ピクテのOCIOサービス 219年の実績を誇るマルチアセット運用と富裕層の資産保全で培った「胆力」に自信
運用環境の複雑化や、アセットオーナー・プリンシプルなどの要因により、機関投資家の間でOCIO(Outsourced CIO)へのニーズが高まっている。スイスのプライベートバンクを起源とするピクテに、同社のDNAともいえるアセットアロケーション能力を土台とした同サービスの展望を聞いた。
運用環境の変化に対応するピクテの資産運用ビジネス
資産運用をとりまく環境は大きく変化している。経済的観点では、長らく続いていた世界的な金利の低下が終了してインフレ傾向が強まり、日本にも「金利のある世界」が到来しつつある。政治的観点では、政府が「資産運用立国」のスローガンを掲げて、フィデューシャリー・デューティー(FD)やアセットオーナー・プリンシプルといった政策を通じて、金融機関や機関投資家の受益者に対して果たすべき責任を明確化した。
加えて、ウクライナや中東の情勢に見られるように地政学リスクが高まっており、資産運用の不確実性が増す。一方で、技術的にはデータの取得や通信、情報処理技術の高度化が資産運用会社や機関投資家の運用に影響を与えているほか、社会的にもデジタルデバイスの活用が一般化したことで、NISA(少額投資非課税制度)拡充の後押しとなり、個人投資家にとって投資はより身近になった。
こうした環境変化への対応を迫られているのが資産運用ビジネスだ。ピクテ・ジャパンのビジネスは、個人投資家向けのB to B to C と、機関投資家向けのB to Bに大別される。前者に関して「インフレ下では現金の価値が目減りし、そのままでは資産保全ができないため、富裕層を中心に個人の中長期的な運用ニーズの高まりを感じています」と語るのは、同社経営企画室長の酒井大輔氏だ。
個人投資家に投資信託を販売する金融機関に対しても、「金利のある世界では、銀行の本業である預貸ビジネスの経営における優先順位が高くなる可能性を否定することはできません。預かり資産のビジネスは、個人投資家に対してどのような価値を提供し、どのように収益を上げていくのかが大きな課題となるでしょう」と指摘する。
そして、機関投資家向けビジネスについては「運用環境の変化により、伝統的資産のみのポートフォリオでは投資家が期待するリターンを上げにくくなり、運用の難易度は劇的に高まると考えられます。今後は、これまで以上に高度な運用スキルが求められるようになります」と酒井氏は言う。
ピクテが目指すのは「3つのナンバー1」だ。「マルチアセット運用会社、OCIO(図表)、オルタナティブ・ゲートキーパーとして唯一無二の存在を目指します。投資信託の販売会社並びに機関投資家の『資産運用コンサルティングパートナー』として、お客様に『ありがとう』と言われる資産運用会社でありたいと考えています」(酒井氏)
酒井氏は、A.T.カーニー(米系戦略コンサルティングファーム)出身という資産運用会社では異色の経歴だ。戦略コンサルから人材を採用していることからも、「資産運用コンサルティングパートナー」を目指すピクテ・ジャパンの覚悟が見て取れる。
OCIOに必要な3つの能力を兼ね備えた稀有な運用会社
機関投資家営業本部長 兼 投資顧問営業部長、塚口卓也氏は、OCIOに求められる能力は以下の3つがあると指摘する。
「1点目はアセットアロケーションの能力です。株式や債券だけでなく、オルタナティブ資産を含めてどのように組み合わせていくのか。そして、それぞれの資産クラスで適切な銘柄やファンドを選ぶ『目利き力』が2点目です。さらに3点目として、『胆力』が挙げられます。これら3つを備えた日本の外資系資産運用会社は非常に限られています」
「ピクテが定義するOCIOとは、単に大口の投資をアウトソーシングすることではなく、金額の多寡によらず、お客様の財務に重大な影響を与える金額の運用を受託することです。ゆえに、お客様の資産の先行きを左右する重大な責任を負うため、運用力のみならず胆力も試されるのがこのビジネスだと思います」(塚口氏)
これらの3つの能力を支えるのが、1805年にスイス・ジュネーブで創業したプライベートバンクを起源とするピクテ・グループの実績だ。
執行役員・商品本部長の横谷宏史氏は同社の強みについて、「219年もの間、一貫して長期目線の運用で、欧州の富裕層の財産を何代にもわたって守り続けてきました。ハイパーインフレや2度の世界大戦といった困難を乗り越えてきた実績こそが、私たちの大きな財産です。事実スイス現地ではいわゆるファミリーオフィスに在籍しつつ、ファミリーオフィス全体の資金に関して投資意思決定に関与するOCIOサービスを展開しています」と語る。
もう1つユニークな点として、長年にわたりマルチアセット運用に特化してきたことを横谷氏は挙げる。
「多くの運用会社では、もともとは株式や債券など単一の資産クラスから始まり、ビジネスの拡大とともに投資対象を広げて、それらを組み合わせてマルチアセットとしています。これに対して、ピクテでは富裕層から預かった大きな資金を、当初から多様な対象に投資して資産を保全するというマルチアセット運用を出発点としています」
世界の資産運用の趨勢として、1990年代以降はマルチアセット運用が株式のテーマ型投資などと比較してリターンで劣後して、運用のトレンドから大きく外れた時期もあった。
「ピクテの運用は資産保全を目的としており、その最良の手段がマルチアセット運用という信念は揺らぎませんでした。今後は伝統的資産のみでのアセットアロケーションだけで資産を守ることは難しく、オルタナティブ資産や低流動性資産を組み合わせたマルチアセット運用の重要性がさらに高まっていくと考えています」(塚口氏)
運用責任者が東京に常駐。情報伝達もスムーズに
ピクテのOCIOは、すでに地域金融機関などで運用実績がある。その運用を指揮するのは、ジュネーブの本社でマルチアセットを担当していたマネージャーで、2022年から東京に常駐している。
「機関投資家には投資行動のモニタリングが求められています。運用担当者が東京にいることで、情報面でのやり取りも非常にスムーズになります」と塚口氏は言う。ピクテ・グループとしてアジア地域のビジネスに注力しており、日本拠点にも大きな裁量が与えられている点も心強い。
OCIOサービスの提供は、アセットオーナー・プリンシプルなどの政策もあり、時代の流れに沿う形で金融法人、年金や学校法人などの機関投資家、さらにファミリーオフィスにも時間をかけて浸透する可能性を想定している。「従来の資産運用会社は、お客様にファンドを『選ばれる立場』でした。今後は資産運用コンサルティングパートナーとして、お客様と伴走する形で運用戦略を『選ぶ立場』になるビジョンを模索したい」と横谷氏は力を込める。
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