200年間のバックテストでも有効
伝統的資産との低相関も魅力

内山 裕二氏
CFM Asia株式会社
専務取締役
内山 裕二

パリに本社をもつ運用会社のCFMは、システマティック投資に特化したオルタナティブ戦略が強みだ。AI(人工知能)を用いたビッグデータ分析などを活用することで、伝統的資産との低相関と高い流動性を両立し、絶対収益を目指している。オルタナティブ戦略の投資先として一般的な不動産やプライベートエクイティではなく、株式や債券、通貨、コモディティなどを独自のモデルに基づいて運用する点が特徴だ。

テールリスク管理において株式リスクにフォーカスするのも、同社のユニークな点の一つといえる。CFM Asia 専務取締役の内山裕二氏は、「テールリスクの発端は債券や通貨、コモディティなどまざまだが、最終的には株式市場にも波及するのが一般的だ。そのため個別のリスクを限定して備えるのではなく、株式市場との低相関や逆相関を目指すことで、テールリスク全般に備えるのが当社の考え方だ」と語る。

そんなCFMがテールリスクの軽減に貢献する戦略として提供するのが、トレンドフォロー戦略の『トレンド戦略』と、その応用版である『株式リスク軽減型トレンド戦略』の2つだ。市場の上昇局面ではロング、下落局面ではショートポジションをとるトレンドフォローの考え方は、長期間において一貫した有効性を発揮することが確認されている。

実際、同社の行った過去200年を対象としたバックテストにおいて優れたパフォーマンスが確認されているほか、株式、債券、通貨、コモディティなど個々のアセットクラスにおいてもプラスのリターンが認められた(図表1)。株式インデックスとの相関はほぼ0、債券インデックスとの相関も0.3程度と、伝統的資産との相関が低い点も魅力だ。

図表1 持続性があり、堅牢なパフォーマンスを発揮するトレンドフォロー戦略図表1  持続性があり、堅牢なパフォーマンスを発揮するトレンドフォロー戦略

相場の急変時に収益が極大化する
“コンベクシティ特性”

『トレンド戦略』が伝統的資産との低相関によるリスク軽減を追求するのに対し、『株式リスク軽減型トレンド戦略』は『トレンド戦略』に工夫を加えることで、伝統的資産との無相関もしくは逆相関を目指す。相場の急変時に収益が極大化する“コンベクシティ特性”も増大するため、リスクの分散だけでなく、リスク局面での収益補完的な役割が期待できる。

同戦略では、まず最初に株式市場に対するべータを0もしくはマイナスに制限する点が特徴だ。株式だけでなく、債券やコモディティなどが有する株式ベータも合計し、0を超えないよう機動的にポートフォリオを調整する。

加えて、テールリスクに反応しやすいように株式先物や債券先物のみによる短期トレンド戦略にも配分。あえて分散を制限し、株式との相関を抑えることで、市場急落時のコンベクシティを高める設計だ。

さらに、VIX先物のロングポジションを常に持つことで、相場急変時の反応性を強化する。「VIXは突然のマーケット変化から収益を上げられる一方、単にロングし続けるだけでは平常時の収益がマイナスになる局面が多いデメリットがある。そこで当戦略では、VIX先物と同時にS&P500先物を保有することで、負のキャリーを打ち消している」(内山氏)

こうした工夫の積み重ねによって、今年2月から3月のコロナショックなどテールリスク時に高いパフォーマンスを発揮するとともに、平時においてもリターンを上げ続ける特性を兼ね備えるのが『株式リスク軽減型トレンド戦略』の強みだ。

内山氏は、「従来のテールリスクファンドは、通常時はマイナスのパフォーマンスとなりコストがかかる一方、有事には備えられる、保険やオプションのような戦略が多かった。しかし投資である以上、平時においてもプラスのリターンを上げ続けることは、分散投資対象として欠かせない要件だと当社は考える」とこだわりを強調する。

実際、『トレンド戦略』と『株式リスク軽減型トレンド戦略』、株式インデックスを比較したバックテストでは、株式の上昇局面においても、両戦略ともにプラスのパフォーマンスを維持した(図表2)。『トレンド戦略』は株式市場の上昇・下落に関わらず一定の収益を上げたのに対し、『株式リスク軽減型トレンド戦略』は株式下落時により大きなリターンを上げていることがわかる。「ポートフォリオにおいて一定の配分を『株式リスク軽減型トレンド戦略』に割けば、テールリスク時における株価下落をカバーできる可能性もあるだろう」(内山氏)

図表2 株式市場の条件別バックテストパフォーマンスの分析
図表2  株式市場の条件別バックテストパフォーマンスの分析

アセットクラスの分散だけでは
株式リスクは十分に軽減できない

伝統的資産との低相関や無相関、コンベクシティの増大によって株式リスクの低減を図るCFMの戦略は、必ずしも株式を保有する投資家だけに有効というわけではない。例え複数のアセットクラスに分散投資していたとしても、ふたを開けてみると、実は株式に起因するリスクを多く抱えていた――というケースは少なくないからだ。

内山氏は、「低金利環境を受け、高い利回りを求めてハイイールド債や社債、バンクローンなどで資産を運用する投資家も多い。しかし、こうした債券は株式との相関が相対的に高く、保有することでよりテールリスクを高める可能性すらある」と指摘する。

不動産やプライベートエクイティなどのアセットクラスにおいても、やはり株式市場の影響を受けないとは言い切れないだろう。あらゆる資産に株式リスクは潜んでおり、ポートフォリオにおける株式のウエイトが低いからといって、株式リスクが少ないとは限らない。

加えて株式と債券に資産を分散した場合、金利の絶対水準が低い今、株価が下落しても債券の上昇余地は限られている。もはや国債では、株式インデックスをヘッジしきれないだろう。

「伝統的資産との相関が低く、危機時において大きな収益を上げられるうえ、平時でもプラスのシャープレシオを維持するトレンドフォロー戦略は、テールリスク対策における数少ない選択肢の一つだ。最近では『株式リスク軽減型トレンド戦略』の日次解約ファンドをローンチするなど、投資家の利便性向上にも積極的に取り組んでいる。ぜひ、テールリスク軽減の手段として当社の戦略をご活用いただきたい」(内山氏)

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ウェブサイト: https://www.cfm.jp/
本記事は、CFM AsiaがCFMの運用戦略及び運用哲学についてご説明することのみを目的としております。
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