DWS|ドイチェ・アセット・マネジメント 多様性・成長性・ESGの枠組みなど、欧州インフラならではの利点を享受する
分散効果と安定したインカムゲイン、高い成長性を兼ね備えた「欧州ミッドキャップ・インフラ戦略」。ドイチェ・アセット・マネジメントの前田康一郎氏と山下ひまわり氏は、2025年4月11日に東京都内で開催されたJ-MONEYカンファレンス(主催:J-MONEY)で、具体的な投資テーマや案件例も挙げながら戦略の魅力を語った。そのサマリーを紹介する。
分散可能かつ多様な投資機会を提供

ドイチェ・アセット・マネジメント
執行役員 オルタナティブ営業部長
オルタナティブ・スペシャリスト アジア太平洋地域責任者
前田 米国トランプ政権の関税強化策によって、世界的に経済動向の見通しが悪くなっている。ただし、どのような時代においても、生活に密着したインフラへの投資が安定的なパフォーマンスを提供してくれることに揺るぎはない。中でも我々が重視しているのは「欧州ミッドキャップ・インフラ」への投資である。
そもそも欧州では、環境やデジタル分野を中心に戦略的な投資需要が高まっている。2023年から2030年にかけて新たに2.5兆ユーロ(約400兆円)の資金が必要と言われており、需要が大きい分、投資の安定リターンにつながりやすいと考えられる。
欧州ミッドキャップ・インフラの魅力としてまず挙げられるのは、欧州が世界で最も多様かつ深みのあるインフラ市場を有し、分散された投資機会を提供していることだ。我々の戦略では、イタリアの観光と産業を支える唯一無二のヴェネツィア空港を保有しており、良好なパフォーマンスを実現している。米国であれば国家安全保障上の観点などから、空港が投資対象になることはない。また、欧州のインフラ案件は同族企業からの売却や、大企業のカーブアウトもあり、各国の法律や言語の違いも手伝って、取得時のバリュエーションが相対的に低いという利点もある。
近年は取引規模が拡大するミッドキャップ市場では、大規模企業よりも大きなマルチプル(評価倍率)の上昇幅が期待できる点も大きな魅力だ。例えば「EV/EBITDAマルチプル(利益に対する企業価値の倍率)」は、取引規模が10億ユーロを超えると大きく跳ね上がる傾向にある。すなわち、ミッドキャップのインフラ企業を取得し、アドオン投資と業績向上を通じて成長させることで企業価値を向上させると、資本市場の恩恵を得やすくなる。
ESG(環境・社会・企業統治)の観点も見逃せない。ESGは欧州にしっかり根付いており、それに合致した投資ではダウンサイド・プロテクション(資産価値の下落リスク低減効果)が見込まれる。ESGの枠組みが整備されている点も、欧州インフラ市場を魅力的なものとする。
早期分配がJカーブを短縮する
前田 我々のフラッグシップ戦略である「欧州インフラストラクチャー戦略(PEIF)」は、世界的なインフラファンドの黎明期に当たる2006年に運用を開始した。以来、一貫した戦略でインフラ投資にコミットし続けている。
当戦略はコアプラス型で、平均キャッシュイールド(分配金利回り)の目標値を年率6%に定め、そこに資産の成長性も加味してトータルリターンで年率12~15%を目指している。安定したインカムと資産価値の上昇の両方を満たすためには、まずは、キャッシュフローが健全で、銀行との信頼関係があるインフラ企業の取得が重要だ。企業規模が拡大したら格付けを取得して債券を発行し、デットの資金調達コストを下げるといった施策も行う。
PEIFは2008年の世界金融危機に直面し、PEIFⅡは2020年以降のコロナ禍での運用を余儀なくされ、PEIFⅢは資金調達およびポートフォリオ構築がコロナ禍と重なったが、逆境にもかかわらず、いずれもパフォーマンスは良好だ。グロスのIRR(内部収益率)は年率換算でPEIFが9.8%、PEIFⅡが17.2%、PEIFⅢが12.6%となっている。
とりわけ強調したいのは、いわゆるJカーブ(投資から利益発生までの期間)が短いという点である。例えばPEIFⅡとPEIFⅢの運用実績を見ると、ファイナルクローズから半年後には早くも分配金が発生し、1年後にはトータルリターンがプラスとなっている。安定したインカムゲインが早期から得られるという、インフラ資産特有の投資妙味がまさに反映されていることがよく分かる。

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アドオン投資によるシナジー効果も

ドイチェ・アセット・マネジメント
オルタナティブ営業部
カバレッジ・スペシャリスト
山下 投資テーマとして、我々は特に5つの分野に注力している。1つ目は「エネルギー転換」で、バイオエネルギーの生産や、エネルギー効率化などに取り組む企業が対象となる。2つ目は「都市化/サステナブルな都市交通」で、公共交通機関の脱炭素化などに着目する。3つ目は「サプライチェーンの強靭性」で、空輸から鉄道へのシフトや海運の脱炭素化などをサポートしている。4つ目は「デジタル化」で、欧州においてデジタルインフラの供給不足が問題視されるなか、コロケーション型のデータセンターなど、供給不足の解消を意図した投資を行っている。5つ目は「人口動態とヘルスケア」で、ソーシャルインフラの重要性に着目し、病院に対して医療機器のリースやサービス提供を行う企業などに投資している。
前田 ここで具体的な投資案件をいくつか紹介したい。エネルギー転換関連では、Vertexというスペインおよびフランス南西部の市場で高い占有率を誇るバイオエタノール生産企業を2020年に、ドイツに本社を置くWeltecというバイオガス・バイオメタンの生産事業者を2023年に取得した。
サステナブルな都市交通の分野では、Stagecoachという英国最大級のバス会社を2022年に非上場化して取得した。欧州では環境規制のもと、電動バスへの転換が進められており、地方の行政団体が新たな運行ルートの入札を行う際には、周辺に充電設備やメンテナンスが可能な車庫や操車所があるかどうかを確認する。電動バスへの投資と共に運行拠点や整備工場の刷新にも多額の投資が必要だが、これらへの先行投資によってライフサイクルコストが改善し、新規ルートの獲得も容易になる。その分、投資回収も早くなる。
山下 サプライチェーンの強靭性に関連しては、Akiemという鉄道会社を2016年に取得した。これはフランスの国鉄SNCFの事業の一部をカーブアウトを通して共同保有し、それへのアドオン投資を通じて、サービス提供国と事業内容を拡大して売却した例である。元々はフランスを中心に貨物車両のリース事業のみを手掛けていたが、そこにドイツをはじめフランス国外でメンテナンス等を営む会社などを加え、貨物車両の貸し出しとともに付加サービスも提供する形にし、2022年に大手機関投資家へ売却した。
このように核となる安定企業にアドオン投資を行うことにより収益を伸ばし、M&Aのシナジー効果でバリューアップや業績改善を達成し、多様な先に売却することが当戦略の特徴と言える。
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- 商号:
- ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社
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- 登録番号:
- 金融商品取引業者関東財務局長(金商)第359号
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- 加入協会:
- 日本証券業協会、一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会
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- オルタナティブ営業部 前田・山下 damj-acs@list.db.com