役に立てるはずだ。

GAM FCM CAT Bond戦略のパフォーマンス実績

当資料は、GAMグループおよびGAMグループの提携先であるFermat Capital Management, LLCの運用戦略に対する理解を深めていただくことを目的として作成したものであり、特定の有価証券への投資の勧誘を目的とするものではありません。当資料は、弊社において信頼できると判断したデータおよび資料に基づいて作成しておりますが、その情報の正確性、完全性について保証するものではありません。また、当資料中の運用実績・データ等は過去のものであり、今後の成果を保証・約束するものではありません。さらに当資料中の意見は作成時点での予想をもとに作成されておりますため、今後の経済動向や市場環境の変化、さらに金融取引手法の多様化に伴う変化に対応し、予告なく変更される可能性があります。

<お取引にあたっての手数料等およびリスクについて>
投資信託(外国投資信託、外国投資証券)にご投資いただく際は、各商品ごとに設定された所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。各商品には価格の変動等による損失を生じるおそれがあります。なお、各商品の手数料等およびリスクについては、商品ごとに異なりますので、お取引にあたっては、目論見書等の「手数料、報酬および費用」「投資リスク」などをご確認ください。

GAM証券投資顧問株式会社
営業統括部 齋藤 反田
Tel:03-5219-8800

商号等:GAM証券投資顧問株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第63号
加入協会:日本証券業協会/一般社団法人日本投資顧問業協会