アムンディ・ジャパン 欧州中堅・中小農業セクターに照準。安定収益と高スプレッドの両立
アムンディが展開する「アグリ・アグロ・欧州ダイレクト・レンディング戦略」は、農業関連中小企業への直接融資を通じて安定収益と社会的インパクトを両立する新たな選択肢だ。アムンディ・ジャパンの森田直久氏と登川泰行氏は2025年4月11日、東京都内で開催されたJ-MONEYカンファレンス(主催:J-MONEY)で、同戦略の狙いや運用体制について説明した。その内容を紹介する。
景気に左右されにくい農業戦略

アムンディ・ジャパン
機関投資家ビジネス本部 法人営業部
ヴァイス・プレジデント
登川 機関投資家の間ではオルタナティブ資産への関心が一段と強まっている。とりわけ、欧州のダイレクト・レンディング市場は現在の不透明な市場環境下においても、収益性と分散投資効果の両面から魅力的な投資先として注目されている。
しかし、機関投資家がダイレクト・レンディングに関する知見を深めてきた現在、「よく見ると戦略ごとに特徴の差異があまりない」といった声も上がる。リターン源泉となるスプレッドも縮小傾向にある中で、安定運用の確保のためには、既存戦略とは異なる特性を持ったダイレクト・レンディング戦略の組み入れを検討する必要がある。
森田 そこで本講演で当社が紹介したいのが、欧州の中堅・中小企業のうち、農業関連分野に投資する「アグリ・アグロ・欧州ダイレクト・レンディング戦略」(以降、アグリ・アグロ戦略)だ。欧州の農業セクターは景気変動の影響を受けにくい上に、資金需要が大きい。中でも中堅・中小向けダイレクト・レンディングは依然として比較的高いスプレッドを維持しているため、利回り面での妙味もある。
欧州農業が抱える資金ギャップ

アムンディ・ジャパン
オルタナティブ・リアルアセット営業部長
マネージング・ディレクター
森田 欧州経済での農業関連セクターの存在感は大きい。EU(欧州連合)では一般消費者の支出の約21%が農業由来の製品に向けられ、農業関連がGDP(国内総生産)の9%、労働人口の7%を占める。不況期にも底堅い需要があり、製造業全体に比べて景気後退時の売り上げの落ち込みが小さい。
実際、2008年の金融危機や2020年の新型コロナウイルス禍においても、欧州農業関連セクターの売上高は大きな減少を免れている。当社は2012年から約100件の農業関連企業向け融資を手掛けてきたが、これまで債務不履行(デフォルト)は1件も発生していない。
登川 欧州の農業分野では年間で約1980億~4660億ユーロという莫大な資金需要があると推計される。使途は設備投資や技術革新資金、さらには欧州の零細企業が体力ある企業に統合される際のM&A資金まで多岐にわたる。一見地味に見える農業分野だが、実は経済・環境両面で大きな資金を必要とする領域だ。また、同分野でパリ協定が掲げる脱炭素目標の達成に必要な投資額も年間4470億ユーロにのぼるとみられる。しかし、現在銀行融資で賄われているのはその需要に対して半分程度だ。そこで、ダイレクト・レンディングのような新たな貸し手が注目されている。
投資で支える農業の持続性
登川 ESG(環境・社会・企業統治)投資の視点から見ても、農業関連への投資が持つ社会的意義は大きい。本戦略のインパクト投資の側面について触れておきたい。
農業はしばしば「グリーン」な産業と捉えられるが、実際は環境負荷の大きい領域である。欧州では耕地が国土の約4割に及び、農業は世界の淡水利用の約70%、温室効果ガス排出量の約33%を占めるとのデータもある。2050年までに食料生産を倍増させる必要があるとされる中、農業は環境負荷の軽減という課題に直面している。
そこで当社の「アグリ・アグロ戦略」では「自然資本の保全」と「CO₂(二酸化炭素)排出削減」を最重要テーマに据え、融資先企業ごとに具体的なKPI(重要業績評価指標)を設定してモニタリングする枠組みを構築している。
グループの知見を活かした戦略
森田 先述のように、安定した需要と資金ニーズ、そして環境問題へのインパクトを有する魅力的な投資対象である欧州農業セクターだが、単に投資するだけではその投資妙味を享受することは難しい。
例えば、融資先のリスク・リターンを分析する際には農業関連ならではのビジネスの特異性や、サプライチェーンや法規制など多様な要素が関わってくるため、分析や判断が非常に難しい。当社は、これまで様々なユニークな収益源泉を持つオルタナティブ資産を運用してきたグループ全体の知見と体制を活用することで、「アグリ・アグロ戦略」の運用に独自の分析体制を敷いている。
ちなみに当社はクレディ・アグリコルグループ傘下の資産運用会社であり、同グループが有する農業金融に関する知見やネットワークを活用できる立場にある。クレディ・アグリコルは1894年の設立以来、フランス国内で長年にわたり農業分野を支えてきた実績を持ち、現在では39の地域銀行と2400超の地元支部を擁している。
登川 いわば当社の得意分野に投資を行う「アグリ・アグロ戦略」だが、ローン審査にあたり厳格なプロセスを採用して、パフォーマンスの確度を高めている。その後も、戦略全体のポートフォリオの利回りや分散状況のモニタリング、年次レビュー、ウォッチリスト対象先の状況確認など、継続的な運用管理を行う。こうした専門知見と運用体制の組み合わせにより、当戦略はより現実的な運用戦略として機能し、安定収益と社会貢献を両立し得る新たな選択肢となる。
森田 詳細の説明が最後になったが、「アグリ・アグロ戦略」の投資対象はEBITDA(税引前・減価償却前利益)500万~1000万ユーロ規模の中小企業、スポンサー付き案件とノンスポンサー案件の双方だ。地域としてはフランス、スペイン、イタリアを中心にし、グロスで変動金利+7%をリターン目標としている。加えて、持続可能性に配慮したインパクト投資としての位置付けがある。投資のクローズ期間は12カ月~18カ月だ。
登川 不確実性の高い市場環境が続く中で、景気の波を受けにくく、着実な収益が見込める当戦略への投資は、ポートフォリオ全体の安定化にも繋がるだろう。農業分野のダイレクト・レンディングというユニークな選択肢を、一度視野に入れてみてほしい。
【アグリ・アグロ・欧州ダイレクト・レンディング戦略の留意事項】
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