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指数の設定などで企業の情報開示を促す

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官・民・投資家連携でESG投資を促進
指数の設定などで企業の情報開示を促す

2019年03月27日

ブルームバーグ アジア太平洋地域 対外関係・政府渉外責任者のニッティン・ジャイスワル氏に、ESG投資の現状と、同社の取り組みについて聞いた。(取材日:2019年3月18日)

ニッティン・ジャイスワル氏
ブルームバーグ
アジア太平洋地域
対外関係・政府渉外責任者
ニッティン・ジャイスワル氏

――ESG投資の現状と課題について、どのように見ているか。

ジャイスワル 過去5年間で世界のESG投資残高は大きく伸長しており、現在、約23兆ドル(約2530兆円)の資産がESG投資に向けられている。

 ESG投資には、①どのようなデータ項目がESGに含まれるかの定義が曖昧、②ESG関連データの集計・開示には大きなコストが伴うため、データ開示を促進するためには企業へのインセンティブが必要、③ESG関連データの分析が困難――という課題がある。これらの解決へ向けて、様々な国の政府、規制当局、年金基金や民間企業などが一体となって議論を進めているのが現状だ。

――具体的な取り組みの例は。

ジャイスワル 2015年に、国際金融の規制・監督などを行う金融安定理事会によって設立され、当社会長のマイケル・ブルームバーグが議長を務めるTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)がその一例だ。TCFDは気候関連の情報とそれがビジネスに与える影響について、いかに企業に開示してもらうかを議論するイニシアチブだ。現在、グローバルで590の企業がコミットしており、日本企業の参加数は54社と世界で3番目に多い。

 また、金融機関・市場による気候変動問題への取り組みを促すことを目的に、ゴールドマン・サックス CEOのデービッド・ソロモン氏をはじめとする6人のグローバル金融リーダーから成るCFLI(金融イニシアチブ)も2019年1月に設立されている。同イニシアチブは、国連の事務総長がマイケル・ブルームバーグに依頼して設立されたもので、日本からはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の最高投資責任者の水野弘道氏も参加している。

 当社固有の取り組みとしては、「男女平等指数」の設定がある。企業の女性参加度・貢献度をはかるうえで、市場を代表するベンチマークだ。このような注目度の高いインデックスに組み込まれることは、企業にとって投資を呼び込む機会にもなる。結果、インデックスへの加入を目指してESG活動を強化したり、情報開示を進めたりするよう企業へ促進する効果があると考えている。現在、同指数には230社が組み入れられており、日本企業の組み入れ数は世界第4位の多さだ。
  
――機関投資家への影響は。

ジャイスワル 投資においてリターンを上げることと、社会におよぼす影響に配慮することは車の両輪であり、どちらか一方だけでは成り立たない。
 年金基金など長期投資を基本とするアセットオーナーは運用会社に責任ある投資を求めているほか、次世代の投資家層であるミレニアル世代のESGに対する関心も非常に高い。今後、機関投資家に対するESG投資のプレッシャーはますます高まっていくだろう。